パーティ名を考えてみた
「私に用事がある時は、王都にある私の店にお越しください。大抵はそこに居ますので」
ジャックとの連絡手段を教えて貰い、俺達は王城を後にした。王都観光を始める前にユニスのお店に寄る事にした。勿論、エリカの下着を作って貰う為だ。
昨晩、エリカが着ていた「コルセット」。それについて本人に色々聞いてみた所、あれは式典などの公式の場で着用するドレスの下に着る物だそうで、普段は着用していないとの事。つまり普段は「ノーブラ」で過ごしているという訳だな。
その話を聞いて、これは早急に彼女の下着一式を作らねばならんと思った次第だ。
「いらっしゃいませ、レオンさん」
今日も元気にユニスが出迎えてくれた。この笑顔に癒されている自分がいるな。
「今日は彼女――エリカのブラジャーとショーツを作って欲しくて伺いました。それと先日依頼した服も、彼女の分を追加でお願いします」
「よろしくね~」
「……また凄い美人さんだぁ……はっ? し、失礼しました。では採寸をしますのでこちらへどうぞ」
そう言ってユニスがエリカを連れて店の奥に行こうとしたその時だった、
「ねえねえ、だーりん。あーし「メジャー」持ってるけどさ、これ使う?」
「何? それは本当か? それならば使い方をユニスさんに教えてあげてくれ」
桔梗からまさかの提案が……。流石の俺でもメジャーは作れんからな。
桔梗をこの世界に呼んだ時に持っていた彼女のカバンには、他にも色々と便利な物が入っているそう。まあ、そのほとんどが「オシャレ」に関係する物らしいがね。
これでより詳細な採寸が出来るな。喜ばしい事だ。ついでにと言っては何だが、妻達全員の採寸を改めてする事になった。
その結果、
・マリー 身長:164㎝ バスト:115㎝ ウエスト:59㎝ ヒップ:87㎝
・プリムラ 身長:162㎝ バスト:116㎝ ウエスト:56㎝ ヒップ:85㎝
・リラ 身長:153㎝ バスト:118㎝ ウエスト:54㎝ ヒップ:85㎝
・ソニア 身長:173㎝ バスト:120㎝ ウエスト:60㎝ ヒップ:88㎝
・アリス 身長:160㎝ バスト:112㎝ ウエスト:59㎝ ヒップ:89㎝
・ローリエ 身長:165㎝ バスト:117㎝ ウエスト:58㎝ ヒップ:88㎝
・セフィラ 身長:168㎝ バスト:116㎝ ウエスト:62㎝ ヒップ:87㎝
・桔梗 身長:158㎝ バスト:113㎝ ウエスト:59㎝ ヒップ:87㎝
・エリカ 身長:171㎝ バスト:120㎝ ウエスト:60㎝ ヒップ:90㎝
以上の様な結果になった。数値にすると改めて分かる妻達のスタイルの良さだな。
「この「めじゃー」という道具は凄いですね! 当店でも使いたいのですが、どこで手に入るのでしょうか?」
ユニスが新しい玩具を目の前にした子供の様に目をキラキラさせてそう尋ねてきた。いや、それは……。
「これは桔梗の手作りでして、これ一つしか無いのですよ」
メジャーの出自について、適当な言い訳をして誤魔化しておくしかない。まさか「別の世界から持って来ました」とは言えんしな。
「そうなのですか……」
それを聞いてガックリと肩を落とすユニス。だが、そう悲観する事はないさ。全く同じ物は無理だが、同じ機能を持った物は作れるぞ。
「済みませんが、細長い布は用意出来ますか?」
「はい? 勿論できますが……」
俺はユニスから布を受け取り、その隣にピタリとくっつく様にメジャーを並べた。そしてメジャーの目盛りを頼りに布に線を描いて行けば「お手製布メジャー」の完成だ。
「出来ました。これで代用出来ると思いますよ」
「こ、これは! ありがとうございます」
ユニスにはこれからも色々な服を作ってもらう予定だからな。これ位の贈り物は当然だ。
「明日には依頼された服が全部出来上がつていると思います」
新たな衣服の製作を依頼しユニスに別れの挨拶をして、俺達は次の目的地へと向かった。
その次の目的地だが、冒険者ギルドに行く事にした。冒険者ランクが上がるという話があったのを思い出し、早めに寄った方が良いと結論付けた。
ギルド本部内に入ると、すぐさま職員に声を掛けられギルド長室へと案内された。中には本部長のトーマスが居て、早速ランクアップの話になった。
「お前さん達を「ランクA」に昇格させる。上級ダンジョンでの活躍と、先日の件で王宮からも打診があったのでな。会議でもスムーズに決まったよ」
本部長の言う「先日の件」とは帝国での一連の騒動の事だろう。本部長も詳細は把握していると見て良さそうだな。
「良かったのですか? ランクBを通り越してランクAにしても」
それにしても、まさか飛び級とは。大丈夫なのか?
「前例が無い訳でも無い。それにお前さん達の挙げた功績が大きすぎるのじゃよ。お陰で反対する者は誰もいなかったさ」
という訳で、早速ギルドカードを更新して無事にランクAになった。ちなみに、新しく加入した桔梗とエリカもランクAからのスタートになっていた。
「お前さん達のパーティメンバーなら問題無かろう」
だそうだ。話の分かる組織で助かるよ。
「それと、お前さん達パーティの名前を決めておいてくれんかのう? 呼び名があった方が何かと便利じゃからな」
突然そんな事言われてもな……。確かにパーティ名とか有ると格好いいし是非とも欲しいと思うが、いざ付けるとなると何て名付けるか迷ってしまうな。
「という訳で、パーティ名を決めてしまおうと思う。皆の忌憚のない意見を聞きたい。まあ、分かりやすい名前が好ましいとは思うが……」
ギルド内のロビーに移動し、ロビーの隅に集まって話し合う。
「では「旦那様と愛妻達」などいかかでしょう?」
「……確かに分かりやすいが、却下だ」
マリー案 ×
「そうですわね「仲良し夫婦の世直し隊」とかどうでしょう?」
「……却下だ」
プリムラ案 ×
「……「雷神槍」……とか?」
「格好良いとは思うが、それでは俺だけの特徴になってしまうな。出来れば皆の事も名前に入れたい」
リラ案 いい感じだが ×
「私は良い名前が思いつきません。ローリエは?」
「私もです……エリカ様は?」
「そうね~「神の使いと天使達」とかどうかしら~。私達にピッタリだと思うのよね~」
「……宗教的な面倒事に巻き込まれそうだし、却下だ」
それにそんな名前にすると、憎らしいアイツの顔を思い出してしまうので大却下だ。
(えっ? そんな言い方ひどくない?)
何か聞こえた気もするが、気にせず進めよう。
エリカ案 ×
「おねぇさんも何も思いつかないわぁ」
「アタイは何でもいいさね。そう言えば……剣闘士をやってた奴らは、大層な二つ名を付けてる奴が大勢いたねぇ」
どこの世界でも二つ名はロマンだよな。分かるぞ、その気持ち!
「じゃあじゃあ「だーりんと御奉仕隊」とか?」
「そんな恥ずかしい名前を他人様に呼ばせる気か? 却下だ」
桔梗案 ×
意外と良い案が出てこないものだな。俺達の特徴とはズバリ「夫婦」である事だろう。それを基本にして名前を考える。
「……悠久の約束はどうだろう?」
俺達夫婦の絆は永遠に変わらない……そんな意味を込めてみた。
「素晴らしい名前ですね」
「ええ、ワタクシ達の事を良く表していますわ」
妻達は口々に賞賛の声を上げる。概ね好評のようだし、これに決めてしまうか。
そうと決まれば、早速受付に申請し、その場で受理された。これで俺達は今日から悠久の約束だ。この名が世界に轟く日が楽しみで仕方ない。
これで一通りの用事は終わった。では改めて王都観光に繰り出すとするか。
観光と銘打っているが、メインは「お買い物」だ。観光名所という訳では無いので当然と言えば当然だな。だが買い物の途中に大通りで大道芸を披露している人達を発見して、思いの外楽しめたよ。俺達はそのまま夕暮れまで王都観光を楽しんだ。




