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ダンジョン攻略・一日目終了

事前に知識としては知っていたが、このダンジョンの魔物モンスターの特徴として『硬い』事が上げられる。俺達は幾度となく戦闘を重ねていくが、どの敵も「石」や「岩」等、『土属性』に分類されるであろう面子だ。

 例えば『サンドマッシュ』は、大きな石に擬態したキノコの魔物だ。近付いて来た者を奇襲してくる。そして胞子の様な砂を撒き散らし視界を奪う厄介な敵だった。

 それと『ロッククラッシュスカラベ』は中々にユニークな魔物だったな。大きな岩を転がしてこちらを押しつぶそうとしてくるんだ。狭い通路で遭遇したら危険な魔物だが、恐ろしいのは転がってくる岩で、スカラベ本体は非常に弱い、岩さえ回避出来れば楽勝だ。

 そんな魔物達を屠りつつ、地下三十階のボス部屋の前まで到達した。

「この階層のボスは『スチールゴーレム』だ。非常に硬い体を持ち、魔法にも耐性を持つ強敵となる。気を引き締めて行くぞ」

 俺達のパーティでは多少苦戦するとは思うが、俺にも「秘策」がある。取り敢えずは皆に頑張ってもらって、それで駄目なら俺が倒すとするさ。

 今迄のボス部屋と同じく、部屋に入ると入り口の扉が閉まる。部屋の中央にはメタリックな輝きを放つ鋼の巨人が待ち構えていた。

「よし! 各自、攻撃開始だっ!」

 俺の号令と共に、前衛組とリラがスチールゴーレムに肉薄していく!

 カキンッ‼

「……っ!」「て、手が痺れますわ……」「……硬い」「これは……厄介ですね!」

 甲高い金属音を響かせ、攻撃した剣を弾くスチールゴーレム。名前に違わぬ硬さだな。

「なら、これはどうかしらぁ?」「魔法を撃ちます! 皆様下がって下さいっ!」

 全員が退避したのを確認して、アリスとソニアが魔法を放つ!

 ソニアが『火球ファイヤーボール』、アリスが『風の刃(ウィンドエッジ)』をそれぞれ放つが、スチールゴーレムの表面を僅かにへこませる程度の効果しかなかった。想像以上に魔法に対しても強いな。

「じゃあ、これはどうかしらぁ?」

 ソニアは魔力を高め、次の魔法を放とうとしていた。ソニアの周囲で風が渦巻き、その風がソニアの手の中に集まっていく。

 あれは……空気を圧縮して固めているのか? 球状の輪郭がはっきりと見える程の密度だ。

「いくわよぉ……『風圧弾エアーバレット』!」

 両手で抱える程の「空気の塊」がスチールゴーレムに向かって勢い良く射出された!

 ズガンッ! という激しい音を立て、スチールゴーレムが大きく吹き飛び、壁へと激突した!

「う~ん……あまり効いてないわねぇ……」

 壁に激突したスチールゴーレムだったが、何事も無かったかのようにこちらに向かって歩き出した。

「いや、全くの無傷というわけではなさそうだぞ」

 俺が指摘した通り、スチールゴーレムの胸元は大きく陥没していた。つまり大きな衝撃を与え続ければ、いずれ倒せるだろう。このパーティでそれが可能なのは……。

 そんな思案している間に、こちらに近付いて来たスチールゴーレムが、ローリエ目掛けて鋼の拳を振り下ろした!

「はぁっ!」

 ローリエの選択は、回避ではなく迎撃だった! 盾に魔力を込め、迫りくる拳に向かって盾を突き出す! 所謂「シールドバッシュ」という技法だ。

 盾と衝突した拳は砕け、スチールゴーレムが大きく退いた。うん、ソニアとローリエが居れば倒せそうだ。ならばここは俺の「新魔法」を試す絶好の機会だ。この硬い相手にどれ程効果があるか、実験開始といこうじゃないか!

 俺は指先に魔力を集中させる。今回使う属性は『水』、指先に水の塊を出現させそれを極限まで加圧していく。そして極細のノズルから一気に噴出させるイメージで魔法を放つ!

 スチールゴーレムの股下に向かって、水の線が伸びる! そして、股下から頭上へと一直線に切り裂く様に、指を振り上げた!

 魔法が直撃するとスチールゴーレムが動きを止め、直後綺麗に左右真っ二つになり、ゆっくりと地面に倒れ伏した。そして大きな魔石だけを残して、スチールゴーレムは消え去った。

「上手くいったな……『水流破斬ウォータースライサー』とでも名付けるか」

 俺が放った魔法は、所謂「ウォータージェット」もしくはダイヤモンドカッター。分かりやすく言えば、極めて危険な威力の高圧洗浄機と言えばいいかな?

 しかし、この魔物は強敵だったな。しっかりと適切な対応策が無ければ詰んでしまう冒険者もいるだろうな。

「ねえねえ。今の魔法は、どういう原理なのかしらぁ?」

「水を圧縮させて、それを勢いよく打ち出すんだ。ソニアならすぐに習得出来るさ」

 空気を圧縮させる事が出来るんだ、何の問題もないだろう。

「それじゃあ、今日の所はここまでにしようか。魔法陣に乗って帰ろう」




 魔法陣に乗った瞬間、眩い光に包まれる。光が収まると目の前にはダンジョンの入り口が見えた。本当に便利だよな、転移魔法は。空を見上げてみると、どうやら日暮れまでには少し時間があるようだな。

「(ふむ、ガーベラ。今の時刻は分かるのか? 元の世界基準で)」

『(はい。現在の時刻は17:35になります)』

 夕方か。結構な時間ダンジョンに潜っていたが、それ程疲れてはいないな。やはり人数が多いというのはそれだけで有利という事だ。ダンジョン内での移動速度は下がってしまうがね。

「この後はどうしますか? 旦那様」

「ギルドに寄って、魔石を換金しよう。その後宝箱から出た品々を鑑定しに行くとしようか」

「……結構倒したから……幾らになるか……楽しみ」

「そうだな。俺としては宝箱の中身が気になるが……では、行くとしよう」

 ギルドの中に入ると、例の爆乳受付嬢がいた。確かオリーブだったか。無論、真っ直ぐその受付嬢の元へと向かう。決して他意は無いぞ? ただ単に一番近い場所に居たからだぞ? 嫁達から殺気が発せられているような気がするが、きっと気のせいだろう。

「魔石の換金をお願いしたいのですが」

「はい。ではこちらに提出して下さい」

 そう言って受付嬢は金属製のトレーを机の上に置いた。さて、幾つあったかな……と。

 ジャラジャラと音を立て、次々と魔石がトレーを埋め尽くしていった。五級と四級がほとんどだが、これだけの数があればそれなりの値段になるだろうさ。

「こ、この数は……?」

 一つでは入りきらず、二つ目を用意してもらったトレーに山盛りになった魔石を見て、受付嬢はそう呟いた。何だかこの世界に来た初日を思い出す反応だな。

「……はっ⁉ す、すみません、今直ぐに査定しますので、少々お待ち下さい……皆さん手伝って!」

 受付嬢のその一声で、ギルド内が俄かにざわめき始める。ギルドの職員総出で魔石の鑑定を始め、ギルド内にいた冒険者も興味深そうにこちらを眺めていた。

 暫くして、受付嬢が大きな袋を持って来た。

「こちらが魔石の買取り代53万Gになります。お確かめ下さい」

 そう言われ、金貨の数を数える……ふむ、確かに金貨53枚だな。ボス魔物の魔石も買い取りに出したからな、結構な金額になったな。

「スゲーな、あいつ等」

「ああ。しかし、この辺りでは見かけない連中だよな」

「何者だ?」

 ギルド内が一層騒がしくなる。『大氾濫』の件はまだ広まってないだろうから、無名の冒険者がこれだけ一気に稼いだということになる。ならばこの騒ぎも納得というものだ。

「(旦那様……入り口から不審な者がこちらを見ています)」

「(ああ。俺も気付いているが……考えがある。この場は無視して構わない)」

「(承知しました)」

 マリーが小声で不審者の忠告をしてくれたが、敢えて気付かないフリをした。この事は後程全員に説明しなければな。

「ところで、宝箱の中身を鑑定してくれる方は何処にいらっしゃいますか?」

「鑑定屋なら、ギルドに併設された建物にあります。あちらの扉から直接行くことが出来ますよ」

 そう言って、受付嬢が手を向けた方向には、簡素な扉が設置されていた。成程、あそこから行けるのか。

「では、俺達はこれで失礼します」

「あ、すみません……少々聞きたい事があるのですが」

「はい? 何でしょう」

 鑑定屋に向かおうとしたら受付嬢に声を掛けられた。はて? 何を聞きたいのだろうか。

「あの大きな魔石は、地下三十階のスチールゴーレムの物でしょうか?」

「はい、そうです。それがどうかしましたか?」

「……いえ。不躾な質問をしてすみません。お答え頂きありがとうございました」

 そう言って彼女は一礼し、仕事に戻っていった。あの目、何かあるな。

「では、これで失礼します」

 その後、俺達は何食わぬ顔をしてギルドを後にし、鑑定屋へと向かった。

という訳で、今話は前話の後書きに書いた通り「レベルを上げて物理学で殴れ」なボスでした。

え? 話が違うって? いやいや……たまたま「学」の1文字を書き忘れてしまっただけですよ? HAHAHA!

まあ、多少は捻らないとね?

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