戦利品の査定か……ワクワクするな
ギルド内の扉を開き、隣の部屋へと移動した。部屋の内部は特に言うことも無い平凡な物だな。簡素なカウンター型のテーブルが一つ。そのカウンターに陣取る老婆が一人いるだけだな。
「おや? お前さん方、初めてだね?」
その老婆が話しかけてきた。その手前には何やら怪しげな水晶玉の様な物が一つ置かれている。
「はい。早速で申し訳ありませんが、鑑定をお願いします」
「やれやれ……最近の若い者はせっかちでいかんのう……鑑定料は一つにつき100Gじゃ、鑑定する物をここに出しな」
そう言って老婆はテーブルを人差し指でコンコンと叩いた。
「では、これらの品の鑑定をお願いします」
アイテムボックスから取り出し、テーブルの上に置いていく。数は十点程だな。
「それじゃあ、鑑定していくよ……ぬぅ~ん」
老婆が何かしらの魔法を使用する。恐らく鑑定魔法だろうが、どの様な原理・理屈で鑑定されるんだろう。教えてはくれないだろうな。
気になる鑑定結果だが、浅い階層の宝箱という事で有用な物は少なかった。その中でも最初に手に入れたペンダントは当たりの部類だった。
「ふむ……こいつは「理力のペンダント」という名前だね。身に着けると魔法の効果を少しだけ高める事が出来るそうじゃ」
との事。それ以外の物に関しては、俺達には有効活用出来そうに無かったので、この店で買い取ってもらった。そこそこいい値段になったと言っておく。
「ヒッヒッヒ……また来なよ。お前さん達は筋が良さそうだねぇ、ワシらも稼げると言うものじゃ」
老婆の笑い声を背に、店を後にする。店自体もそうだが、老婆も面白かったな。
「……追っては来ないか」
「そうですね。気配は消えました」
ギルドの入り口から俺達の様子を伺っていた者は、いなくなったか……さて、どうするかな?
「その前に、このペンダントはアリスに渡そうと思うのだが、どうだろうか?」
「よろしいかと。私では使いこなせないでしょうし」
「ええ、アリスさんがお使いになるのが宜しいかと」
どうやら全員賛成の様だな。
「……私で宜しいのでしょうか?」
「ああ、問題無い。受け取ってくれ」
「では、レオン様。宜しければ私にそのペンダントをつけて下さいますか?」
「分かった」
アリスの背後に回り、ペンダントを首に掛ける。
「どうでしょう。似合いますか?」
「ああ。よく似合っているよ」
俺がそう言うと、アリスははにかむ様に笑い頬を赤く染めた。
「「「……」」」
そして、他の嫁達から羨む視線が俺に注がれた。分かっているよ、いずれ全員に何らかのプレゼントを贈るさ。だから今はそれで許してくれ。
「よし。今後の行動について話し合おうか」
人気の少ない場所に移動し、会議を始める。議題は先程の「不審者」についてだ。
「先程までこちらの様子を伺っていた者がいた。それを踏まえて考えて欲しい、このままここで宿を取るか、王都に戻って宿を取るか……皆の意見を聞かせてくれ」
「……ここの宿屋は……正直に言って……止めた方が……いいと思う……」
リラが言うには、ここの宿は一か所しか無いそうだ。セキュリティも甘く部屋も狭いときた、先程の不審者の事もある、危険だな。
「おねぇさんの魔法で王都に戻るのが良さそうねぇ」
「私達の人数ですと、何部屋も確保しなければならないですからね。安全面を考えるなら王都に戻るのが一番でしょう」
ソニアとローリエ、それとリラは王都に戻る選択か。手堅いが正論だな。
「ですが、その不審者の方が何者なのか知るべきではございませんの?」
「そうですね。不審者が個人なのか組織なのかで対応も変わりますから、相手に行動を起こさせるのも一つの手かと」
プリムラとマリーはここに留まる選択か。意外と好戦的なんだよなこの二人は……。
「私は、できるだけ危険な事を避けるべきだと思います」
そしてアリスは戻る派と……これで多数決は四対二で、戻るが多数か。
「よし……ここで無暗にリスクを取る必要性は無いと判断する、相手の素性も人数も不明だしな。何の目的で俺達を見ていたのかも不明、臆病になる位が丁度いいさ。王都に戻るとしよう」
恐らく直ぐに行動を起こすだろうがな。金が目当てなら、魔石の換金を見ていたのだ、俺達が大金を持っているのは知れた訳だ。帝国絡みの可能性もあるが、その線は流石に薄いな。
「ソニア、頼めるか? 王都の城門付近に」
「はぁい。それじゃあ、皆で固まってねぇ」
ソニアが目を閉じ、魔力を高め集中する。やがて足元に魔法陣が出現し、眩い光が俺達を包んだ。
この転移の瞬間は慣れんな……まあ、前回よりはマシか。どうやらここは王都の城門近くの平原だな。しかも人目に付きにくい場所で、色々なケアも完璧な場所だった。
「全員、異常は無いな? ならば王都に向かうぞ」
城門の前に来たが、当然正面から入る必要は無い。こちらにはアリスとローリエがいる、貴族用の門から中に入る事が可能なのさ。
「どうぞお通り下さい!」
「はい、お仕事ご苦労様です」
ビシッと綺麗な姿勢で門番が中へと誘導してくれた。アリスが居る事で町中が騒ぎにならないかと心配したが、何の問題も無かったな。フードで顔を隠したのが功を奏したな。これなら帝国でも大丈夫だろう。
「城に泊まるという選択肢もあるが、例の高級宿にしようと思うんだがどうだろう?」
「「「賛成っ‼」」」
俺の提案は賛成多数で可決された。ちなみに内訳は、城に泊まるのは緊張して落ち着かない派のマリーとリラ。城や屋敷以外の場所で寝泊まりするのが楽しみ派のアリスとローリエ。どちらでも構わない派のプリムラとソニア。賛成四票に棄権二票だった。
そんなわけで『高級宿・極楽』にやって来た我ら一行。中に入ると早速例の支配人がやって来た。
「いらっしゃいませ。『高級宿・極楽』へようこそ……おおっ! これは『英雄』レオン様では御座いませんか」
支配人が俺の顔を見ると、満面の笑みと揉み手で足早に近寄って来た。
英雄……ね。それはつまり「大氾濫」の一部始終を掴んだという事だろう。
「随分と耳が早いじゃないか」
「鮮度の良い情報は、私達の様な商売人には必要ですからね」
胡散臭そうな見た目に反して、能力は高いなこの人は。
そして、今日泊まれるかと聞いた所「この国の英雄であるレオン様に泊まって頂けるなんて幸運な事でしょう」と鼻息荒く捲し立てられたので少し怖かったぞ……。
前回利用した「ゴージャス・スイートルーム」を希望したら、支配人がチラリとアリスを見て「お代は結構です」と言ってきた。アリスに配慮したのだろうが、俺はその申し出に断りを入れ、しっかりと料金を払った。
「今は冒険者として来ているので、そのように扱って下さい」
とアリスに直接言われて、支配人が折れた形になった。一人一泊1000Gだったはずだな、金貨一枚を差し出し部屋への案内を頼んだ。少し多めに出したのはチップ代込みだよ。
そこからの流れは前回と同じで、食事をして風呂に入り、夫婦の営みを経て眠りについた。
食事が前回よりも味が良くなっていたり(マリー談)。風呂が城の物と違って楽しい(アリス談)等、前回より色々と楽しめたな。
余談だが、夫婦の営みではローリエが一番凄まじかった。一度経験したからか、照れや恥じらいなどは一切無くなり、騎士として鍛えた体力を存分に発揮して、延々と俺の上で腰を振り続けた。他の嫁が止めなければ朝まで続いたかもしれん。俺ももっと鍛えなければいかんか……。




