ジーク・ハルベルト
その後は特に目立ったことは無く大会は進行していき、俺も順調に勝ち上がり次は5回戦、つまりハルベルトが相手だ。
別のグループ。Cグループではミリーを倒した奴が勝ち上がり、Eグループでは赤騎士が勝ち上がっていた。トーナメント表はEグループを見ていなかったから気付かなかった。それに、モニターで見ていたが、どういう訳か赤騎士の戦いは見ることが出来なかった。見ようとした時には既に終わっているからだ・・・。
まずはあいつか・・・。
『さあ、次の5回戦。Aグループはタクマ・ミョウホウ選手対ジーク・ハルベルト選手です!
どちらもここまで、大きなダメージを負わずに上がってきましたが、この勝負はどうなるのでしょうか!と、前置きはこれくらいにして早速始めましょう!』
実況の言葉で会場は盛り上がり、熱気はさらに上がっていく。そんな中でハルベルトは悠然と歩いてきた。そして、俺を見て言った。
「成る程・・・次の相手はお前か。
あん時からただ者じゃねぇとは思っていたが・・・んなことはどうでもいいな。
始めようか?本気の戦いを」
「そうだな・・・さっさと始めよう。
俺は倒したい奴がいるんだ。悪いが本気で行かせてもらう」
「へっ!随分と余裕じゃねぇか・・・」
少しの間睨み合い、実況の声で試合が始まった。
先に動いたのはハルベルト。手に持った槍を水平に構え突撃してくる様は、成る程並の奴じゃ反応出来ない速度だった。まだ本気では無いだろうが、十分に速い。躱しても慌てるようなことは無く、体を反転させて蹴りを放ってきた。
その足に手を乗せて反動を利用して中央部分まで跳躍した。関心したように口笛を吹き
「そうこなくっちゃなぁ!」
言って、また突っ込んできた。その速さはさっきよりも上がっていた。また躱すが今度は槍で連続攻撃を仕掛けてきた。
ヒュンヒュンと風を切る音が間近で幾重にも重なって聞こえ、とても1人の人間から繰り出される攻撃の速度とは思えなかった。
それを躱している俺もどうなんだ?とも思ったが・・・。
いつまでも続けているのは面倒なのでとりあえず止めようと、躱すと同時に足払いを掛けたが、この程度では当たる訳も無くバックステップで躱される。あの状態でも躱せると言うのは流石と言うべきか。
今度は俺が突っ込んで行き、連打を叩き込むがすべて槍で弾かれる。
ガガガガガガガガガガ!
少し思うが、何故俺は槍やドラゴンを殴っても全く痛く無いのだろうか?今更な気がかなりするが、ホント今更きになってきた。助かってるから別にいいとは思うが、疑問だ・・・。
時々繰り出される突きを躱し、また連打。
そのままハルベルトが聞いてきた。器用だな?
「お前、いつになったら本気をだすんだ?
こんなもんじゃないんだろ?さっさとしろよ・・・」
「そしたらすぐに終わるぞ?それでもいいのか?」
「言うじゃねぇか・・・いいぜ、掛かってこいよ!」
「はいはい・・・フッ!」
ドゴ!
「ガハッ!」
本気の速さで殴るとすんなり腹にめり込んだ。それによって、動きが止まり追撃として足払いを掛け転倒させ、もう一発腹に決めるとしたの地面まで凹んでしまった。
ハルベルトはそのまま白目を剥いて動かなくなった。念の為確認したがちゃんと息はしている。
よかったよかった・・・殺す必要は無いし、そのつもりも無かったからな。
後は大会の関係者に任せて俺は退場した。
とりあえずミリーの仇(?)は取った。