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やり過ぎた・・・

「それで、聖霊石の欠片がどこにあるか見当は付いているのか?」


「全然・・・。そもそも、そんな簡単に見つかるモノじゃないからね」


「それもそうか」


そんな珍しいモノがそこら辺に転がっているわけはないか・・・。


聖霊『石』ということはどこかの洞窟などにありそうだが。

この辺に洞窟はどれくらいあるのだろうか?


「リム。この辺りに洞窟はあるか?」


「洞窟?そうねぇ・・・この辺りなら・・・」


『「龍神の洞窟」』


シロとレイラが揃って言った。


「龍神の洞窟?そんなモノがあるのか?」


「いくら何でも最初から難易度高すぎるわ。あそこに出るモンスターは

全てが龍族な上魔法でじゃないと致命傷は与えられないし・・・」


「タクマなら大丈夫じゃない?」


『そうだな。もしもの時は我が戦えば良い。それに此方には魔王もいるのだ・・・

負けはしないだろう』


「「魔王?」」


「ああ、リムは魔王らしいぞ・・・俺も昨日シロに聞いたばかりだが」


「えっ、そうなの?」


「ええ。そうだけど?」


「へ~そうだったんだ。だから『世界最強の魔法使い』なんだ?」


「それは逆よ・・・」


「逆?」


「そう、『魔王』だから『世界最強の魔法使い』じゃなくて、

『世界最強の魔法使い』だから『魔王』なの・・・」


「そうだったんだ。それにしても以外・・・。

魔王ってもっと、こう、なんて言うか・・・角とかあると思ってた」


レイラも昨日だけで大分常識がずれた気がするな。

いきなり魔王が自分と行動を共にしてるとなれば、リム達の言う『普通』で言えば

かなり混乱すると思うが・・・。


「私もそれは思ったなぁ。角があって、髭があって、真っ黒なマントを着けてるって感じ

かと思った。」


「確かに前魔王はそんな感じだったわよ?ママが人間だから「ママか・・・」はっ!」


「ママねぇ・・・。リムってお母さんの事『ママ』って呼ぶんだ。可愛いねぇ」


「ち、違うわよ!これはマ・・・お母様がそう呼べって言うから、仕方なくで!」


「いいじゃない。『ママ』で、お姉ちゃん可愛いし」


「うっ!もういい!」


『お主ら、あまりからかうでない?どう呼ぼうとその者の自由だ』


それはもっともだな。

親の呼び方なんて自分の好きにしたらいい・・・。

・・・呼び捨てにする所があっても可笑しくは無い。


その家族の未来は心配だが・・・。


「すまんすまん。で、母親が人間だから、お前は母親の血を濃く受け継いだということか?」


「うん。まあ、そう言う事ね。

魔力はお父様から受け継いだけど、魔法の才能はママ譲りね。

お父様は何故か魔法がからっきしだったから・・・」


「へえ。よく考えれば不思議だね・・・。

魔力があるのに魔法は使えないなんて」


「私はその辺はよく分からないけど・・・」


「どうしたハヅキ?」


「うん。二人の血を平等に受け継いだっていうことは、

とても、いいことなんじゃないかなって思っただけ」


そうなのか?

・・・いや、確かにそうかも知れない。

子どもというのはどちらかの血を多く受け継ぐことが多いだろうからな。


『母親には似てるが、父親には似ていない。』そう言えば分かりやすいかもな。


だが、リムは『どちらにも似ている』という、俺の知ってる限りでは

初めてだ。


そんなに知り合いはいなかったがな・・・。


あれ、なんか悲しくなってきた。いいや、考えるのは止そう。


『ハヅキの言う通りだ。両親の血を平等に受け継ぐというのは我等

龍にとってはこの上なく幸福な事だからな』


「なんで?」


レイラの質問にシロが答えようとするが


『・・・『なんで?』等と聞かれても、古よりそう伝えられてきたのでな。

我等にも詳しい事は分からぬ』


ということらしい。


恐らく、どちらの血も受け継ぐというのはそれだけ大きな力を

持って生まれてくるということなのだろう?


リムの様に『力』を父親から受け継ぎ、『才能』を母親から受け継いだ。

その結果『世界最強の魔法使い』にまでなったのだから。


このパターンを龍に置き換えればその龍はかなりの力を持つと言うことになるからな。


「この話はもういいだろう?

・・・それより、『龍神の洞窟』はどこにあるんだ?

ここから近いのか?」


「まさか・・・。ここから100㎞はあるわよ」


「100㎞って・・・まあ、いい。

それで、どっちの方向だ?」


「え!行くの?」


リムは些細な事で驚きすぎじゃないか?ハヅキでさえ落ち着いて・・・


「す~・・・す~・・・ぅん・・・」


寝てるよ。話が難しかったか?


まあ、ハヅキの事はシロに任せよう。


「当たり前だろう?それだけあれば戦闘訓練も十分に出来るからな。

本気で走れば、今日中に着くだろうが、龍との戦闘になった場合直ぐに

応戦は出来るとは思わない。

・・・ならば、シロの言っていた通り同じ龍族に教えて貰うのが一番良いだろう」


「確かにそうだよね・・・。折角シロがいるんだから、

シロに教えて教えて貰った方が効果的だし。

よっと・・・ねぇシロ?」


『何だ?』


「もっと小さくなれないの?ハヅキを乗せたいんだけど?」


『それもそうだな・・・ではしばし待たれよ』


シロの体が昨日と同じ様に光り、収まると・・・


『この位でいいか?』


「うん、丁度いい。・・・んしょっと。

それじゃ、落ちないように気を付けてね?」


『心配するでない。そんなことはせぬ』


確かに小さくはなったがそれでも5メートルはあるな。

シロは半分が好きなのか?


20メートル程から10メートル程になり、今度はさらに半分の

5メートル弱になった。・・・そんなことはいいか。


「シロ、その状態だと、どれ位の速さで走れる?」


『昨日より少し遅い位だな。それ以上はハヅキに負担が掛かってしまう』


「では、それよりももう少し遅い位で走ってくれるか?」


『うむ。任せておけ』


「よし。リムとレイラはちゃんとついてこれるか?」


俺たちのスピードは自分で言うのも何だが、かなり速い方だろう。

二時間程かかる距離を10分程で走ったのだからな。


「タクマ達の速さによるけど・・・ついて行けない事は無いと思うよ?

それなりに鍛えてるし」


「私も問題無いわよ?魔力で強化すれば済む話だし」


成る程、魔力にはそんな使い方もあるのか?

今度教えて貰おう・・・。


「レイラ、先に少し走ってくれないか?

そのスピードに合わせようと思うのでな」


「うん、分かった。どれ位がいい?」


「レイラに任せる。無理がない程度で走ってくれれば問題は無い」


「そっか。じゃあ、お先に!」


ダッ!


走り出した瞬間にはもう姿が見えなくなった。

かなりの速さだな。戦闘経験が長いだけはある。


『大した者だな魔力による強化も無くあれだけの速さで走れるとは・・・』


「シロ、あのスピードならハヅキに負担は掛からないか?」


『ああ、ギリギリ大丈夫だ。だが、保険は掛けておきたい。

お主、結界か何か張ることは出来るか?』


「拓磨にはまだそんなことは出来ないわよ。結界どころか初級の魔法も

使えないし・・・」


「いや、出来るぞ?」


言いながら、ハヅキに昨日と同様の結界を展開する。それを見たリムは

かなり驚いていた。


「え・・・なんで!?」


「あまり大声を出すな。ハヅキが起きてしまう」


「ああ、そうね。ごめん。でも、本当にどうして?」


「それは俺にも分からんが、出来るモノは出来るんだから仕方ない・・・。

それよりも早くレイラを追うぞ?」


『そうだな。あの速さでは既に5㎞は超えているだろう』


速・・・


「よし、では行くぞ?リムも準備は良いか?」


「あ、うん。少し待って・・・ん、いいわよ」


随分早いな、こんな簡単にできるモノなのか?

いや、今は早く追わなければ、本当に追いつけなくなってしまう。


「よし、いくぞ」


「ええ」

『うむ』


ドンッ!

ダッ!


上は俺とシロ。下はリムの踏み込みの音。


明らかに違いすぎる気がするな。


「リム!ちゃんと着いてきているか?」


「ち、ちょっとまって!拓磨速過ぎよ!」


「仕方ない。シロ、お前は先に行ってレイラと合流してくれ。結界があるから

もう少しは大丈夫だろう?」


『ああ、問題は無い!それでは出来るだけ早く来るのだぞ!』


「心配するな!もし、レイラがモンスターと戦っていたら助けてやってくれよ!」


『任せておけ!それでは先に行くぞ!』

ドンッッ!


おお、さらに上がったな。ああは言ったが本当に大丈夫だろうか?


「はぁ・・・はぁ・・・」


「おっと、そうだった」


「もう・・はぁ・・・速・・すぎ」


「大丈夫か?ほら、乗れ」


「え?いいの?」


「ああ、そうしないと追いつけないからな。ほら」


「う・・・うん///」


「いいか?」


「ええ」


あいつ等に追いつくにはもっと速く走らないと駄目だろうな?

なれておいた方が良いだろうし、本気を出してみるか・・・。


「リム、本気で走るから落ちないようにしっかり捕まってろよ」


「うん、分かった」


「よし、行くぞ!」


ドガッ!


ん?ドガッ?


普通ならここは『ドンッ』や『ダッ』だと思うが『ドガッ』?


地面がどうなったのか確認をしようと後ろを振り向くが・・・

もう、見えなかった。


仕方ないので前を向きなおしたが、その先にはもうシロとレイラが見えていた。


とりあえずこのままでは追い越してしまうので、急停止するが・・・


ガガガガガッ!と地面がかなり抉られた。


俺の脚によって・・・


「きゅ~」


その時の衝撃によってリムは気絶してしまった・・・


「タクマ・・・」


「なんだ、レイラ?」


「・・・やり過ぎ」


ですよね。

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