オーガ発見、そして・・・
「よし、行くか」
「「うん」」
ここに来るまで時間が掛かったが、ここからはもっと掛かりそうだ。
オーガがすぐに見つかればいいが・・・
「なあ、リム。」
「なに?」
「索敵の魔法は今の俺でも使えるのか?」
リムの力の一割をもらっているらしいから出来るかどうか、疑問だったので聞いてみたが・・・
「ううん。今の拓磨は使えないわよ。
私の力を渡していても、拓磨自身が覚えていない魔法は使えないから」
「そうか・・・分かった。それなら、今回はリムに任せたいが、いいか?」
「いいわよ。それじゃ・・・」
リムが呪文を唱え始める
『我ここに願う。我に敵意ある者全てを示せ。』
「ねえ、タクマ?」
「ん、どうした?」
「リムって魔法使いだったの?」
「ああ、そうか。まだ説明していなかったな。
・・・見ての通りリムは魔法使いだ、『世界最強』のな」
「えっ!それってどういうこと?」
「『どういうこと』と聞かれても『そういうこと』としか答えられないが・・・」
「だって、いまこのラージアで最強なのは『ライズ・ブレッド・ホロギウス』っていう王国騎士団の団長よの筈・・・」
「そいつは魔法だけでなく、他の全てにおいて最強なのか?」
「ええ・・・魔法は勿論、他の全てにおいて誰よりも一線を画しているわ」
「終わったわよ」
俺とレイラが話をしている間に索敵が終わったようだ。
「お疲れ・・・それで、オーガはいたか?」
そう聞くとリムは少し困ったような顔をした後
「いるにはいたけど・・・場所がね」
「なんか問題あるの?」
レイラが聞くと
「うん。オーガ達がいるのは最奥の洞窟のさらに奥なの。
しかもその場所にはこの森の魔物の殆どが集まってるみたいで、かなりの数がいるのよ」
「それだけなら、問題は無いと思うが?」
俺は本当にそう思ったから言ったんだが・・・
「大問題なのよ・・・普段魔物が一箇所に集まることは無いわ。
それが一箇所に集まってるってことは・・・」
「オーガがこの森の魔物全てを『従えている』ということね?」
リムの説明をレイラが引き継ぎ、さらにリムが補足する
「そう言うこと・・・しかも、グランド・オーガまでいたわ」
その名を聞いた途端、レイラの顔色が変わり、リムに詰め寄ると・・・
「それ、本当なの!?
本当にグランド・オーガがこの森「落ち着け、レイラ」ひゃっ!」
手刀を一発・・・・
「ぁ・・ごめん」
「いいさ、それで・・・?」
「それでって?なにが?」
「グランド・オーガについてだ。何か知っているのか?」
「知ってる訳じゃ無いわ・・・ただ、あたしの村がグランド・オーガに滅ぼされた。
それだけよ」
苦笑混じりにいったその言葉に
「・・・・・・・」
リムは黙り込んでしまった。
確かにそうなるのが普通の反応なのかも知れない。
だが、俺は違う・・・
「よし決定だ・・・グランド・オーガをぶっ飛ばす。リム!」
「え!?なに?」
「そこまで俺を転移してくれ」
「え!まさか一人で戦うつもりなの?そんなの無茶よ!」
知ったことか。少しの間とは、いえ『仲間』として行動している者の村を滅ぼした張本人がいるのだ。そいつを放っておくことなど出来る訳がない・・・
「いいから、やれ」
今の俺は気が短くなっているようだ。
溢れそうになる力を抑えることなど到底出来そうにない。
リムもそれを感じ取ったのだろう
「わ・・・分かりました」
ーリムー
「いいから、やれ」
途端信じられない程の魔力が拓磨から溢れ出す。
その力は私の力など足元にも及ぶ物では無いと瞬間に理解した。
だから・・・
「わ・・・分かりました」
思わず敬語で返してしまった。
ーレイラー
あたしの村が滅ぼされたことを聞いたら、リムは黙り込んでしまった。
そうだよね、それが普通の反応だよね。
「よし決定だ・・・グランド・オーガをぶっ飛ばす。リム!」
「え!?何?」
「そこまで俺を転移してくれ」
「え!まさか一人で戦うつもりなの?そんなの無茶よ!」
でも、タクマは『ぶっ飛ばす』と言った。
あたしは何故タクマが、たかだかさっき知り合っただけのあたしの為にそこまでしてくれるのか、理解できなかったけど・・・それ以上になんだか嬉しかった。
あたしの為に怒ってくれる人がいるのが、たまらなく嬉しかった。
そんな人は皆『あいつ』に殺されてしまったから・・・
「いいから、やれ」
「わ・・・分かりました」
その時何故リムが怯えていたのかは分からなかったけど
ー拓磨ー
今俺はオーガの住み処にいる周りには数十とも数百とも思われる数のオーガがいるがそんなことは関係ない。
俺がぶっ飛ばしたいのは、グランド・オーガだけなのだから、それ以外は邪魔でしかない、が少し力の使い方を学ぶ為にこいつらには実験台になってもらうとしよう。
「さあ・・・始めるぞ。覚悟しろよ屑共」