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はじめに

 機械の騒音はすでに止み、閑散とした夜の工場。皆が退社し、残業でひとり残された私。天井の梁にロープをくくり、その準備は整った。足もとの脚立を蹴ろうと思った瞬間、はっと我に返った。なぜ気づかなかったのか。これがノイローゼというものなのか。


 会社を辞めればいい。ただ、それだけのことだった。


 鬱病、そう診断された。メンタルクリックに通う生活が始まる。処方された薬を服用し、私は自分の内面と向き合う時間を持つようになった。


 工業高校卒の中年。独身。いまさらどう生きようと絶望しかない。孤独死だけが待つ末路。ポジティブな思考を持つことは、なかなかに難しい。


 ある日ふと、私は昔から心の奥底に抱いていたある願望を思い出した。


 それは、小説を書くことだった。


 新人賞にいまさら出そうとは思わない。行き遅れた学のない自分がどう足掻こうと、太刀打ちできるはずもない世界なのは明白だからだ。しかも、落ちたら立ち直れない。いま以上の絶望を味わうのはまっぴら御免だ。求めるのは、本当に必要なのは、心から執筆を楽しむことなのだ。


 趣味作家。この選択は、もはや必然であり、運命だったとも思う。


 そして、紆余曲折を経て、妄想垂れ流しの現代ファンタジー小説が完成した。他者には読むに堪えない内容だろうが、自分にとって唯一無二の一冊が完成したのだ。


 この小説は、私の心の救いとなり、新たな人生の目的を与えてくれた。自分だけの物語を紡ぎ出すことで、絶望は、喜びしかない希望へと変貌する。


 いま私は「趣味作家のススメ」と題して、自分の経験と、小説執筆がもたらした変化を記録し、共有しようと思う。辛く苦しいことがあったときに、自分には小説執筆があるから大丈夫と、執筆に没頭する快楽の存在が、お守り代わり、いや、人生の盾になるということを、同じような境遇にいる人たちに伝えたい。


 これは、私の備忘録であり、小説執筆の魅力を、趣味とはいえ趣味を超越したものであることを、最大限に伝える試みなのだ。

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