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ダンジョンには不思議がいっぱい

出張所内部の作りは、カルディオスのギルドと殆ど同じだった。まあ、わざわざ別にする必要も無いしな。

「すみません、ダンジョンに入る手続きをお願いしたいのですが……」

「はい、それではギルドカードの提出をお願いしますね」

 入り口に一番近い受付に向かうと、そこにいたのは、ギルド職員共通の服を着用し、水色の髪を左側で束ね胸元まで垂らしている、垂れ目が特徴のおっとりとした雰囲気の美女だった。見た目は人族で二十代中盤から後半位の年齢だとは思うが……とんでもない色香を放っていた。ソニアと同等……いや、それ以上か?

 そんな彼女の最大の特徴は、何と言ってもその巨大すぎる二つの膨らみだ。そしてその大きすぎる二つの果実を受付の机に乗せる様にして座っている。この位置関係だと、どうしても視線が下に向いてしまってですね……失礼だとは理解しているが、男の性と言か……何と言うか……視線がその胸に吸い寄せられてしまうのを止められないんだ……。

「あの、どうかなされましたか?」

「い、いえっ、何でもありません」

 まあ、人の事(胸)をじ~っと見ていれば不審に思うか。そして不意に背後から視界を感じて恐る恐る振り返ると、嫁達の視線が集中していた。その視線は極寒の如き冷たさだったとだけ言っておく……。いや……違うんです……彼女をじっと見ていたのは別の理由がありましてね? それは彼女から「武人」の雰囲気を感じとったからだ。恐らく彼女は冒険者を兼任しているのではないか? 「元」冒険者と言うには覇気といかオーラが強すぎる。現役の冒険者だと感じた俺の感覚は間違ってはいないだろう。

「……受付を完了しました。それではダンジョン内でのルールについて、説明は必要ですか?」

「お願いします」

「では、説明を始めます。ダンジョン内の魔物からは、肉や皮等の素材を得る事が出来ません。代わりに『魔石』をドロップします。こちらを持ち帰っていただいたくと、その大きさに応じてギルドが買い取りを致します。勿論、強制ではありませんので、そのまま持ち帰っても構いません。それから、ダンジョン内での冒険者同士のトラブルには、ギルドは基本的に関与しません。例外は国やギルドに不利益が生じる場合です」

 ふむ、大体は理解した。慣れるのには丁度いいな。荒事にも、人を殺める事もね……。

「丁寧な説明、ありがとうございます。今日は様子見で早めに帰って来る予定なので、大丈夫だと思います。それと、ダンジョン内についての詳しい情報を得るにはどうすればいいのでしょうか?」

「あちらの棚に情報をまとめた本がございます。貸し出しは出来ませんが、読むのは無料ですよ」

「わかりました。では情報を集めてから出発したいと思います」

「そうですか。頑張って下さいね、あなた方の活躍を期待しております」




 本を読んでしっかりとダンジョンの情報を得た俺達は、ギルド出張所を後にして、ダンジョンの入り口までやって来た。切り立つ岸壁の一部にポッカリと穴が開いている外見で洞窟の様になっており、入り口付近には光源が設置されている。

「よし、中に入る前に隊列を決めておくぞ」

「隊列……ですか?」

 マリーは良く分かっていないようだが、それ以外の嫁達は皆頷いている。

「ああ。本にも書いてあったし入り口を見れば分かると思うが、中はそれ程広くないはずだ。どの位の広さなのか……リラどうだ?」

「うん……丁度横に……五人並べる位……かな?」

「それは普通に並んで歩く場合だろう。戦闘するには武器を振り回す空間が必須だ、その余裕をもって進んでいきたい。俺達は全員で七名だ、よって前衛三人、中衛二人、後衛二人の並びで行こうと思う。内訳は……」

 前衛:マリー・プリムラ・ローリエ

 中衛:俺・リラ

 後衛:ソニア・アリス

「これを通路又は狭い場所で戦闘する際の基本隊列とする。俺とリラは後ろからの攻撃に備える役割も持つぞ。広い部屋等では、各自散開して戦闘を行う事とする」

 真剣な表情で頷く嫁達。真面目なのは良い事だが、少しは肩の力を抜かなければな。今からこれではこれから先もたないぞ?

「リラも言っていたが、余程の油断が無い限り、俺達の力量ならば大丈夫だ。それに今日は様子見だしな、リラックスしていこう」

 俺がそう言うと、ようやく表情が柔らかくなってきたな。

「よし! では出発するぞ」

「「「「「はい!」」」」」「……うん」




 満を持して俺達はダンジョンの中に足を踏み入れる。おお、天井が高く中は想像よりも広いな。うん? 壁に灯りが付いている。これはもしや……。

「この灯りはもしかして「魔道具」か?」

「そう……冒険者が……設置してる……ギルドの依頼で」

 俺の呟きにリラが答えてくれた。成程な。この電灯ならぬ「魔灯」を設置すれば、冒険者の活動効率も上がりギルドも国も潤うという事か。それは最優先案件だな。

 壁と地面が土に覆われた通路をしばらく進む。さて、そろそろかな?

「……何かが近付いてきます。数は……恐らく五つです!」

 マリーが何者かの接近を感知した。全員で武器を構え、接近を待つ。

「ギギギ……」

 現れたのは、子供程度の背丈、緑色の肌、手にはボロボロの武器を持っている。こいつはファンタジー世界でお馴染みの、

「……ゴブリン……弱いけど……数に注意」

 やはりゴブリンだったか。本にはこのダンジョンに出現する魔物が記されていたが、流石にイラストは無かったから、どんなビジュアルをしているかは不明だったので興味があったのだが……想像通りのゴブリンで良かった。そいつが五匹、不謹慎だが楽しくなってきたな。

「せいっ!」「はぁーっ!」「……ふっ!」

 とは言え、嫁達の実力ならこの程度の敵、造作もない。瞬く間に前衛三人の手により、ゴブリン五匹は倒された。

 倒したゴブリンの死体はすぐさま溶けるように消えていった。そして後には光る小さな石が残った、これが『魔石』だろう。

「これが魔石ですか。初めて見ましたね」

 魔石を集めながらマリーはそう言った。俺も初めてなので内心はワクワクしているよ。

「この大きさは五級魔石かな?」

 以前呼んだ本に、魔石の等級についての記載もあった。

 順番は下から五級、四級、三級、二級、一級、そして最上位の『特級』という感じだ。特級の魔石はそれこそ城の宝物庫に保管されて然るべきレベルの物だそうだ。それだけに現存数は物凄く少ないのだとか。

 しかし俺には、その『特級魔石』に一つ心当たりがある。それは、

「アリス。賢者殿の持っている杖に付いている魔石、あれは『特級』ではないか?」

「はい。先生からそう聞いています。ですが、どの様な効果があるのかは教えて頂けませんでした」

 やはりな。しかし王女であるアリスにすら秘匿ひとくするとは。まあ、ある程度予測は出来ているが、その内本人に尋ねてみるか。

「よし、それでは先に進もう」

 周囲に敵影が無いのを確認して、再び奥へ向かって進んで行く。それから暫く歩くと、通路の奥に開けた空間があり、そこで下り階段を発見した。

「ここから次の階層に向かうのか」

 何ともクラシカルな感じの階段だ。俺はてっきり転送用の魔法陣的な物に乗って移動するものだと思っていたのだが、という事をリラに聞いてみたら、

「うん……そういう……ダンジョンも……ある」

 との事だ。それを聞くと、益々色々なダンジョンに行ってみたくなるな。

 その後も順調に進み、あっという間に地下五階まで到達した。

 それまでに現れた魔物といえば、ゴブリンが弓矢を持った「ゴブリンアーチャー」、骸骨の見た目をした「スケルトン」等、問題無く倒せる敵だった。そしてこの階層で面白い魔物が現れた。

「あれは……「スライム」か?」

 ゼリー状の見た目、その中央に『核』の様な物体が浮かんでいる。その姿は紛うことなきスライムだ。何と言えばいいのか……実際のスライムとは、こんなにも気持ち悪いモノなのか。まあ俺の中での「スライム」と言えば、某国民的RPGゲームのイラストが一番に思いだされるからな。仕方ないか。

「……スライムは……魔法が……よく効く」

 というリラの助言に従い、魔法を打ち込んで倒す。試しにと槍で突いてみたが、ゼリー状の体に跳ね返され、まともにダメージを与えられなかった。階層が深くなっていくと、こういった面倒な魔物も増えて来るのだろう。それらの魔物を知恵と経験で倒していくのは、心が躍る展開だよ。


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