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宝箱と同業者とボスモンスター

更に進み、地下八階でそれは突然に姿を見せた。

「あ、宝箱ですね。旦那様」

 マリーが、通路の奥に置かれていた箱を発見した。さて、何が入っているかな? と、その前に。

「罠が無いか調べるか。魔法でいけるのか?」

 ここは念を入れて罠が無いかどうか宝箱を調べたいな。

「あ、レオン様。私が「探知」の魔法が使えますよ」

 俺が試しに魔法を使おうとしたら、アリスが既に習得済みとの事だったので、彼女に任せてみた。

「では、いきます……」

 アリスが宝箱の近くで屈み、手をかざし魔法を使う。

 結果は、特に怪しい所は無し。鍵もかかっていないそうだ。まあ、未だ浅い階層だしな。

 以上の結果から、俺は安心して宝箱を開ける。中には小さなペンダントが入っていた。

「あら? 可愛らしいアクセサリーですわね」

「ああ、だがこれがどんな効果を持っているかわからん。調べる方法はあるのか?」

「こういうのを……鑑定する……専門の人がいる」

 成程ね。ではその人に鑑定してもらうまで、アイテムボックスに保管しておくか。万が一呪われていたり、デメリットがあったりしたら一大事だしな。

 こうやって宝箱をちらつかせ、奥へ奥へと冒険者を誘っていく……そういう意味では、宝箱も立派な『罠』の一種だな。

 そんなこんながありながらも順調に進み続け、遂に節目となる地下十階に到達した。

「……ダンジョンには……十階ごとに……『門番』がいる」

 おお! それは所謂「ボスモンスター」という奴だな。いよいよボスモンスターとの対決か。ワクワクが止まらないな。この歳になってこんな気持ちになるとはな……。異世界って最高だな。

 そしてフロアの最奥に大きな扉付きの部屋を発見した。ここにボスが居るのか。

「……一度入ると……倒すまで……出れない……ここで準備をして……中に入るといい……」

 リラのアドバイスに従い、しっかりと準備をして部屋に侵入する。

 全員が中に入ると、入り口の扉がひとりでに閉じられた。

 部屋の中央に居たのは、岩の体をした巨大な魔物。本に書いてあった通り『ゴーレム』だろう、年甲斐も無くテンションが上がってきたぞ。そしてその奥に扉が見えた、あれが先に進む為の物だろう。

「……ストーンゴーレム……とても固いので注意……でも動きは遅い」

 リラの助言を聞いて、戦闘開始する。開幕早々に、前衛の三人がストーンゴーレムに攻撃を加える。

「くっ⁉」「効いていませんのっ⁉」「硬いですねっ!」

 だが、マリー、プリムラ、ローリエ三人の攻撃はストーンゴーレムの表面を僅かに削った程度に終わった。初手は様子見の牽制攻撃だったとは言え、三人の攻撃を受けてこの程度のダメージとはね。

「魔法を放つ! 前衛は下がれ!」

 俺の号令を聞いて素早く間合いと取る三人。そこへ入れ替わる様に後衛組の魔法が撃ち込まれる。

 氷、炎、風……各々が得意な属性の魔法を放つ!

 魔法がストーンゴーレムに着弾し、岩の体を吹き飛ばす。手足がバラバラになり地面に落下していくが、それでも動きを止めず俺達に攻撃を仕掛けようと近付いて来る。なら、止めの魔法をお見舞いしてやろう。

「食らえっ! 『爆裂弾(バーストボム)』!」

 俺はストーンゴーレムの中心部を狙い、魔法を放つ! 轟音を部屋中に響かせ大爆発を起こした。流石にこの魔法には耐えられなかったようだな、岩の体はバラバラに砕け散り、その後魔石を残し消え去った。

 本に書いてあった通りに「ストーンゴーレム」は魔法に弱かった。こいつに苦戦するようなら、初級ダンジョンでやり直せという事だろうな。

「今の、面白い魔法ねぇ。おねぇさんにも教えてくれないかしらぁ?」

 戦闘態勢を解除し、一息ついていたらそんな事をソニアが言い出した。

「あ、私にも教えて下さい、レオン様」

 アリスも興味津々の様子。

「ああ、構わないぞ。今晩にでも教えるよ」

「これをどうぞあなた様。今までのよりも大きいですわね」

 ストーンゴーレムの魔石を持って来たプリムラ。ほう、確かに大きいな。これは四級かな? だがボス魔物といえど、俺達の敵ではなかったか。

 突然部屋の隅の地面が光だした。それと同時に部屋の扉が開いていった。奥にある扉も開いたな、これで先に進めるぞ。

「何だ? あれは」

「……あれは……地上に戻る……魔法陣」

「おおっ! あれが例の転送装置か!」

 本で見た時から、早く実物を見たくてウズウズしていたんだ。うぅん、どの様な仕組みなのか知りたいが……。

「これは、どんな仕組みで動いているか知っているか?」

 と、嫁達に聞いてみるが、全員首を横に振るだけだった。仕方ない、後日賢者殿に聞いてみるか……気は進まんがな。

「その事はまた後でだな。俺はこの先に進もうと思うが、異論のある者はあるか?」

 嫁達からは特に反対意見は無かったので、少し休憩して先に進む事にした。




 時折ダンジョンの中で他の冒険者とすれ違う事があるのだが……嫁達の方を見て鼻の下を伸ばし、その後俺を見て舌打ちをする……この様な事が何度も起こる。

 まあそれは別にいいんだ。この世界に来てから、そういう反応には慣れてきたからな。それよりも気になったのは、すれ違う冒険者達の行動だ。壁を背に、出来るだけ俺達に近付かない様に通り過ぎるのだ。これまで出会った冒険者全員がだ。これは俺達を警戒している様な態度だと思い、リラにどういう事かと聞いてみる。

「……基本的に……冒険者達は……お互いに干渉しない……それに……突然襲い掛かって来る……悪い奴もいる」

 少し考えれば分かる事だったな。特に冒険者を襲う冒険者――ゲームで言えばプレイヤーキラー、通称『PK』が存在するのは必定だ。

 何せここはダンジョンの中。凶悪な魔物が闊歩する危険地帯だ。魔物に殺されたのか、冒険者に殺されたのか、区別する方法など存在しない。ましてや証拠も残りづらいので尚更だ。完全犯罪がやりたい放題だな。

「下手に近付いて因縁を付けられても面倒だ。基本的には無視して行くぞ」

「それが賢明かと」

 全員の意思を統一して、改めてダンジョンを進んでいく。

「天井に何か居ますっ!」

 マリーの警告を受け、視線を頭上へと移す。目を凝らすと天井に何か黒い物体がぶら下がっていた。

 バサッバサッバサッ!

 大きな羽音を立て襲いかかってきたのは、巨大な蝙蝠の群れだ!

「……血吸い蝙蝠……噛みつかれると危険……注意して」

 リラがこいつらの特徴を説明してくれる。数は多いとはいえ、速さはそれ程でもなく前衛の三人は余裕で切り伏せていた。俺とリラも念の為前衛に加わり蝙蝠を駆除していった。

 床中に散らばる魔石を回収する。今回は後衛の魔法を使わずに倒したが、これは魔力節約と同士討ちを避ける為だな。特にダンジョン内は暗く狭いか注意しなければならない。

 それ以降は難無く進んで行き、地下十八階に降りてしばらく進んでいると、近くで戦闘をしている音が聞こえてきた。

「ふむ、他のパーティが戦闘しているのか……リラ、こういう時はどうするのがいいんだ?」

「……無視するのが……一番いい……近付くと面倒事に……巻き込まれる……かもしれない」

 確かにリラの言う通り、無視するのが無難か……だが。

「とは言え、俺達なら最悪力尽くでどうにかなるな。それに余裕のある今の内に、色々と経験しておくのがいいかもしれん。皆の意見を聞きたい」

「確かに。こういう場面に早めに慣れておくには必要でしょう」

「出来ればアリスを危険な目に合わせたくはありませんが……」

「帝国に行けば、どの様な危険があるかわかりません。そういう荒事にも慣れておく事は必要だと思いますが……違いますか? ローリエ」

「いえ……その通りです」

「ひょっとしたら、助けが必要な方々かもしれませんわ。困っている人を見逃す事は出来ません。ここは様子を見に行くのが宜しいかと」

 というのが賛成組の意見だ。一方、

「……私は無視……するのが……いいと思う」

「おねぇさんは、どちらでもいいと思うわぁ。キミの好きにしたらいいんじゃない?」

 反対、どちらでも良い組の意見がこれだ。ここは間を取ろうかね。

「様子を見に行って、危険そうなら素早く離脱する……これで行こう」

 俺がそう言うと、嫁達全員頷いてくれた。

 こういった事は俺も初めての経験だ、手探り状態なのは致し方ない。少しずつ慣れていくしかないさ。

「よし、行くぞ!」

 音がする方へ慎重に歩いていく。やがて戦っている者達の姿が確認出来た。そこには二人の冒険者が魔物の群れと戦っているではないか。そしてそこは袋小路になっており、逃げる事が出来ない場所になっていた。

「や、やばいにゃ、こいつら硬すぎるにゃ!」

「だから引き返そうって言ったんだよ! ミレットちゃんの馬鹿っ!」

「ば、馬鹿とはなんにゃ! 馬鹿と言った方が馬鹿だにゃ! ランカのば~かっ!」

 声で女性だと判明したが、何とも騒がしい二人組だな。二人が相対しているのは、硬い石の皮膚に覆われた「ロックサラマンダー」だ。体長は1メートルを超え、壁や天井を自在に動き回り、その固い体で体当たりしてくる厄介な魔物だ。と、その時。

 パキンッ!

「にゃーっ⁉ 剣が折れたにゃ!」

「も、もうだめ……ああ、ミレットちゃんの口車に乗ったばっかりに。お父さん……お母さん……親不孝な娘でごめんなさい」

「諦めるにゃーっ‼ 最後まで諦めるにゃと教わったのを忘れたのかにゃ! こんな所で死ぬのはゴメンにゃ!」

 状況的には間違いなく命の危機なのだろうが、余裕すら感じる程に元気な二人だな。

「……この場合は、助けた方がいいのか?」

「……あの二人が……助けを……お願いしてきたら」

「では、もう少し近くまで行こうか」

 そうして二人の姿がはっきりとわかる位置まで来た時、その内の一人と目が合った。

「そ、そこにいる人達! た、助けてくださ~い‼ このままじゃ死んじゃいますっ!」

 と、はっきりと救助を求めた。この一言でリラも剣を構え、戦う姿勢を示した。

「よしっ! あの二人を救出するぞ! 先ずは魔物の注意をこちらに引き付ける。魔法を放って牽制するぞ!」

「……うん」「はいっ!」「わかったわぁ」

ダンジョンでの定番と言えば、宝箱の発見、他の冒険者とのやり取り、そしてボスモンスターとの戦闘。

今話ではこれらを中心に描写しています。やっぱりこういった「お約束」を書くのは楽しいですね。

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