コルティネ
大会の翌日、宿で朝飯を食べていると、ブレットが訪ねてきた。
何でも昨日の大会を王が見ていたらしく、俺に来て欲しいとのことだが、面倒だな・・・断ろうと思ったら、ミリーが行くだけ言ってみたらどう、と言ったので、とりあえず行くことにした。皆も連れて言ってはダメなのか聞くと、王は俺だけを連れてこいと言ったらしい。
ダるいな~・・・。
行ってくると言って、皆に見送られ、俺はブレットの後に付いて城に向かった。
門の前で見張りの兵士が二人いて、ブレットを見るとお勤めご苦労様です、と元気に言っているのを聞きながら、俺とブレットは中に入った。
城は見た目からも想像できたが、やはり豪華だった。壁やらなにやら、床に敷かれている絨毯以外は殆どが白で統一されている。
奥にはでかい扉が有り、おそらくその先が謁見の間なんだろう。
案内されるままに扉の前まで行くと、入り口の見張りの兵士よりも豪華な鎧を装備した兵士がいた。隊長とかその辺の奴かもな・・・。
ブレットに頭を下げていることから、ブレットがしっかり団長をしていることが窺える。
見た目そんな感じには見えないんだけどな・・・。
扉の中に入ると、また広い空間に出て、奥には玉座が二つあり、俺から見て右側だから、左側か。そっちの玉座に戦乙女って感じの格好をした女が座っていた。右側は何故か空いている。
白い髪に金色に輝く瞳。赤い鎧に身を包み、傍らには身の丈程の戦斧が立てられている。
あれを振り回すようにはとても見えんな。
なんて考えていると、ブレットが片膝と右手を付き頭を垂れた。
そういや、周りに誰もいないな。玉座の間ならもっと人がいてもおかしくないと思うんだが・・・。
暫く周りを観察していると、女と目が合った。
右手を小さく振って軽い挨拶をすると、向こうは嬉しそうに笑って返してくれた。
丁度顔を上げたブレットがその行動を見て、不思議に思ったのか、女に如何しましたか、と聞いた。
「いや、何でもない」
鈴が転がるような綺麗な声が、謁見の間に響いた。
なんとなくリムに似ているなと思った。
「改めて紹介します。こちらが、今回の闘技大会で優勝を飾った、タクマ・ミョウホウでございます」
「タクマ・ミョウホウだ。で、今日は何の用だ?」
ため口で話す俺に何かブレットが何か言おうとしたが、それよりも先に女の声が聞こえた。
「いいよ、ライズ。あたしも自己紹介するね?コルティネ・ガイラよ」
ん?王族ならミドルネームがあってもおかしくはないと思うが・・・まあ、いいか。
「それで?なんで俺を呼んだんだ?」
「単刀直入に言うよ?」
「ああ」
「・・・・・・・」
いや、言えよ。
コルティネを見ていると、話すどころか目を反らす。距離があるからハッキリとは分からないが、顔が赤くなっている気がするな・・・。
それから十分位、コルティネは何かを言おうとしては口を閉じ、また言おうとしては閉じてと繰り返していた。
「はあ、王妃はいざとなった時、弱いですからね・・・」
どうやらこれは今回に限ったことではないみたいだ。
「ぅ~・・・だって、緊張する///」
今度は赤面しているのがハッキリ分かった。
「何なんだ?用が無いなら俺は帰るぞ?」
「あ!待って!」
呼び止められ、見てみるとコルティネは立ち上がっていた。身長は・・・150位か?とりあえず小さいな。
俺的にはオッケーだが。
ん?ああ、もうとっくに自覚してるよ、忘れているかも知れないが、俺はロリコンだとも。
ああ、そうだとも。
「あたしと結婚してください!//////」
そうそう、結婚・・・は?結婚?
「どういうことだ?」
叫んだコルティネを見ると顔は見事真っ赤になっていて、ブレットを見ると、よくやった!と言わんばかりに拳を握っていた。
「セイッ!」
「ごはっ!」
取り合えす殴っておいた。
さて、何がどうなっているんだろうな?