表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/30

まあ・・・成り行きで

「リム~」


「あ、拓磨。やっと来たわね?その子がさっき言ってた子?」


「ああ」


「ネイミル・マーレだよ、よろしくね?」


「ええ、よろしく。私はリム・フィアトネス。

ミリーたちは今あっちの方にいるからあとで紹介するわね?


・・・それで、ネイミルは分かったけどあの2人は?」


リムが気にしているのは今後方で瑠美と話している2人のことだ。


「ああ、あの2人は森で会った。

赤い方が火の聖霊イフリート。青い方が水の聖霊ウンディーネだ」


「え?聖霊なの?」


「ああ」

「間違いなくね?ラルガも言ってたから」


「ラルガ?誰なのそれ?」


「まあ、とりあえず説明はするが・・・ハッキリ言って俺たちもよく分かっていない」


「そうなんだよね~・・・どういうことなんだろう?」


「何があったの?」








さっき俺たちは森で2人と戦って正気に戻すことは出来たんだがそのあと暫く2人は気絶していた。

そしてその後龍が飛んできた。

その龍を見たとき激しく面倒だなと思った。

そしたら龍が降りてきた。



『お主等がこの2人を正気に戻してくれたのか?』


その龍は2人を見た後俺たちを見てそう聞いてきた。

出来れば早く終わって欲しいな・・・そろそろ瑠美の結界を解きたいんだが。


「ああ、そうだが?お前はなんだ?シロの仲間か?」


『む、『シロ』とは誰だ?』


「俺たちの仲間だ。今は狼の姿になってもらっているが本来は黒龍だ」


「え?」

『なに?』


ネイミルも同時に声を上げた。


「あー・・・説明は面倒だからそっちの要件を済ませてくれ?

早く皆の所に戻りたい」


『・・・それもそうだな。我がこの地に来たのは聖霊が暴走しているときいてな。

それを鎮めに来たのだ。が、』

「俺たちが済ませていた、と」


『うむ、そう言うことだ。何にせよ被害が出る前に鎮めてくれて助かった。礼を言う』


そう言って長い首を少し下げる龍。

ま、俺たちは単に成り行きでそうなったんだがな・・・。


「そんなに感謝されることじゃ無いと思うけど・・・ねえ、君はどうして2人がこうなったか知ってるの?2人は明らかに正気じゃなかったし、誰かに操られでもしないとこんな風にはならないよ?」


「そうなのか?」


確かに2人の目は初めて見た俺でも怪しいと思う程度には怪しかった。

・・・黒かったし。

まあ、それだけだが・・・。


『その者の言う通りだ。火の者と水の者は洗脳されていた。だが、我にも誰がしたのかまでは分からぬ。兎に角被害で出てしまう前に鎮めることを優先としたのだ』


「ん・・・ここは?」


龍がそこまで言ったところでウンディーネが目を覚ました。

まだ意識がハッキリしていない様であたりを見回している。


「あ、起きた」


「お主は?」


「話は後でね?タクマ、一応回復魔術かけておいてくれる?」


「ああ」


ネイミルに言われて俺はしゃがんでウンディーネに魔法をかける。

光が体を包み消えたときは傷は治っていた。


『ほう・・・』

「これは・・・」


「ウンディーネは目を覚ましたのにあっちはまだ目が覚めないのか?」


俺はイフリートの方を見ながらそう口にだした。

こっちよりも結構先に気絶しているが・・・生きてるよな?


「ちょっと見てくる」


激しく不安になった俺はそれだけ言ってイフリートの方に向かった。






瑠美




「はぁ~・・・暇だな~。早く戻ってこないかな?お兄ちゃん達」


この結界外のことは分かるからいいんだけど、それだけでやることが無いから暇でしかない。

まあ、さっきから襲ってくる魔物からも守ってくれてるから贅沢言ってられないけど。





あたしに魔法って遣えるのかな?



ふとそんなことを思った。

お兄ちゃんは使ってるみたいだしこの結界だってそうだろうし・・・イメージすれば良いのかな?


とりあえずやってみよう。


目を閉じて右掌に意識を集中する。


出来るか分からないし、最初は火の玉位をイメージしよう・・・。

頭の中で蝋燭程度の炎をイメージする。と


ボゥ・・・とホントに蝋燭程度の炎が出てきた。


「できちゃった・・・」


つい声が漏れてしまった。それと同時に炎が消えた。集中が切れたからかな?

・・・次は水を出してみよう。


今度はは左掌に意識を集中する。

大きさは火の玉と同じくらいで良いかな?


コポ・・・とイメージと同程度の大きさの水の玉が出てきた。

今度は集中が途切れないようにして、右掌に意識を集める。


同時に水と火を出せるかの実験をしてみたくなった。




さっきよりも少し遅れて小さな炎が出てきた。それを見て一瞬気を抜いた瞬間

パシャ・・・と水の玉が破裂した。


「あちゃ~・・・やっぱりいきなり同時は難しかったかな。

でも暇つぶしにはなるしこの際だから色々試してみよう」



やっぱりこっちに来て良かったな。





拓磨




「いや~、良かったよかった。魔法かけても暫く起きないから本気で殺っちまったかと思った」


「お前は本当に人間なのか?さっきまで誰かと戦っていたことは微かに覚えているが・・・」


「ああ、紛れも無く人間だ」


「でも、そう思うのも分かるけどね?さっきの魔法とか素手で聖霊と戦ったりとか。

ボクもこんな人初めて見たし・・・」


『こんな』とは何だ・・・いいや、面倒だし。


『・・・それよりも、お主等、もう大丈夫なのか?』


「うむ、なぜこうなったかは分からぬが体に異常は無い。こやつのお陰も有るだろうがな」


ウンディーネはそう言って俺を見た。


「ああ、オレもだ。と、言いたいところだがまだ腹が痛む・・・」


イフリートは腹を抑えていた。

確かに本気で打ったがそこまでのダメージがあったのか?


「タクマ、少しは手加減しなよ?」


「してたら俺が殺られていたと思うぞ?」


「・・・・・・・」


手をあごに当てて考え込み


「そうかな?」


とか言いやがった。


「オレもそう思うぞ?微かにとは言っても攻撃の殆どが蹴り飛ばされたり殴り飛ばされたり

したのは覚えている。

あれでも手は抜いていなかった、というか洗脳されていたんだから限りなく本気に近い力で撃ったんだが?」


ジト目で俺を見るイフリート。

なぜかウンディーネまで見ている。


『・・・・・・・・・』


俺含め全員沈黙。



ドオオォォン!!



いきなり後方で爆発音がした。しかもそこは瑠美がいる場所だ。



「瑠美!」


俺はすぐに跳んだ。


「タクマ!」


そしてその後をネイミルも追って来る。




「瑠美!瑠美!」


『あ、お兄ちゃん。やっと終わった?』


「瑠美!無事か?」


『うん。大丈夫。それよりも早くここから出して?煙が充満して何も見えない・・・』


「ああ、分かった」


兎に角無事だと分かって結界を解く。

それと同時にネイミルもこっちに着いた。


「は~・・・やっと出られた~。遮る物が無いって良いね~?」


そして、瑠美は多少服などが汚れてはいるが特に怪我などは無い様だった。


「ルミ、何があったの?」


その様子を見たネイミルが俺も聞こうと思っていたことを聞いた。

魔物は結界が有るからまず心配ない。にも関わらず爆発が起きた、しかも結界の内部で。


「ちょっと魔法の練習してたら急に爆発しちゃった・・・あはは」


「はあ・・・心配させるなよ?ま、何も無くて良かった」


「ごめん・・・」


「いや、謝らなくていい。それで何をしようとしたんだ?」


「えっとね、火と水の玉を左右同時に出せるかの実験をしてたらつい大きくし過ぎちゃって、

なんか・・・爆発しちゃった」


同時にか、教えてすらいないのにそこまで出来るようになるとはな・・・これからどう

成長していくのだろうか?


「え・・・同時って、それ本当?」


ネイミルが瑠実にそう聞いた。


「うん。ちょっとやってみるね?

・・・・・・」


両の手を前に出して目を閉じる瑠実。

そして少し経って、


ボゥ・・・

コポ・・・


火と水がそれぞれ右手と左手に発現した。


「・・・・ぷはっ。ふぅ、疲れた」


と、瑠実が力を抜くと同時に二つの玉は消えた。

と言っても水の方ははじけて瑠実の手を濡らしてしまったが。


「どう?まだこれくらいしか出来ないけど」


「大したモノだな。その若さで同時に魔法を遣えるとは・・・」


「ウンディーネ、いつの間に?」


いつの間にか隣にウンディーネがおり、興味深げに瑠実を見ていた。


「今来たのだ。少し気になったのでな。それよりもお主」


び、と瑠実を指さす。


「え、あたし?」


「そうだ。魔法を習得して長いのか?二つを同時に発動するなど少なくとも5年は

修練を積まねば出来ることでは無い・・・」


「ああ、しかも属性が全く異なる二つを同時となっては尚更だ」


今度はお前か・・・いきなり来るの好きだな?


「う~ん・・・あたし、ついさっきこれ覚えたばかりだよ?

『できるかな~』って思ってやってみたら出来たから、暇つぶしに練習してたの」


「「「・・・・・・・・」」」


またしても沈黙。


「あれ?あたし、何か変なこと言った?」


戸惑いがちに俺に聞いてくる瑠実。


「どうだろうな?とりあえず俺はもう一度あいつの所に行ってくる。

お前はこいつ等の相手しててくれ?」


「うん・・・分かった」


ドン!





『あの者はお主の仲間か?』


「ああ、だがそれ以前に義妹だ。まさか、こんなに早く魔法を遣えるようになるとは思わなかったが」


『そうか・・・兄妹揃って大したモノだ。・・・・我はもう行くとしよう、最後にお主の名を教えてくれぬか?』


ふう・・・。こっちに来てから名を聞かれることが多くなったな。


「タクマ・ミョウホウだ」


『我はラルガ。また逢うこともあるやも知れぬ。

その時は我と戦って欲しいモノだな?』


「それ、おもしろそうだね?ボクとも戦ってくれない?」


・・・・もうつっこまねぇ。


『ああ、いいだろう。その時まで力を磨くが良い・・・ではな』


「ああ」

「じゃあね~」


ラルガは翼を広げ彼方へと飛び去っていった。



「よし、戻るか?」


「そうだね。タクマの仲間とも早く逢いたいし」


その後瑠実の所まで戻りリム達の所に戻ることを伝えると、イフリートとウンディーネも

着いてきたいと言ってきた。

なんでも、瑠実の魔法に興味が有るらしくさっきも会話が弾んだそうですっかり意気投合したようだ。


別に困ることはないし今回は俺では無く瑠実に興味があるらしいので判断は瑠実に任せた。

もちろん瑠実が断るわけもなく2人は俺たちの旅に同行することになった。


移動中も3人は終始魔法のことについて語り合い、時折ネイミルもその輪の中に入っていたが、

魔法のことはあまり詳しくないのか俺の隣に並んで歩いていた。





「と、まあ、こんな感じだ」


「この短期間で色々有りすぎじゃない?何か憑いてるの?」


ここまで起こると俺もそう思ってくる。

何も憑いてないといいな~・・・。


「はあ・・・まあ、こっちも仲間が増えたんだけどね?」


「ん、どういうことだ?」


「ミリーの魔剣が覚醒したの。それで今は少しだけこのあたりを散歩してるのよ」


「世の中不思議なこともあるもんだな?」




また一気に賑やかになった。どんな奴なのか楽しみだな。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ