表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/30

戦闘都市ガイラ

リムのテレポートで洞窟の外に出てきた俺たちはこの後どうするか話し合っていた。


「この近くに街はあるのか?」


「『戦闘都市ガイラ』がここから二日位歩いた所にあるよ?」


「『戦闘都市』ということは闘技大会などもあるのか?」


「うん、もちろんあるよ。あたしも去年参加したけど3位で終わっちゃった」


「その時お前と戦った奴の名は覚えているか?」


「もちろん。『ジーク・ハルベルト』っていう人だよ。たった2分位でやられたけどね」


『ジーク・ハルベルト』か絶対に叩きのめす。


「その戦いの内容は?」


「内容って言うほどじゃないけどね。えっと、まずあたしが斬りかかったんだけど、

軽く避けられて、鳩尾に打撃を喰らって、壁まで飛ばされた所をもう一度同じ箇所に

攻撃を受けて呆気なく負けちゃった」


「もう大丈夫なの?」


リムが心配そうに聞く?


「うん、痛みは全然無いよ。でも・・・ほら、痣になっちゃった。

こればかりはどうにもならないけどね?えへへ・・・」


俺はその痣に手をかざし、頭に浮かんだ言葉を紡ぐ。


『この者の傷を癒せ』


至極単純な言葉だが効果はあったようだ。レイラの痣は綺麗に無くなった。


「「・・・・・」」

「お兄ちゃん、すごーい!」


リムとレイラは呆けた様子で固まり、ハヅキだけがはしゃいでいる。


「ハヅキ、シロはまだ寝ているのか?」


「うん、ぐっすり眠ってるよ」


「そうか。まだ狼の姿に慣れていないのだろうな。それに今日は朝から

ずっと走っていたから、疲れてしまったんだろう」


「そっか」


「ハヅキ、頼んだぞ」


「うん!今度は私がシロちゃんを運ぶ番だもん!」


「そうか。あ、そうだ。洞窟でこれを拾ったんだが、何か分かるか?」


それを見せた途端


「・・・・・」


ハヅキまで固まってしまった。


パン!と手を叩くと


「「「はっ!」」」


と三人とも元に戻った。


これからは三人ともこうなったときだけこうしよう。


「それで、ハヅキこれが何か分かるか?」


「あ!そうだ!これが『聖霊石の欠片』だよ!お兄ちゃん!」


「なに、これが?」


「へ~これがそうなんだ・・・。綺麗だね~」


「確かにこの石からは何かしらの力を感じるわね」


「ああ、俺もそれが気になって持って来たんだ。だがまさか、

これがそうだったとはな」


意外な形で手に入るモノだな。


「しかもこれ、かなりの力を持ってるよ。多分昨日位まですぐ近くで

それも長時間『イフリート』と『ウンディーネ』の力を受けたんだと思う」


「確かにこれと似た力を途中で感じたわね」


「そう言えばあたしもうっすらとだけど今まで

感じたことの無いような力を感じたな~」


「俺は何も感じなかったぞ?」


「えっ!それは可笑しいわよ!レイラよりも高い魔力を持つ拓磨が『霊力』を

感じない筈は無いわ!」


「確かに・・・そうだよね。でなきゃあそこを無傷で通過するなんて

不可能だし」


「『霊力』というのは聖霊が持つ力のことか?」


「ええ、そうよ。私やミリーみたいに高い魔力を持つ人は

差はあっても霊力を感じることが出来るの。


でも、それを拓磨が感じないのは・・・拓磨手を出して」


いきなり言われたので少し反応が遅れてしまったが、言われた通り手を前に出すと、

リムがその手を掴んで言った。


「今から魔力を量るけど、その前に貸した力を還して貰うね?いい?」


「ああ」


「ん。・・・それじゃ、このまま量るからそのままじっとしてて」


「ホントにそれで量れるの?」


「お姉ちゃんだから大丈夫じゃない?」


「少し静かにして!」


「「は、はい」」


2人が静かになったことで聞こえるのはシロの寝息と風の音だけとなった。



いくら待ってもリムが何の反応も示さないので、少し心配になり声を

掛けようとしたが・・・


「ふう・・・」


丁度終わったようだ。


「どうだった?」


「量り切れなかったわ」


「え?どういうこと?」


「そのままの意味よ。私たちとは比べ物にならない程の魔力よ」


「え、なら何で霊力を感じなかったの?」


「聖霊の力すら拓磨は超越してるの。だからよ。

はあ、ホントどれだけ規格外なのかしら?」


「ホントだね・・・」


「まあ、でも拓磨だからね。なんかそれだけで納得しちゃうわ」


「確かに・・・」


そう言って2人は先に歩き出してしまった。


「お兄ちゃん、変な納得のされ方してるけどいいの?」


「もう慣れたからな・・・いいさ。それより、シロが落ちないように

気を付けるんだぞ?」


「うん」


小走りでリム達に追いつき、さっき怪我を治したときに考えたことを2人に伝える。


「レイラ、お前はガイラにいる間リムに回復魔術を教わっておけ」


「それはいいわね。レイラの魔力ならすぐに習得出来るだろうし、それだけでも

かなり強さが変わるわよ」


「それもそうだね。うん。よろしくねリム?」


「ええ」





それから二日後俺たちは戦闘都市ガイラに到着した。


走ればすぐに着いたのだが、シロが狼の姿に慣れるためと休憩する時に、

レイラがリムに回復魔術を教わる時間を作る為に歩いて来たのだ。


その甲斐あって、シロは大分狼の姿に慣れ、レイラは回復魔術を完全に習得

することが出来た。

だが、戦闘では使っていない為、闘技大会で最終確認をすることとなった。


「それで、大会の受付はどこで出来るんだ?」


「タクマも参加するんだ?」


「ああ(ぶっ飛ばしたい奴がいるからな)」


「あそこおっきい建物が見えるでしょ?あそこにいる団長の試験に

合格すれば大会に出ることが出来るの」


そう言ってレイラが指さす先には、他のモノとは比べ物に

ならないほどの大きさの城の様な建物があった。


「ここは王国か何かか?」


「そうだよ」


「なに?」


「ここは『戦闘都市』でると共に『王都ガイラ』でもあるの。

なんか初代の王様が戦闘狂だったらしくてさ、それで『闘技大会』

が開催されるようになったんだって・・・」


「迷惑な王だな」


それさえ無ければレイラが怪我をすることも無かったというのに・・・


「それじゃ、私たちは宿を確保しておくから、2人は試験を受けてきなさい。

早いほうがいいでしょ?」


『魔王の言う通りだ。『遅れて参加出来なかった』となっては笑えんからな』


「はは・・・それは確かに笑えないな」


「そうだね。行こっか?」


「いってらっしゃ~い」


ハヅキに見送られ、俺とレイラは城へと向かった。


「なあ、レイラ。去年はどのような試験を受けたんだ?」


「去年は試験が無かったんだよ」


「何故だ?試験に合格しなければ大会には出られないんだろう?」


「うん。そうなんだけどね・・・去年は団長のお眼鏡にかなう人がいなかったから

希望者は皆参加できるようになったんだよ」


「そうなのか・・・」


「確かにあいつと『赤騎士』以外は素人もいいとこだったからね?」


「『赤騎士』?」


「去年の優勝者だよ。全身を赤い鎧で包んでて火属性の魔法を得意としてることと、

素顔を誰も知らないことからそう呼ばれるようになったの」


「なるほど。それは楽しみだ」


「あ、着いたよ」


「ん、ほう」


近くで見ると龍の姿になったシロと同じ位の大きさがあった。


城を見上げていると今出てきたであろう騎士から声を掛けられた。


「お主、タクマか?」


そいつはついこないだ会った、龍神だったが、レイラはあの時存在にすら気付いて

いなかったので、1年振りに会う団長が俺に声を掛けてたことを不思議に思っているようだ。


「おお!レイラも一緒か!あの時共にいるのを見て『もしや』とは思っていたが」


「え?団長と会ったのは去年だけど?それにタクマはいつ団長と会ったの?」


「つい最近だ」


「『つい最近』って、タクマこないだ来たばかりだよね?どこで会ったの?」


「お前も一緒にいたぞ?気付いて無かっただけだ」


「え?でも一緒に行ったのってまだ『オーガの森』と『龍神の洞窟』だけだよ?

森ではあたし達以外の人とは会わなかったし・・・。

洞窟でも誰とも会ってないよね?」


「いや、こいつがいたのは『龍神の洞窟』だ」


「え?ますますどういうこと?」


「こいつの正体は洞窟の主『龍神』だ」


「え!ホントなの?」


「ああ」


「ホントに?」


「うむ、タクマの言う通りだ」


俺の行ったことだけでは信じられなかったのだろう。

ブレットにも同じ質問をしたが、答えはすぐに返ってきた。


「ええええええええええ!!!」


叫んでいるが今は放っておこう。


「いいのか?そんなにあっさりばらして?」


「良い。レイラは信用に足る人物だ。それにお主の仲間でもある」


「そうかい」


「うむ」


「まあ、とりあえず・・・」

「そうだな。今は・・・」


「「うるさいぞ!レイラ!」」


同時に手刀を入れる。


「ひゃっ!」と可愛らしい悲鳴を上げ・・・

パタと気絶してしまった。


「そんなに強くは叩いていないが」


「我もだ」


「力を還したから今までとは違うのだろうか?」


「『還した』とは・・・どういうことだ?」


「俺は仲間から力を少し貰っていてな。その力を2日前に還したんだ」


「成る程。だから、今まで通りやってしまうと力が大きくなってしまうのか・・・」


「おそらくそう言うことだろうな。これからは気を付けよう。


よっと。試験は明日でもいいか?」


「いや、お主等なら試験は受けずとも良い。レイラの力は知っているし、

お主の力も分かっておるからな」


「いいのか?それで」


「団長の我が『良い』と言っているのだ。構わぬ」


「そうか?ではまた、当日に会おう」


「うむ」


俺はレイラを抱えて宿へと向かった。


「ん・・・うん?」


「お、目が覚めたか?」


「タクマ?あれ、試験は?」


「俺たちは受けなくて良いそうだ。これで当日までゆっくり出来るぞ?」


「そっか。ラッキーだね?」


「ああ」


その後少しだけ歩いたところで


「・・・って!なんで『お姫様抱っこ』なの!

おろして~///」


「おい、暴れるな下着が見えるぞ?」


「きゃっ///」


「そうそうじっとしとけ。もうすぐ着くからな」


「う、うん///」


可愛いなこいつは・・・。


もっといじめたくなる。


・・・俺ホントにロリコンじゃ無いだろうな?不安になってきた。


「どうしたの?」


首を傾げる仕草が無性に可愛らしく見えて、一瞬理性が切れかかったが、

何とか耐えた。


「ねえ、ホントに大丈夫?」


「ああ、大丈夫だ」


「そっか、タクマも疲れてるんだろうから、無理はしないでね?」


「心配するな。そんなに柔じゃないことはお前達がよく知っているだろう?」


「それもそうだね」


「闘技大会・・・頑張るとしよう」


「うん!今年こそ負けないよ!」


両手を胸の前で握りしめ気合いを入れるレイラ。

くそ、こいつ分かっててやってるんじゃないだろうな?




その後も宿に着くまで度々子どもっぽい仕草をするので着いてからは、飯も食べずに

すぐに寝てしまった。




今日の発見は、俺にロリコンの気があるということだ。


本当にそうなってしまわないよう出来るだけ気をつけるとしよう・・・。

なんかレイラがメインになりつつある。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ