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ソナーの先にあるもの

作者: Momo Yoshimi

米米 

このストーリーはインターネットに流布している話を参考にしたフィクションである。各々の内容が事実であるとは限らない。


調査船の乗組員は、フィリピン沖の海域で、ソナーが感知したものがクジラではないことは認識していた。最初クジラやダイオウイカの類が漂流しているものかとも思ったが、そうではない。となると潜水艦か?早く調査船と異なる方向に行って欲しかった。でも、その物体は海面に近づいてきて姿を表した。大きな潜水艦だった。旗を掲げていなかった。どの国に所属している潜水艦かわからなかった。船の乗組員の一人は横っ腹にEVERGREENと薄っすらと書かれているのが見えた気がした。



「議員 なんとかお力添えをお願いします。IWC(国際捕鯨委員会)ですが、クジラの調査捕鯨も禁止しようとしています。ノルウェーも調査捕鯨反対に賛成の意向でしたが、今では態度を保留しています。日本だけ継続賛成で孤立無援です。このままだと押し切られてしまいます。」日本捕鯨委員長が議員に口火を切った。

「彼等らに、どう説明すればいいのか?」議員は質問した。

「調査を実施しておりますが、現状クジラが増えすぎています。オーストラリアでは、増えすぎて沿岸にも多くのクジラがおり、サメが食料を求めて、海岸沿いに現れてきており、人が襲われております。海開きができない状況です。まさに映画ジョーズの世界です。」副委員長がデータを示しながら説明した。


議員には、国連の分科会でプレゼンテーションすれば、これだけの客観的なデータが有るので、調査捕鯨だけではなく、捕鯨もできるはずだ。捕鯨反対に強く賛成しているオーストラリアでは観光にも被害が発生している。それにIWCの費用は、90%は日本が支出している。脱退してもいいんだと匂わせれば、すんなりと捕鯨までいってもおかしくない。これで漁業関係者の票はいただきだ。



議員は、会議室に入ると国連での分科会の状況を聞きに来た日本捕鯨団体の委員長と副委員長が待っていた。彼らはまっすぐに厳粛な表情で議員を見た。議員は肩を落として答えた。

「アイツら本当にわけがわからん。データを示しても、魚と違ってクジラは知的生命体だから、捕獲して食してはいけない。その一点張りだ。論理的な説明など意味をなしていない。牛や馬は家畜だから食してもいいのだそうだ。知的能力が低いのでいい。調査でもクジラは捕獲してはいけない。食してはいけない。その主張を曲げない。暖簾に腕押しと言うよりも議論が噛み合っていないんだ。ただ調査捕鯨をさせないため、あらゆることを言ってくる。客観的なことよりも感情論の土俵に持っていこうとしているように私には思える。」

委員長と副委員長は、黙ってまっすぐ議員をみて聞いていた。


派閥の代表者からは、拠出金のことは首にだしてはいけない。殺されるかもしれないから黙っていろと釘を差された。あの石井議員や中川議員のようになるぞと。<石井議員とは、民主党の議員で、国会で会計検査院が調査をしていない特別会計の質問をしようとしたら、その前日に日本刀で惨殺された人だ。中川財務大臣は、アメリカ国債を売ってもいいんだと発言した後、薬を飲まされて酩酊会見して、失脚した。> 

抵抗できない敵には向かってはいけないということなのか。議論が重要だと学校では教わるが、現実は全く違っていることに議員は今更ながら腹立たしかった。




それから1年後、議員は、派閥の長に議員会館で呼ばれた。秘書たちは人払いされていた。

私以外に官僚が2名呼ばれていた。

「暑い中ご苦労さん。IWCから、脱退してくれていいぞ。」とお話があった。

官僚も私も、青天の霹靂とはこのことかと思うほど、びっくりした。脱退などありえない話だったからである。あれほど、腫れ物を触るような扱いだったIWCである。

二人の官僚は、本当にいいんですか?どんなことが降りかかるかわかりませんよという顔で黙って真正面をしばらく派閥の長を見ていた。

10分ほどの沈黙の後、議員は「承知しました。ありがとうございます。」と答えた。

なにか我々の知らないところで決定されたのだろう。派閥の長も何がなんだかわからないのかもしてない。




日本は正式にIWCから脱退した。

加盟国からもマスメディアからも国際的に孤立するつもりか戦前の国際連盟脱退になぞられて非難された。加盟国からは特に激しかった。環境保護団体シーシェパードからは調査船への攻撃が増えた。マスメディアや加盟国には、客観的データで応戦したので、国内世論は概ね納得してもらっている状況である。シーシェパードからは、調査捕鯨船攻撃を予想していたので、エンジンのグレードアップをしていたので、彼らが追ってきても逃げ切れる状況になった。

加盟国からガヤガヤ続くだろうが、日本が加盟金を払わなければ自然消滅する。議員はもう勝ったようなもんだとほくそ笑んだ。委員長にも副委員長にも状況を説明して、調査捕鯨は継続できると話した。最後に議員は、今から少しづつ捕鯨の準備にかかってもいいんじゃないかと意見を述べた。2人は信じられないとブッ飛んだ表情で、目を白黒させた。




調査捕鯨をしながら3年クジラを捕まえている。何も茶々が入っていないようだった。街のスーパーにも鯨の肉が並ぶようになった。IWCは解体され、シーシェパードの責任者も逮捕された。

国際情勢を見てみると皇居や永田町では連日囚人護送車が止まっている。誰が逮捕されているんだろうと議員は思っていた。ある日財務省に赴いたら、ほとんど人がいなかった。コピーのメンテナンスの業者だけが作業していた。ネット界隈では、グローバリストの後退をさかんに宣伝していた。米国民主党指示のニューヨーク・タイムズ紙が公然とバイデン・ハリスを批判するようになっている。日本では、高血圧の基準値が130から160になった。足元からグローバリスト政策がローカル重視に変更になってきた。

議員は、今後漁民はクジラを取りすぎないことに注意してもらわないとつぶやいた。



「IWCは解散になりました。ディープステートの資金を断ちました。日本に対する圧力はすべて排除しています。日本の業者は調査捕鯨に勤しんでいます。今の倍の船を調査捕鯨してもっています。クジラ以外の大きなものを探知したら、報告してもらうようになりました。」 トランプ大統領側近が補佐官に報告した。

側近がこれはややこしい案件でしたねと述懐した。

日本のソナーが優秀すぎて、世界中で誘拐されている子供輸送の最新鋭潜水艦を探知してしまった。そして子供輸送に支障が来るから調査捕鯨そのものを中止に追い込もうなんて。なにがどうなるかわからないね。日本の漁業関係者も想像もつかないだろう。ディープステートがIWCに圧力をかけて捕鯨をやめさせようとしたなんて、理由は子供輸送に支障をきたすからだなんて、風が吹けば桶屋が儲かる的かな。これで、子供輸送はコンテナだけになるから、拿捕しやすくなりそうです。日本の調査捕鯨で輸送のルートが解明されるので、根本を立ちやすくなります。人身売買組織の壊滅に一歩近づきました。


ディープステートの言いなりの環境保護団体の元気がすっかりない。イルカ漁も矢面に立たされなくなった。イルカくんたちの災難は終わりそうにない。棍棒で叩き殺されるイルカくんは災難ですから。


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