ユッカの過去
「よし。ここで少し休憩しようか」
休憩と言っても水分を補給し、負傷者が居ないかを確認する程度だがね。手早く休憩を済ませ次の階層へ向かおうとしたら、
「あの……一つ質問してもいいですか?」
と、オリーブが質問を投げかけて来た。
「はい、何でも聞いて下さい」
「では……皆さんは、あれだけ激しく動いて……その……胸が擦れて、痛くなったりしないのですか?」
「「「あ~……」」」
どんな質問が飛び出して来るかと身構えていたら……思わずズッコケそうになってしまったよ。だがそんな俺の反応とは逆に、妻達は納得したように神妙な顔で大きく頷くのであった。
「それはですね、私達は全員、旦那様の考案した「ブラジャー」を着けているので大丈夫なのですよ」
とマリーが説明を入れる。
「ぶらじゃあ……ですか?」
「うん……これ……」
妻を代表してリラが防具を脱ぎ、その大きな胸を露出させた。その胸はしっかりとブラジャーに覆われている。
年頃の娘がはしたないと思うが町中でもあるまいし、そんなに目くじら立てる必要も無いか。
「これを身に着けますと胸がしっかりと固定され、動いても揺れが少ないのです」
「そうなのですね。この「ぶらじゃあ」は何処で手に入れられるのですか?」
「王都にある「服屋ユニス」というお店で買えますよ。私達のブラジャーもそこで仕立ててもらいました」
ここで宣伝しておけば、冒険者の間で広まりそうだな。
「それでは、今度お店に行ってみますね。あ、ユッカさんも一緒にどうです?」
「……えっ?」
突然名前を呼ばれ困惑するユッカ。何故彼女を?
「レオンさんなら大丈夫ですよ?」
「……うん。そうだね。じゃあ……」
オリーブとユッカが何やら相談していたようだが……すると突然、ユッカが着ていたポンチョを脱ぎ捨てた。
「……それは」
俺が驚いたのは突然脱ぎだしたからではない。脱いだポンチョの下から現れた大きな二つの膨らみ――爆乳という表現では生ぬるい、大きな胸が現れたからだ。もしやとは思っていたが……これ程とは。ちなみに服装は弓を扱いやすいように、薄手の軽鎧だった。
「ボクの胸……どう……かな? レオン君」
そう呟いた彼女の顔は不安の色で塗りつぶされそうになっている。ここはしっかりと答えねば。
「とても良いと思います。何処にも可笑しな所はありませんよ」
俺はそう優しく答える。
「ありがと……ボクはね、あんまり好きじゃないんだ、この胸」
自身の大きな胸に視線を落とし、ユッカはゆっくりと過去を語り始めた……。
「最初はね、男の人がこの胸を見ると褒めてくれるからさ、嬉しくなって薄手の服とかを着てたんだ。そしたら他の女の子より積極的にパーティに誘ってもらえるようになったしね。そしてランクも上がって固定パーティを組む事にしたんだ、それが男三人とボクの四人パーティね。初めは普通にダンジョンを攻略してたんだけど、次第にメンバーの視線が気になり始めたんだ。全員いやらしい目で胸を見るようになってね。流石に怖くなってパーティを抜けようとしたんだけどさ、その話をした途端に男たちが喧嘩を始めたんだ。「この女は俺の物だ」「俺の女に手を出すな」ってね。最後は武器を取り出して殺し合いを始めちゃったんだよ。その後、その場にいるのは危険だと思って逃げ出したんだけどさ……それ以来、固定パーティを組むのは避けてるんだ」
成程、初めて会った時に話したのはこの事か。確かにユッカは容姿に優れ、スタイルも抜群となると男が取り合うのも納得せざるを得まい。これはトラウマにもなるか。
「それにさ、弓を引く時にも邪魔になるしね」
重苦しい雰囲気が漂っていたが、この一言で幾分かはマシになったかな。
「これ着てると弓を引く時に邪魔でさ、それに暑くて大変なんだよ。それで、レオン君なら大丈夫かなって脱いじゃった。こんなにも美人で胸の大きい奥さんが沢山いるんだしさ」
これは、信用されていると思っていいんだよな?
「そうですね。ですが、それとユッカさんを素敵な女性だと思っているという事は別の話ですよ」
「ふぇ? そ、そうなんだ……それは……うん、ありがとうね」
ユッカは勿論、隣にいるオリーブも大変魅力的な女性だ。それこそ嫁に欲しいと思うくらいにはね。だがそうやってホイホイと嫁を増やしていたら、あっという間に百人に達してしまいそうだ。まあ流石に百人はあり得ないか、はっはっは。
ユッカとの仲も深まったし、有意義な時間だったな。では先へ向かうとしよう。




