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森に住む聖霊

「瑠美、こっちの方角か?」


「うん。このまままっすぐ行けばもうすぐ着くよ?」


「分かった」


「?」


俺たちは森の中に居る。

そして、瑠美の言った通りに道を進んでいるがネイミルは何のことだか分からないようで?を浮かべている。まあ、分からなくて当然か・・・。


「なあ、何のことだ?」


そして聞いてきた。


「この森から瑠美が魔力を感じたんだ。だからそれを探している」


「そうなの。お兄ちゃんが感じた方とは違う方向だったから何があるのか気になって・・・」


「成る程・・・」


納得した後ネイミルは急に立ち止まり目を閉じた。

おそらく瑠美が感じた魔力をこいつも探っているのだろう。

瑠美もそれを理解しているようで静かに待っている。


数十秒後、ネイミルはゆっくりと目を開いて言った。


「・・・・確かにこの森の奥から魔力を感じるね。でも、この魔力は少し危険かも知れないよ?」


「どういうことだ?」


「君たちは聖霊を知っているか?」


「ああ」

「せいれい?」


「俺たちの世界でも言葉は存在する。唯字が違うだけだ」


知らない瑠美にそう説明する。


「そうなの?」


「あっちでは精神の精に霊だったがこっちでは聖なる霊と書いて聖霊だ」


「あ、なるほど・・・」


ぽんと手をたたき分かったという表情をする。


「それで、その聖霊がどうしたの?この森にいるの?」


ネイミルに向き直りそう質問する。


「その通りだ。しかも2体ね・・・」


2体。聖霊の属性は多分俺たちの世界と同じ

地水火風に氷、雷、闇、光の8属性だろう。


世界は大体がその8つで出来ているからな・・・。


「それでその2体の聖霊はこのまままっすぐ行けば居るのか?」


「ああ、それは間違いないよ。でも行けば確実に戦うことになるよ?

今この地に居る聖霊は正気じゃない」


「「正気じゃない?」」


ネイミルの言葉に揃って復唱する俺たち。


「どういう意味だ?」


「それを話す前にタクマ、君は霊力を感じることが出来るかい?」


「いや、霊力は感じられない・・・」


その質問に何か意味があるのかと思いながらもネイミルの真剣な表情に圧され答えた。


「それなら今ここでやってみて?多分今は感じられるよ?」


「?」


言葉の真意は分からなかったが言われた通り集中してみる。



すると暫くして大きな魔力を感じた。だが、この魔力は何かが違う。

リムやミリー、シロから感じる魔力とは根本的な何かが・・・。



「「どうだった?」」


目を開いた俺に2人が聞いてくる。


「ああ、確かに魔力を感じたが何かが違った。だが、何故だ?

以前聖霊石の欠片を見つけた場所では俺は何も感じなかったぞ?」


龍神の洞窟でのことを思い出しながらネイミルに質問する。


「それが霊力だよ。そしてその龍神の洞窟でのこと、それは、タクマ本人の魔力がその場に残っていた聖霊の霊力を遙かに凌いでいたから・・・」


「・・・それはその時リムに聞いたが」


確かあいつも同じようなことを言っていた。


「そうか、そのリムって子は相当な実力を持っているのだろうね?ま、今はそれは置いておこう。

・・・今君が霊力を感じることが出来たのはこの森に居る聖霊の力が君と同等か君以上だからだ」


「???」


この時点で瑠美は全く俺とネイミルの話について来れてなかった。

頭の上を?が飛びまくっている。


後で詳しく説明するか・・・。


「だが、そこまで強い感じはしなかった。龍神の洞窟で戦った龍族よりも少し上かそれ位の魔力だったぞ?」


「おや、そうなのかい?可笑しいな明らかにあそこの龍族よりも上の筈だが・・・君が戦った龍族はどんな奴だった?」


「ん?・・・・最初に戦ったのが赤と緑と白龍で赤い奴は二足歩行で念話を使える奴だ。

それがどうかしたか?」


俺が言ったらなんか呆れられた。


「はあ、君は出鱈目な存在だね・・・今君が言った赤い龍。そいつは龍神を除けば最強クラスの龍だよ?」


そうなのか?とてもそうは思えないが・・・。

まあ、いいか。


「それでここに居るやつはそいつよりも強いのか?」


「まあ、そうなるね。でも、赤龍を倒したなら安心か・・・このまま進もう」


「ああ・・・」


ネイミルがそう言って進み始めたので俺もついて行こうとするが瑠美のことを思い出しそちらを見ると・・・


「(かっくん・・・かっくん・・・)」


と頭を上下しながら立ったまま寝かかっていた。

器用な奴だ。


パン!

「わっ!なに!って、お兄ちゃん。話は終わったの?」


猫だましの要領で手を叩き瑠美の目を覚まさせる。


「ああ、いくぞ?」


そう言って俺もネイミルの後を追うため歩き出した。


「あっ、待ってよ~」


そしてその後ろを瑠美が少し焦った感じで付いてくる。




それから1時間後、拓けた場所に出た。



「ここか?」


「そうみたいだね・・・ここが一番力が強い」


「うん、私が感じたのはこの力だよ」


俺のつぶやきにネイミル、瑠美の順で反応する。


ここは中央に一際でかい気があり、その木を囲むようにして周りに泉がある神秘的な場所だ。

そしてその木の前に影が2つ・・・おそらく聖霊だろう。

俺たちの方をずっと見ている気配が伝わってくる。


「な・・・なんか、怖い・・・お兄ちゃん・・・・」


震える声でそう言って俺の服の裾を掴む。


だが、確かにこれは瑠美にはきついかも知れない。

俺たちと影は20メートル以上離れているのに威圧感がひしひしと伝わってくるのだから。


「瑠美には結界を張っておいた方がいいよ?巻き込まれたら助からない・・・」


「だろうな・・・瑠美少し離れろ、結界を張る」


ネイミルに言われたことは俺も感じていたことだったのですぐに実行する。


「う、うん・・・」


手を翳し結界を瑠美の周りに展開する。

念のためその上からもう一つ展開した。


「これで大丈夫だろう。ネイミル、準備はいいか?」


結界を確認してネイミルに問いかける。


「もっちろん!いつでもいいよ!」


言うと同時に右手を振るとその手に突然槍が出現した。


色は蒼く柄には鎖が巻き付いている。

そして先端に施された黄金の装飾は見る者すべてを魅了するような物だった。

全長は明らかにネイミルよりも大きいが本人はそれを片手で軽々と持っている。


現に瑠美は「ほぁ・・・」と声を洩らした。



俺は2つの影を見据える。


左側に立っている者この距離でも体格の良さが分かるほどの屈強な男。

それに引き替え片方は全体の線が細いことから、おそらく女だろうとあたりを付ける。


手には何も持っていなかった。そのことに疑問を感じたがたった今見たネイミルの様に突然と武器を取り出す可能性も十分にある。


「ネイミル、お前は小さい方を頼む。俺はあっちをやる」


「了解。でも本気でいきなよ?いくら君の力が出鱈目でも相手の力も相当なモノだからね」


「分かってるさ・・・」


はっきり言ってあいつらの力がどの程度なのかは分からないが、手を抜けば確実にこちらが殺られる。


「行くぞ」


「おうともさ!」


ドン!と同時に駆け出して泉を越え2つの影の正面に立つ。


思った通り線の細い方は女だった。


男はネイミル以上の紅い髪で上は何も着ていない半裸の状態。

女は逆で蒼い髪を両サイドで結んでおり、蒼い民族衣装の様な服を着ている。

わかりやすく言えば踊り子みたいだ。



そして、この2人の唯一の共通点・・・それは



黒い瞳だった。



「ネイミル・・・こいつら」


「ああ、正気じゃないのは分かっていたけど、ここまでとは思わなかった。

これは本気で覚悟しないといけないかもね?」


引きつった笑みを浮かべてネイミルはそう言った。


「どういう意味だ?」


「それは・・・タクマ!伏せて!」


ネイミルの切羽詰まった声。

その声と同時に何かがを切る音が聞こえ反射的にその場にしゃがみ込んだ直後


ドゴオオオォォォォォン!


と後方で大きな爆発音がした。


何があったかは大体予想が付いたのでそちらは向かずに男と向き合う。

男は右手を振り抜いた状態で立っていた。

その右手が炎上していたところを見るとおそらく火の魔術かな何かを放ったのだろう。


となるとこいつはイフリートか。面倒臭そうだな・・・


「ネイミル、おしゃべりは戦いが終わった後だ。まずはこいつらを正気に戻すぞ?」


「そうだね、多分一発でも強烈な一撃ならそれで目を覚ますはずだよ。

頑張ってね?」


「ああ」


パンと左手を右手に打ち付ける。


「ま、折角戦うんだ・・・楽しもうぜ?」


俺が構えるとイフリートも構える。


「全く君は余裕だね?ボクは既に一杯一杯だよ。でも確かに楽しまないとね?

始めようか?ウンディーネ」


その言葉と同時にウンディーネの両手に剣が現れた。


透明な所を見るとおそらく水で出来ているのだろう。

厄介だな・・・あっちじゃなくて良かった。








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