腰の痛みで死を覚悟した話(最近の人はアキレス腱を伸ばすことが足りていないらしい)
腰の痛みで死ぬかもしれないと思ったことと、アキレス腱を伸ばした方が良いという話です。
個人的なエッセイです。あまり真に受けないでください。
さて、腰に激痛が走る以前、私は仕事で座っていることが多く、仕事以外でもイスに座ってスマホを見ることが多い人間でした。
そんな生活をしているからか、私は日常的に目が疲れており、肩こりもひどい状況でした。
しかしながら、あまり自分の腰に関心を持つことはありませんでした。
それは、私が今まで生きて来たなかで腰に痛みを感じたことなど一度もなかったためです。
当時、私はイスに座っているときにすごい「反り腰」になっていました。
反り腰とは腰が過度に反った姿勢であり、立った状態だと目立ちにくいそうですが、イスに座ると腰が沿った状態になってしまい、常に腰に負荷がかかってしまうそうです。
とはいえ、反り腰の状態でも私は腰に痛みを感じることがなかったため、その状態を放置していたのでした。
それどころか当時、私は運動不足の解消のためにジムに通い始めていたところであり、「定期的にランニングマシーンで運動をしているなんて、私はなんて健康的なのだろう。」とさえ考えていたのでした。
そんな自惚れが破壊されたのは、それから1か月ほどたったころの事です。
朝、眠りから目覚めたときにそれは始まりました。腰に今までに感じたことのない痛みが走るのです。
(腰が痛い!痛いなんてものじゃない。激痛!!痛みが強すぎて体を動かすことすらできない。)
私は目を覚ました途端に、腰の痛みで顔を引きつらせることになりました。
痛みが強すぎて声を出すことすらできません。
腕を動かすことはなんとかできるのですが、足を動かそうとすると腰の神経に電気ショックのような痛みが走ります。
腕を骨折しても、痛む場所は骨折した場所だけですが、腰の痛みは足にまで影響が出るのです。
それは私の感じたことのない痛みであり、足に力が入らない状態は、もしかすると私はこのまま下半身不随になるのでは。と恐怖を感じさせるほどでした。
さて、目覚めてからベッドの上でもがくことすらできず、じっと身を強張らせていたわけですが、時間が経つと痛みはありつつも、なんとか体を起き上がらせることができるようになります。
そして、会社に休みの連絡を入れた後、整形外科の開始時間と同時に整形外科に予約の電話を入れたのでした。
問題はここからで、腰から上の部分の頭や腕はなんとか動くのですが、腰から下の部分は動かそうと意識するだけで電流が走るような痛みが走ります。
しかしながら病院に行かなければ治療を受けることができません。私はなんとか立ちあがり、ひたすら痛みに耐えつつ病院を目指したのでした。
病院は家から徒歩5分程度のところにあり、普通ならかなり近い場所にある病院のはずです。しかしながら、私の今の状態だと永遠に感じられるほどの距離です。
こんなときに杖があったらと思いましたが、残念ながら健康を過信していた私は杖を持っていなかったたので傘を杖替わりにして、半歩ずつ足を引きずりながらなんとか病院に向かいました。
そして病院に辿り着いたとき、私は心の底から(助かった。)と感じました。
どうなるかはさておき、とにかく命は助かったという感情というか、九死に一生を得るというのはこういう感覚なのかと感じたほどです。
さて受付をした後、病院ではまず腰のレントゲンを撮ることになりました。
診察台の上で横向きや仰向けなどの姿勢になり、様々な角度からレントゲンを撮ります。
姿勢を変えようとするだけで強い痛みが走るので、レントゲンを1枚撮るたびにラスボスと戦っているような気分になっていましたが、これで助かるんだという死ぬ気の根性を振り絞ります。
そして何枚かレントゲンを撮った後、待合室で10分ほど待つことになります。
待合室では高齢者が何人もおり、私のように足腰をプルプルと震わせながら病院内を歩いていました。
そして意外なことに、私と同じくらいの年代と思われる男女の姿もあり、腰に手をあてたり膝をさすったりしています。
今まで自分の腰が痛くなるまで意識していませんでしたが、体を痛めて整形外科に通っている同年代の人がそれなりにいることを知ると、(みんな自分と同じように苦労しているんだ。)と、なんとなく仲間意識を感じてしまいました。
そのようにして時間を過ごしていると、自分の名前が呼ばれ先生の診断が始まります。
先生の診断はやはりというべきか、「ヘルニアです。」というものでした。
診断にはさらに追加の説明があり、さきほど撮ったレントゲンの写真を見せながら、腰にある神経が飛び出してしまっていて、その神経が圧迫されて痛みが生じている。という説明がありました。
実際、レントゲンには腰の写真が映っており、骨と骨の間の神経が映っているところ、一部分だけあきらかに骨と骨のあいだから神経が飛び出している部分がありました。
とはいえ、その飛び出しは過度に飛び出しているというわけではなく、写真では少しだけ飛び出しているだけに見えます。
それにも関わらず、これほど強烈な痛みが生じるということを実感し、私はあらためて腰に恐怖を感じました。
先生の話は続き、私の症状はまだ初期段階らしく手術は必要ないということ。(初期段階でこれほどの痛みなのか。)
日常的に悪い姿勢をしていることがヘルニアに繋がっているので、少しの間痛み止めを飲んでそれからはリハビリを行い、リハビリをしながら日常的な悪習慣を改めていくようにしましょう。ということになりました。
そして、痛み止めを飲んで1週間ほどが経ち痛みのピークが収まったころ、私のリハビリが始まったのです。
リハビリを手伝ってくれるのは医師ではなく、リハビリを専門にしている理学療法士の人でした。
理学療法士の人(長いので理学さんと呼びます。)からは、まず私の歩き方を見せてほしいということになりました。
なんでも、歩き方を見ることで姿勢の崩れや歩行の乱れなどがわかるのだそうです。
いつもは自分の歩き方など意識していませんでしたが、おそらく無様な歩き方をしているであろう自分の歩き方を見せるのは恥ずかしさがあります。
恥を忍んで5メートルほどの通路を往復すると、理学さんはすでに私の欠点に気づいたようでした。
そして、理学さんからの次の指示は、私にアキレス腱を伸ばす姿勢をとってほしいということでした。
正直なところ、この指示の意味は私にはよくわからないものでした。腰が痛いのに、なぜアキレス腱伸ばしをしないといけないのだろうかと。
不思議に思いながらも、おとなしくアキレス腱を伸ばす姿勢をとります。左右の足を自分の前後に置き、「人」のような姿勢です。
柔軟運動をすることがあまりなかったので足に多少硬さを感じましたが、それほど違和感は感じていませんでした。
そこで理学さんから次の指示があります。
それは、体を地面と垂直にしてアキレス腱を伸ばすのではなく、斜めにした足と上半身が一直線になるようにしてください。ということでした。つまり、「人」という字のイメージではなく「入」というイメージでアキレス腱を伸ばすということです。
そして、外から見ると腰の角度が少し変わっただけのはずですが、それだけで足に感じる負荷は明らかに変わりました。
足だけでなく腰まで含めて体を伸ばす感覚があり、さらになんというか、いままでは腰の上に上半身を載せて楽をしていたところ、足と上半身を一直線にすると上半身の重さをきちんと足で支えないといけないような負荷を感じます。私が体の前に置いた足は踏ん張りがきかずぐらぐらと揺れました。
理学さんが言うにはこれは足腰の部分が弱まっているためで、腰に痛みがあると腰だけに注目しがちですが、実際には背中、腰、足などを含めて体が硬くなったり弱くなったりしていて、それが原因でヘルニアにつながってしまうのだそうです。
そして、他にもリハビリの動きはあるそうですが、長時間のデスクワークをしている人はこの動きをしてストレッチと姿勢の改善をすることが有用なのだそうです。
私はそれから必死に、(必死にというほどの動きではありませんが。)ヘルニアが悪化しないようにアキレス腱伸ばしや、他に教えてもらった動きを行いました。
そして3か月ほどたったころでしょうか。
腰の痛みはかなり楽になり、完全には消えませんでしたが、それ以外に私の中で明らかに変わったことがありました。
それは、反り腰が改善されたということです。
反り腰が日常になっていたころは、私は必要以上に腰を反らせてイスに座っていました。自分の姿を自分で見ることはできませんが、他の人から見ると、正直見るに堪えない体勢になっていたと思います。
それが、今では過度な反り腰は改善されたと自覚できるようになり、自分の姿勢に恥ずべきところがなくなったという自信がついたのです。(今でも油断するとすぐに姿勢が曲がってしまいますが。)
そのようなわけで、腰の痛みは想像を絶する痛みが生じます。私はリハビリを続けて症状を和らげることしかできませんが、皆さんはこのような悲劇を避けるためにも、ときどきアキレス腱を伸ばしてみるのもいいのではないでしょうか。
体が痛い人は早く病院に行きましょう。それが一番なので。




