第28話・偽りの終焉12
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バンッ!!
力任せに資料室の扉を開けた。
当たって欲しくもない予想は現実となっていた。
冬「…………いない。」
誰もいない。
蒼麻も菫さんも火野さんも、3人がここで日記を探していた形跡だけが残っているだけだ。
カッカッカ…………
冬「……………。」
何処かで何か音が聞こえる気がするが、余りにも受け入れたくない現実に頭が働かない。
カッカッカ………
後悔が頭の中で爆発的に湧き上がる。
捕まるかもしれない、というのも前提で皆で動くべきだったのだ、と。
カッカッカ………
音が近づいている。
正体なんて解っているが、逃げる気にも、隠れる気にもなれない。
それほどショックがでかすぎた。
だが、逃げないのはそれだけではない。
カッ…………
足音は既に背後にいた。
冬「………。」
扉が開く音など聞こえたか?
などと余計な事を考え、恐怖を和らげ振り向く。
女「……………。」
冬「っ。」
女「………何を驚いているの?」
冬「いや…………。」
驚くなというのは無理な話だった。
目の前にいるのは確かに、俺達が見たあの恐ろしい少女と同一人物だ。
冬「君は、本当に蓮先輩を追いかけていた奴なのか?」
自分でも妙な事を聞いている自覚はあったが、そう聞くしか出来なかった。
禍々しく赤い眼などではなく、澄んだ黒い眼をしているのだ。追ってきた奴には違いないが、これでは別人だ。
女「………そうよ。」
冬「なら、皆を消したのも、君が…。」
言い切る前に、目の前の女は首を横に振る。
女「………あの人達は、違うから。」
冬「違う?そいつは………」
その先を言おうとして、突然自分の身体に異変を感じ始めた。
冬(何だ、この内側から消えていきそうな感覚は………。)
女「………あなたも、違う。」
彼女は背を向け歩き、少し離れた所で振り向き言った。
女「………だから、あなた達は帰る。」
冬「待って………くれ。それは、元いた場所に帰れるってのか!?」
女「……………。」
視界もぼやけてきているが、彼女は確かに頷いた。
考えようとする思考も消えていく中、彼女は言う。
女「………私はもう、長くない。あなた達はもう来れないだろうけど、また、誰が来るかわからない。だから、私を………」
指先からゆっくり消えてく様な感覚を感じている中で、彼女は俺に願いを託した。
女「………灰にして………」
あの時見た狂気もまるで感じられない。




