約束~少女の気持ち~
ブレットをなんとなく殴った後、事情を聞くと、こういうことらしい。
コルティネ、城を抜け出す(何してんだ?)→ミリーを抱えて跳んだ俺を発見する→惚れる(この時点で少しおかしい気がするが)→会おうと思っても理由もなしに会えない→所がどっこい闘技大会で俺が優勝→これを俺と会う理由にして呼び出す→色々すっ飛ばして告白←今ここ。
にしても、生まれて初めてされたのが、告白は告白でも求婚だとはな・・・夢にも思わなんだ。
しかも相手は王妃ときたもんだ。俺の人生はどうなるのやら・・・そんな大げさなことでもないか。
「タクマ、返事はどうした?」
「あ?返事も何も、俺はこの話を受ける気は無いぞ?」
何故そんなに驚いた顔をする?
「そもそもだ、コルティネ?」
「あ、なに?」
「お前は俺のどこが好きになったんだ?」
最初に見た時に惚れたってことは、一目惚れなんだろうから、どこが好きになったとかは無いとは思うけどな・・・。
「優しい所」
と思っていたが、コルティネはそっと答えた。
その顔を見てみると、浮かんでいたのは頬笑みで、王妃とかそんなことは関係ない一人の女の子としての表情。
そんな感じだった。
「タクマさんが」
「タクマでいいさ」
言うとコルティネはまた頬笑み、話し出した。
「タクマが、あの女の子を抱いていた時、とても優しい目をしていて・・・なんだか、目が離せなかった。直ぐに見えなくなってしまったけど、その時の目や雰囲気を鮮明に覚えていて」
ふわりと柔らかく笑いながら、言葉を紡ぐコルティネ。
「難しいことはあたし自身分からないけど、貴方が好きだってことは間違いないよ?」
「だから、結婚したいと?」
「・・・はい///」
ふう・・・どうしたもんかな?こいつが王妃だということは、もし俺がこいつと結婚したら、俺は王になってしまうわけだが、そんなのはご免だし、なによりまだまだ結婚する気なんかないし、というか結婚願望が無いんだよな・・・俺は・・・。
向こうにいた頃も、そんなこと考えたことは無かったし。
「ま、さっきも言ったが、俺はこの話を受ける気はないんだ」
「・・・・・・」
頼むからそんな悲しそうな顔はしないで欲しいんだがな・・・子どもが泣いている所は見たくない。
リムとミリーは弄りたくなるが。
「そういや、お前今何歳なんだ?」
「え?十二歳」
「いやいや!その時点で結婚は無理があるだろう!」
いくら世界が違うとは言っても、十二歳では結婚は無理だろう?
「だが、後二年もすれば王妃は結婚できるお歳になられる。それくらいなら、問題ないのではないか?」
「問題があるない以前の問題だがな・・・」
断って尚、俺を緊張の面持ちで見つめるコルティネ。
「・・・分かった。なら、二年後に俺はまたここに来る。その時もお前の気持ちが変わっていなかったら、考えても良い」
「え・・・ホント!?」
言った途端嬉しそうに声を上げるコルティネを見て、ブレットは良かったですね、と自分のことの様に喜んでいた。
「あくまで考える、って所までだ。結婚をするかどうかは、また別の問題だぞ?」
「うん!分かってる!やったよライズ!」
「ええ!私も嬉しいですよ!王妃!この者ならば、必ずや貴女をお幸せにしてくれます!」
「せいっ!」
「ごふっ!」
勝手に話を膨らませるなっての。
その後、少し話をして、俺は玉座の間を出た。
朝のこの短時間で何故、こんなにも疲れなければならないのか・・・はあ、早く戻って休もう。
と思っていたが、
「タクマ!行くわよ!」
と帰った途端リムに引っ張られて俺は疲れも取れぬまま、再び街へと連行された。
隣を見てみると、楽しそうに笑って鼻唄まで歌っているリムがいる。
まあ、いいか。
最近はなにかと忙しくて、あまり一緒にいなかったしな。