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再会

 上級ダンジョンにあるギルド支部を訪れ、ダンジョン探索許可を申請している最中、唐突に後ろから声を掛けられた。

「レオンさん!」

 声を掛けられ後ろを振り向くと、そこには見覚えのある服を着た女性がこちらに向かって歩いて来た。

 特徴的な深紅のチャイドレスを身に纏い、両の腕にガントレットを装備した爆乳の美女。先日、共にダンジョンに潜った元・ギルド職員のオリーブだった。

「オリーブさんではないですか。これからダンジョンに向かうので?」

「はい。それで申請に来たら偶然レオンさんを見かけて、思わず声を掛けてしまいました」

 はにかむ様に笑うオリーブ。その様子なら、過去の事はしっかりと払拭出来ているみたいだな。これからもその笑顔を忘れないでいて欲しいと切に願うよ。

「あっ、レオン君じゃん。良かったら一緒にダンジョンに行かない?」

 オリーブとの再会を喜び、世間話に花を咲かせていたら、再び背後から声を掛けられる。

 ポンチョの様な外套を羽織り、背中に大きな弓が見える。そして長い耳が特徴のエルフの少女、ユッカである。今日は良く知り合いに会う日だな。

「ユッカさん、お久しぶりです」

「あれ? オリーブさんだ! 久しぶりだね」

 と、親しげに挨拶をする二人。

「二人は知り合いなのですか?」

「はい、以前一緒にダンジョンを探索した事がありまして」

「うんうん、その時に仲良くなったんだよね」

 長く冒険者をしていれば、そういう事もあるか。それにしてもだ、共通の知り合いがこんな近くに居るとは、世間は狭いと感じるよ。

 うむ。こうして出会ったのも何かの縁だ。誘ってみるか?

「お二人共、宜しければ御一緒しますか?」

「いいんですか? では是非お願いします」

「さっき言った通り、こっちからお願いしてたんだしね。断るわけ無いよ」

 という訳で、急遽メンバーを二人追加してダンジョンに挑む事になった。

「ところでさ、レオン君達は「どこ」に行くつもりだったの?」

 そういえば行き先を伝えていなかったな。行き先も聞かずに動向を決めるというのも豪気と言うか何と言うか。

「三十一層に向かうつもりですよ」

「三十一層⁉」

「あ~、あそこはねぇ……」

 驚くオリーブ、苦笑を浮かべるユッカ。二人のリアクションからも分かる通り、三十一層から先は非常に厄介、というか面倒な階層になっている。詳しくは後程で。

 面倒な場所に行くと知っても二人は同行する事を望んだ。

「では、宜しくお願いします。お二人の力を頼りにしていますよ」

 では行くとしますか。俺達はダンジョンの入り口から転送装置を使い三十一層へとワープした。




 転送先はお馴染みとなった石造りの大部屋だ。ここはこの階層「唯一」の安全地帯なので、ここで作戦と隊列を決めておこうか。

「パーティを前後二つに分ける。前列は俺、プリムラ、ソニア、セフィラ、桔梗、オリーブさんの六名。後列はマリー、リラ、アリス、ローリエ、エリカ、ユッカさんの六名。

 前列は、索敵要員の桔梗。突撃大好きプリムラとセフィラ。それをフォローする要因の俺とソニア。近接戦闘のオリーブという感じだ。後列は、背後からの奇襲を警戒する為の索敵要員としてマリー。後列のリーダー役としてリラ。実際に奇襲に会った際の盾役のローリエ。弓の遠距離攻撃に期待してユッカさん。エリカは正直戦い方が分からないので後方で様子見だ。回復魔法が使える人間を分けて配置した方が良いと判断してのアリス。

「というのが理由だ。何か質問はあるか?」

「私の理由だけ適当じゃな~い?」

 約一名から苦情が出たが無視だ。判断材料が少なすぎるんだ、この結果も止む無しだ。

 他のメンバーからは異論は出なかったのでこの布陣で挑むぞ。

 大部屋から出ると辺りは洞窟内の様に薄暗く、我々を陰鬱とした気分にさせる。周囲には墓石の様な物が見え、その近辺に人骨と思われる骨が散乱している。更に足元は泥濘になっていて機動力を削いでくる。

 攻略を開始しようとした俺達を、早速この階層の洗礼が俺達を襲う。

「何か来るよ、気を付けてね!」

 桔梗が警告の声を上げた。直後、周囲の地面から無数の腕が生えてくる。その手を使い地面から這い出てきたのは「ゾンビ」と呼ばれる生きた死体型の魔物だ。それに呼応するかのように、地面に転がっていた骨が修復されていき「スケルトン」、つまり骨の魔物へと変貌した。

「全員、囲まれない様に気を付けろ!」

 俺のこの声がこれから続く長い戦いの始まりを告げる合図となった……。




「数が多いだけさねっ、纏めて吹き飛ばしてやるよっ!」

 セフィラが戦追を振り回すと、複数体の魔物が纏めて吹き飛ばされていく。それも適当に振り回すのではなく、きっちりと複数纏めて倒せる位置の移動しながらの攻撃だ。流石としか言えんな。

「わたくしも見習わなくてはなりませんわねっ!」

 プリムラは群がって来る魔物を手当たり次第に切り伏せる。日々の努力の賜物だろう、最小限の動きで倒していく。かつての様な力任せの戦いではなくなっている。

「援護はおねぇさんにお任せよぉ。皆は好きに戦って頂戴ねぇ」

 側面や背後に現れた魔物を優先して魔法で倒していくソニア。非常に良い判断だ。

「あーしも頑張るよ♪ 『忍法・風手裏剣』っ!」

 桔梗が上空高く跳躍し、魔物の密集地目掛けて爆撃を敢行する。風魔法で創った手裏剣の乱れ撃ちか! ロマン溢れる素晴らしい魔法だな!

「相変わらず凄まじい戦闘能力ですね。これは私も負けていられませんっ!」

 強烈な正拳突きでゾンビを粉砕し、華麗な回し蹴りでスケルトンの頭を粉砕するオリーブ。彼女も妻達に引けを取らない実力者だよ。

「ふむ、見ているだけというのも恰好がつかんか」

 新しく相棒となった『天雷槍』に魔力を込め纏めてゾンビを串刺しにしていく! これなら前列組は大丈夫だな。さて、後列はどうだ?

「……後ろに……抜けない様に……それだけ……気を付けて……」

 戦場を広く見渡せる位置に陣取り、皆に指示を出しながら魔法で氷柱を創り出して攻撃するリラ。リーダーとして完璧な対応だ。

「承知しました。抜けそうな魔物は私が始末します!」

 マリーが戦場を素早く駆け抜け、厄介な位置にいる魔物を優先して倒していく。

「新しく手にしたこの『魔剣』で、皆さんをお守りしますっ!」

『嵐の飛剣』を使い広範囲の敵を風の刃で殲滅するローリエ。魔剣の力を存分に引き出しているな。

「私の近くに居ると~バラバラになっちゃうわよ~?」

 エリカが踊る様に大鎌を振ると、魔物はたちまち細切れになる。味方の邪魔にならないよう立ち回っているのが、彼女の技量の高さを裏付けているな。

「近くに寄る前に魔物の数を減らします!」

 遠くから接近してくる魔物を中心に魔法を放つのはアリスだ。そのお陰で後列の戦闘が余裕を持てているな。

「これってボク必要かな? 皆強すぎじゃない?」

 そんな弱気な事を言っているユッカだが、放たれた矢は全て魔物の頭を貫いている。この乱戦の中、確実にヘッドショットを決めるユッカの腕前は、凄まじいの一言だ。

 時間にすれば数分なのだろうが、この大群を相手にするのは精神的にくるな。

「魔石を回収したら、急いで移動を開始するぞ」

 周囲に散らばった大量の魔石を手分けして回収し、次の階層を目指し探索を再開する。この階層は魔物が大量に発生するのが特徴だ。その為、戦闘が終わったからと立ち止まって休憩していると、再び魔物に囲まれる危険がある。なので戦闘終了後は速やかに移動を開始するのがセオリーとなっている。しかしその代わりと言っては何だが、この階層には罠が全く存在しない。その辺りで難易度のバランスを取っているのだろう。その後も何度か戦闘をして三十二層へと辿り着いた。


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