我が家で過ごす平穏な日々
「今日からこの家で過ごす事になる。とりあえず夕飯の準備が必要だな。マリー、準備を頼めるかい?」
「承知しました。では、食材の調達に出かけます」
当然と言えば当然だが、新築のこの家に、食料の備蓄は当然皆無だ。今迄は宿泊した場所で食事も提供されていたから、自分達で食事の準備をするという事をしてこなかった。故にそんな当たり前な事も失念していた。
「俺も一緒に行こう。荷物持ち位は出来るさ」
こういう時にアイテムボックスは本当に便利だな。内部に入れた物は劣化しないので大量の食糧を入れておける。
「おねぇさんも一緒に行くわぁ」「私も御一緒しますね」
ソニアとアリスが同行を申し出てきた。
「アタイは留守番をしているさね。中庭の使い心地も確かめたいしね」
セフィラは留守番か。
「ワタクシも家に残りますわ」「……私も……残る」
プリムラとリラも留守番組と。残りは……。
「……ローリエ。私の事は気にせず、貴女の好きなようにしていいのよ?」
「アリス……」
最後までどうするかを表明せず、思案顔で俯いていたローリエが、アリスの一声で顔を上げた。
「私の事を一番に考えるのは、もう止めにしましょう? だって私達はもう、主従では無く『家族』なのですから」
「……わかりました。私も家に残ります」
アリスの護衛をしようとする建前と、家に残って訓練に参加したいと思う本音がせめぎ合っていたのだろう。だがアリスの一言で本音を優先させた。良い傾向だな、俺としては嫁さん達にも「自由」に過ごして欲しいからな。この決定を尊重するよ。
「では、俺達は出かけるが……あまり派手にやるなよ?」
念の為、一言注意しておく。無論、嫁達の事は信頼しているが、一応ね?
「安心しなよ、今日は軽く運動する程度さね」
例の戦槌を肩に担いで言われても、説得力は皆無だよ。頼むぞ? 本当に。
一抹の不安は残るが、いつまでも押し問答しているのは時間の無駄と判断し、買い物へと出発した。
「ところでマリー、今日の献立は決めているのか?」
食材が売っている商店までの道すがら、夕飯のメニューについてマリーに聞いてみる。
「いえ。食材を見て、決めようかと思っています」
何と言うか……今の会話が「一般家庭の夫婦の会話」みたいで嬉しくなってしまった。俺の我儘で嫁達の人生を変えてしまったんだ、嫁達には色々な経験をさせてあげたい、そして沢山幸せを感じて欲しいと切に願うよ。
商店では肉と野菜を中心に購入した。そういえば「魚」が見当たらなかったので店主に聞いてみたら、この国では魚を食べる習慣が無いそうだ。川や海に生息している食用の魚は基本的に「魔物」なのだ。そこは陸上と同じだ。当然、海で自在に動ける人間などそうは居ないだろう。魔法を使えばある程度は可能だとは思うが、わざわざ危険を冒してまで海で狩りをしようとはしないだろうさ。そんな事はせず、安全に陸上の魔物を狩れば良いのだから。
しかし、元の世界では当たり前に食していた物が食べられないというのは少し寂しいな。どうにかして食べられないものか。
そんな取り留めない事を考えていた間に、嫁達は手早く買い物を済ませていた。
「これで買い物は終了ですね。家に帰りましょう」
「ああ、留守番組も心配だしな」
立地的に町の外れで周りに民家は無い。よってご近所さんに迷惑をかける事は無いとは思うが……。
「買い物とは、こんなにも楽しいものなのですね」
「そうねぇ、今度は皆で来ましょうかぁ」
うむ。次は全員で買い物にでかけようか。賑やか過ぎて困りそうだよ。
買い物を終え帰宅すると、何やら賑やかな声が中庭から聞こえてきた。思ったよりは静かな声だな。
玄関から家に入り、靴を脱いでリビングへと向かう。
「では、私は夕飯の支度を始めますね」
そう言ってマリーはキッチンで料理を作り始めた。
「私もお手伝いしますね」
「おねぇさんも手伝うわぁ」
三人で仲良く並んで料理を作る姿は、見ていて微笑ましくなるな。そう言えば、買い物の道中にアリスが「是非、私に料理を教えてください」とマリーとソニアに懇願していたのを思い出したよ。二人共笑顔で了承していて嫁同士の仲の良さが伺えるな。
「では、俺は留守番組の様子を見に行ってくる」
ここは三人に任せて、俺は中庭へと向かった。
中庭に着くと、セフィラ以外の嫁達が地面に大の字で寝転がっていた。
「おう、夫君。帰って来たのかい」
「ああ、今しがたな。それで、これは一体どういう状況だ?」
全員鎧を着込んでいるが、武器の類は見当たらないな。怪我らしい怪我も無いようだ、だが全員汗だくで荒い息を吐いている。どんな鍛錬をしていたんだ?
「初日から全力でヤルのもあれなんで、先ずは軽く組手でもと思ってね」
「この有様で「軽く」なのか?」
「大した怪我もしてないし、手加減もした。十分、軽くさね」
どうやらセフィラ対プリムラ、リラ、ローリエで組手をしていたようだ。三人を相手にしてこれ程の余裕とは、何とも頼もしいな。
それとセフィラの言っている事は正しい。まあ、無理矢理やらせているわけではなさそうだし、これ以上追及する必要はないか。
「それで、どうだった? 中庭の使い心地は」
「広さも十分あって地面もしっかりと整備されてる。いい訓練所だね、アタイは気に入ったよ」
それは重畳。これから幾度となく使用するんだ、使い心地が良いに越したことはない。
「それじゃあ全員、身綺麗にしてリビングに戻るぞ。夕飯の時間だ」
洗浄魔法を使って各々汗埃を落としていく。ふむ、全員疲労の色が濃いが、充実した顔をしている。セフィラには感謝だな。
リビングに戻り、部屋着(Tシャツと短パン)に着替え、テーブルに着席する。もう少しで夕飯が出来るとの事なので、それまで談笑して過ごす。話題は先程の組手についてだ。
「それにしてもセフィラは格闘戦もお強いのですね、ワタクシは手も足も出せませんでしたわ」
「……わたしも……駄目だった……ローリエは……いい勝負……してた」
「いえ、結局私も有効打を入れることは出来ませんでした……」
三人がここまで意気消沈するとは……いや「剣闘士」という職業を考えれば当然か?
「三人共センスは良かったよ、特にローリエは流石騎士団長だと感心したね。リラも動き自体は良かったよ。ただ腕の力のみで剣を振るうのに慣れ過ぎているだけさ。もっと全身を上手く使えるようになれば、更に上を目指せるよ。訓練次第で十分強くなるさね」
ローリエとリラの二人は高評価だな。問題は……。
「プリムラは対人戦闘の経験が無さすぎるのがネックだね。ま、これから幾らでも経験は積めるさ。アタイが徹底的に鍛えてあげるよ」
「ええ、宜しくお願いしますわ。ワタクシは、もっと強くなりたいです」
その熱意があれば大丈夫さ。これは俺も負けてはいられんな。
「皆さん、料理が出来上がりましたよ」
会話も一段落したその時、マリー達がキッチンから料理を持ってやって来た。
「おお! 美味そうじゃないか」
テーブルに並べられていく料理をみて、セフィラが歓声を上げる。メインは兎肉のステーキ、それと色とりどりの野菜サラダ。そして肉と野菜がゴロゴロ入っているシチューの様なスープと焼きたてのパンだ。買い物をしている最中パン屋の前を通り掛かった時に、丁度焼きたてのパンが出来上がったと声を掛けられ思わず買ってしまった物だ。
ちなみに、ステーキの味付けは塩と胡椒だ。この世界では胡椒が高級品として扱われているが、流石に金と同価値というわけではない。庶民には少し厳しいが儲けている冒険者なら余裕で帰る程度だ。なので遠慮なく使ってくれとマリーには言ってある。胡椒の産地は北の国だそうだ。
食事を終え、各々リビングで思い思いに寛いでいる。ところで、この世界の料理は基本「焼く」か「煮る」だ。王都の高級宿で出された食事もそうだし、王宮で出された食事も同様だった。味に文句は無いのだが、俺としてはもう少しバリエーションが欲しい。う~む、パスタ位なら作れそうだが、何より「米」が食いたい。人間、当たり前に有った物が無くなると、どうしようもなく欲してしまう生き物なのだ。この世界にも探せば見つかるかなぁ……。
夕飯を食べて次にする事と言えば勿論、皆さんお待ちかねの風呂に入る時間だ。嫁全員を伴って脱衣所で服を脱ぎ、風呂場へと向かった。
風呂場に入るとセフィラを除く嫁達は各々タオルで体を洗い始めた。セフィラは初めての風呂で勝手が分からないだろう、俺が手取り足取りレクチャーしなければな。
「俺が風呂でのマナーを教えよう、しっかりと覚えてくれ」
「ああ、風呂に入るなんて初めてさね。貴族様にでもなった気分だよ」
俺は早速タオルに石鹸を擦りつけ泡立てる。そして小麦色の健康的な肌をゆっくりと洗っていく。背中から始め腕、脚と洗っていき、遂に魅惑的な二つの果実に手を伸ばす。その圧倒的質量に興奮が収まらない。
「しっかし、男ってのは皆「こいつ」が好きなんだね。そんなに良いモノなのかねぇ?」
セフィラは胸の下に手を入れ持ち上げる。「たぷん」という音が聞こえた気がした。
「男とはそういう生き物だよ。さあ、次は尻尾だ」
そう言って俺はセフィラの細長い縞模様の尻尾を洗っていく。細心の注意を払いながらね。
以前ローリエに聞いたのだが、獣人族の尻尾というのはとても敏感で、他の人には容易に触らせないのだそうだ。つまり、尻尾を触らせるというのは信頼の表れという事だな。
俺の「尻尾を触る」宣言を聞いてもセフィラは特にリアクションをせず、悠然と佇んでいた。これは信頼されているとみていいのかな。
今まで以上の優しい手つきでセフィラの尻尾を洗っていく。
「……んっ……あっ……」
尻尾を一擦りする度にセフィラが艶かしい吐息を漏らす。それと同時に俺の理性が少しずつ吹き飛んでいく。落ち着け……今は風呂を楽しむ時間だ。
修行僧の様に雑念を全て捨て去り、セフィラの全身を洗い終えた。なんだ? この疲労感は。疲れを取る為に風呂に入りに来ているのに疲労を増やしてどうする。さっさと湯船に浸かろう。
木桶にお湯を汲みセフィラの体に付いている泡を綺麗に洗い流そうとしたが、それにセフィラが待ったをかけた。
「アタイだけ世話になるってのは申し訳ないからね、お礼に夫君の体を洗ってやるよ」
そう言ってセフィラは泡だらけの体を密着させ、その蠱惑的な爆乳を俺の体に押し付けて、ゆっくりと擦り始めた。
「ふふふ、気持ちよさそうだね。その証拠に「そこ」をそんなに大きくさせてるんだからねぇ」
それは当然だ。スポンジよりも柔らかい二つの膨らみが、体に擦れる度に形を変える。それを見ているだけで俺の「雄」の部分が暴発しそうだ。
「私達も、お手伝いしますね」
するとそれを見ていたマリーを初めとする嫁達が、セフィラと同じく体中を泡だらけにしてにじり寄って来た。
「いいねぇ、そう来なくっちゃ」
セフィラが笑顔で歓迎の意を示した事で、俺の理性が吹き飛ぶことが確定した瞬間だった。そして間もなく俺は爆乳の海で溺れる事になった……。
マイホームを手に入れ、これからの拠点はここになります。
流石にこの人数になってまで、宿暮らしというのもね……。
今作品は「お風呂」の描写が多いと思いますが、むしろこれこそがメインコンテンツと言っても過言ではない……のかな?
日常生活におけるヒロイン達との交流、それに最適なのが「風呂」というわけですよ。
まあ、色々と理屈をこねましたが、ただ単に筆者がお風呂シーンを書きたかっただけですね(笑)




