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ネイミル・マーレ

瑠美と一緒に寝ていた俺は目を覚ますとリムと会った時のような真っ白な空間に居た。

だが、なんだかあの時とは雰囲気が違う。

よく分からないがなんとなくそんな感じがした。


「タークマ!」


「ん?」


いきなり声をかけられた。やはりここは誰かが作り出した空間なのだろう。


「誰だ・・・お前は?

この空間の主か?」


その問いを聞いた彼女は正に『興味津々』と言った感じの目をして俺の方を見ている。


容姿は間違いなく美人だろう。

燃え上がるような真紅の髪を後ろで纏め、服も赤いベスト、膝の少し上まであるスカート。


そして・・・最も特徴的なのがその目だ。


彼女髪や服から来るイメージとは正反対の蒼い目。

だが、決して冷たい印象など受けない澄んだ目をしている。


「観察は終わった?」


「何だ、分かるのか?」


「あったり前だよ。そんだけ見つめられたらね?」


あ~・・・確かにそうだな。

女にとってはずっと見られるのは嫌だろう。


「それはすまなかった。こちらに来てからは初めて合う奴は出来るだけ観察しようと思ってな・・・つい・・・」


俺がそこまで言うと


「気にしてないよ!そうなるのはむしろ当たり前だもん!」


「当たり前?」


「うん。誰だって初めて合う人には少なからず警戒心を抱くからね?

そうなるのは、当たり前」


もう一度そう言った。


「それはそうと・・・」

「ああ、俺もそろそろ聞こうと思っていた・・・」


「やっぱり面白いね、君は。ここに来ても全く動揺しないもん。

・・・よし!それじゃ、本題に入るよ?いい?」


「ああ。だが、短く話してくれ。

長い話はあまり好きじゃない・・・」


「・・・分かった。じゃ、一言で終わらせるよ?

ボクが君をここに連れてきたのは・・・・・」


どんな理由なんだろうな?


リムの時みたく『理由が無い』とかは無いだろうが・・・


「一緒に連れてって欲しいから!」


両腕を広げて高らかにそう言い放った。


ま、断る理由は何も無いからな・・・


「いいぞ」


「・・・え?」


「だから、いいぞ?着いてきたいなら共に来い。

俺はともかくあいつらと居れば楽しいからな」


「・・・・・ホントに・・・いいの?

ボクなんかがついていっても?」


「はぁ・・・何故お前らは自分で聞いといて俺が返すと呆けるんだ?」


別にもう慣れたから構わないがな。


「でも、名前も言ってないよ?そんな奴を信用出来るの?」


「タクマ・ミョウホウ」


「え・・・?」


「名乗ったぞ?お前も名乗れ?」


「あ・・・うん!ボクはネイミル・マーレ!

これからよろしくね!」


「ああ」



その後少しだけ話して俺達はこの空間から出た。




「ん・・・ああ、寝てたのか。瑠美は・・・」


「すぅ~・・・すぅ~・・・」


「まだ寝てるな・・・」


それは良いんだが。


「く~・・・く~・・・」


何故起こした張本人が眠っているのか。リムと同じだ。


とりあえず放っておこう・・・面倒だし。


「・・・報告はしておくか。(リム)」


(何?)


(すまないが、そっちに着くのはもっと遅くなりそうだ。

休憩していたら眠ってしまってな・・・)


(そうだったの?道理で反応が無いと思ったら・・・うん、分かった

みんなにはそう伝えとくから。

森はどうだった?)


(いや、まだ森に入ってもいない・・・)


(・・・・はい?)


(森に来るまで走ったから俺も瑠美も疲れてしまってな、それで休憩していたんだ。

それと・・・寝ている間に新しい仲間が出来た)


(仲間?)


(ああ。お前と初めて会ったときみたいに夢の中でな・・・)


(そうなの?それでその人は今どこに居るの?)


(お前の時みたいに寝てる・・・)


(え?あの時寝て居たのは拓磨の方でしょ?私が起こしたのに・・・)


(起こそうとしたらこっちに飛ばされたんだよ。その時に気を失っただけだ)


(あ・・・そうだったんだ?まあ、いいや。

それじゃ、あんまり急がなくて良いから、怪我だけはしないでね?)


(ああ、分かった)


(うん)


「さて・・・起こすのは面倒だから・・・」


どうしようか?

二人を同時に背負うのは無理だし・・・


「魔法で何とか出来るか?」


風とかそんな感じで。

やってみるか・・・


「風よ起これ~・・・」


ゴウ!


かなり大きな風が起こった。


あ~・・・もっと力を抑えないとな。


「もっと小さく、と」


ヒュウゥゥ・・・


「よし、だいぶ小さくなったな。

さて、運ぶか・・・風で包んでるし結界も張れば問題は無いだろう。


よっこいせっと」


風を指で操り二人を包む。


よし、大丈夫だな。


「やっと、森に入れるな・・・何も無ければいいが」





「見た目は普通の森だな。瑠美が感じた魔力が危険ものでないことを祈ろう・・・」


森を歩くこと小一時間・・・


「ん・・・ここは?」

「ふぁ~・・・よく寝た~」


やっと二人が目を覚ました。


瑠美は分かるがネイミルは何故寝ていたんだ?

俺の夢に干渉したことで何らかの力を使ったのだろうか?


「あ、お兄ちゃん~・・・よかった~、夢じゃ無かったんだ」


「お~、タクマ。君が居ると言うことはちゃんとこっちに来れたと言うことか?」


「おはよう瑠美。よく寝ていたな?」


「うん、ごめんね?疲れちゃったから・・・それよりも・・・」


「いや~・・・よかったよかった。あまり自信なかったからね~。

ま、これからよろしく!」


起きて早々元気なネイミルを疑問に思わない奴はまず居ないだろうな。


「この人誰?」


「ん?お~、君はタクマの妹か?似てないな~・・・本当に兄妹か~?

あははははは!」


「・・・・・・」


瑠美にはついていけんだろうな?

あっちにいた頃もそこまで自己主張が得意な訳じゃ無かったからな。

殆ど俺と居ることが多かった訳だし・・・。


そういう意味じゃリム達はかなり珍しいかも知れないな。

初めて会ったのに瑠美はすぐにうち解けた。


だが・・・


「あははははは!」


これは難しいかもな。


とりあえず・・・


「はは・・・わっ!」


ドシャッ!


ネイミルの部分だけ風を解除した。

まあ、当たり前だがネイミルは落ちた。


「いたいな~、何をするんだタクマ~。酷いじゃないか・・・」


頬を膨らませ怒りを表現するが、俺にとってそれはただ可愛いだけだ。

もう最近は開き直りつつあるからな・・・平気だね。


「少しは静かにしろ?瑠美は人見知りだ」


「おや、そうなのか?いや、これはすまなかったな?

では、改めてボクはネイミル・マーレだ、一緒に旅をすることになった。

これからよろしく!」


そういって右手を突き出し握手を求める。

だが、瑠美はまだ風の中だからな。

どうすればいいか悩んでる。


「瑠美、降ろすからその後は自分で決めろ」


ネイミルとは違いゆっくり降ろす。


「・・・えっと・・・よろしく・・お願いします」


おずおずと手を出す瑠美。そして握手をする瑠美とネイミル。


「よろしく!ルミ!」


弾けんばかりの笑顔を浮かべるネイミル。


「ぁ・・・うん!よろしくね!」


その笑顔をみて瑠美も緊張が解けたのか同じように笑顔を浮かべる。



「さあ、早く調べてリム達の所へ行こう。

これ以上待たせると怒られそうだ・・・」


「そうだね・・・行こう、ねいみー!」


「「ねいみー?」」


「うん!『ネイミル』だから『ねいみー』。良いでしょ?」


「ねいみーか、うん!いいな、それ!」


いいのか?まあ、本人達が良いならそれでいいが・・・。


しかし、瑠美はなんというかネーミングセンスがあまりないな。





新たな仲間を得て、新たな発見をした瞬間だった。



さ、森には何があるのやら?

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