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諸々の準備を済ませて、ダンジョンに向かおう

さて、中庭に着いたのはいいのだが、ノーバス伯爵は理解出来る、しかし王妃まで付いて来るとはな……。危険はないので問題無いと言えば無いのだが、娯楽代わりのつもりか?

「それでは調査員が来るまでしばし待つのじゃ」

 というわけで、調査員の方々が到着するまでしばしの間雑談することになったが、話題は勿論アリスとローリエの話だ。

「子供はいつでもいいし、何人産んでもいいからな」

「お父様っ‼」

「うむ、ローリエよ。お前とレオン殿の子なら、きっと強き子が生まれるだろう、期待している」

「父上っ‼」

 真っ昼間から何言っているんだ? このアホ親父共は。酒も入っていないというのに。うん、二人は怒っていいぞ。

「ふむ、到着したようじゃの」

 そんな馬鹿なやり取りをしていたら、調査員が到着したようだ。人数は……十人程かな。

 ふむ、白衣に似た服を着用し、いかにも「学者」といった風体の人達だな。

「それでは小僧。ここに出してくれんか」

 その言葉に頷き、アイテムボックスから例の物を取り出した。

「「「おお~……」」」

 ズシンっ……と小さく地響きを立て、サイクロプスが出現した。それと同時に大きなどよめきも起こった。

「お、おいっ! コイツは死んでるんだよなっ⁉ 動かないよなっ⁉」

 余りの迫力に狼狽ろうばいするガルド王。恐らくもっとボロボロの状態を想像していたのだろうが、瞬間冷凍したおかげで五体満足の死体が残ったんだ。こんな物が突然現れたら驚きもするか。それに周りを見れば、調査員の方々も驚きと戸惑いの声を上げている。

「ええい! 大の男が揃いも揃って情けない! 万が一動き出してもワシが何とかしてやるわっ!」

 余りにも情けない大人達の姿を見て一喝いっかつする幼女……絵面も字面もヤバいな。

「あ、ああ……済まない、取り乱しちまった」

 賢者殿の一喝を受けすぐさま正気を取り戻すガルド王。その辺りは流石と言える。

「あらあら、とっても大きいのね」

 と思っていたら、エルナ王妃がサイクロプスに近付き、ペチペチと手の平で軽く叩いていた。

「「「……」」」

 何とも言えない空気が辺りを支配する。うん、間違いなくアリスの物怖じしない性格は王妃譲りだな。

「まあ良い、この死体はワシが責任を持って管理しよう。出来ればお主にも解析を手伝って貰いたいがな……」

 流石にそれはオーバーワークだ。それに俺は専門家でもない。

「遠慮させてもらいますよ。ただ、解析結果は教えて頂きたいですね」

「それは当然じゃ、こやつを倒したのはお主じゃからな。勿論その権利はあるぞい」

 それだけ聞ければ十分だ。そろそろお暇するかな。

「では、後の事は宜しくお願いします」

「うむ、任せるがよい」




 別れの挨拶を済ませ、城を後にする。

「さて、先ずはアリスとローリエの装備を整えるぞ」

「装備……ですか? これでは問題があると?」

 そう言ってアリスは自身の姿を見回す。彼女の防具は、標準的な魔法使いが使用するローブを着用している……普通の物より豪奢な気もするが。ふむ、言葉足らずだったか。

「追加で装備をしてもらう為だ。具体的には『フード付きの外套』だ。理由は分かるな?」

「はい。帝国での活動時に顔を隠す為ですね?」

 アリスは賢いな。話が早くて助かるよ。

「ああ、他にも幾つか手立ては考えているが、簡単な物から揃えていこうかと思ってな。それとローリエ、君の武器も変えた方がいいだろう」

「私の武器、ですか?」

「では質問するが、どうしてショートソードを使っていたんだ?」

「うっ……それは……」

「鎧が重くて、ショートソードでなければまともに振れなかったからだろう?」

 俺がそう言うと、ローリエは黙って頷いた。

「つまり、今の格好なら他の武器も扱えるだろう? 戦闘スタイル的にもう少し長い剣を使った方が良いはずだ」

 今の格好、即ち『ハイレグアーマー』である。ちなみに言っておくと、町中であの恰好は流石に恥ずかしいと言うので、大きめの外套を羽織って隠している。

 余談だが、王都に来て驚いたのが、ゲームや漫画の中にしか存在しないであろうと思われた『ビキニアーマー』等の「それ、着てる意味あるの?」的な感じの鎧を装備している人がそれなりにいる事だ。リラにその辺りの事情を聴くと、魔法の力で防御力を補える手段が豊富に存在する為だとか。

 つまり、ローリエがハイレグアーマーを着て歩いていても違和感はないのだが……まあ、本人が嫌がっているならしょうがない。

 そんなわけで以前利用した店で装備を購入し、次の目的地へ向かう。

「次は冒険者ギルドへ行くぞ。二人は冒険者登録をしていないな?」

「はい。ですのでとても楽しみです!」

 遊園地へ行く前の子供の用にはしゃぐアリス。いや、そんな面白い所じゃないからな?

 というわけで、ギルドに到着して、真っ先に受付へ向かった。

「ギルド王都本部へようこそ! 本日はどの様なご用件で?」

 素敵な笑顔で、元気良く挨拶する受付嬢だ。

「こちらの二人の冒険者登録をお願いします」

「はい、そちら……の……おふ、たり……です、か……?」

 素敵な笑顔のまま硬直する受付嬢。いやまあ、自国の姫と騎士団長が来たらそうもなるか。

「すみませんが、内密に素早くお願いします。騒ぎにしたくないので」

「は、はひぃ! しょ、少々お待ち下さいっ!」

 受付嬢は光の速さで登録の準備を整えた。そこは流石に王都本部の職員だ、取り乱していてもキッチリ仕事をこなしている。そして……。

「これで私も冒険者ですねっ!」

「……ふふふ」

 カードを貰って、踊り出しそうな程はしゃぐアリス。静かにだがローリエも嬉しそうに微笑んでいる。




「お仕事頑張ってくださいね」

 受付嬢が笑顔で見送ってくれた。その笑顔が引きつっていたのは……気のせいという事にしよう。

「次は服屋に向かう」

「服屋? 先日訪れた所ですか?」

「ああ……ソニアとアリスとローリエの分の下着を作りに行く。俺からの贈り物だ、是非受け取って欲しい」

 新しく嫁になったので、俺からプレゼントをしたいと思う。何事も平等に接すると決めていたからな。

「あらぁ、プレゼント? おねぇさん。嬉しいわぁ」

「それは楽しみです。ね? ローリエ」

「はい。一体どの様な物なのでしょう、興味がありますね」

 うむ、では早速服屋に向かうぞ。

「いらっしゃいませ……あ、レオン様! 今日はどの様なご用件で?」

 店に入ると、店長のユニスが俺に気付き、足早に近寄ってきた。

「こちらの三人に、新しくブラジャーとショーツを仕立てて欲しいと思いまして」

「……あれ? こちらの方は……もしかして……アリス姫、様?」

「ふふふ、この事は内密にお願いしますね」

 人差し指を唇に当て、可愛い仕草でそうお願いするアリスと、完全に固まってしまう店長のユニス。だがそれも僅かな時間の間で、すぐさま復活した。

「わ、わかりました……では、採寸しますので奥の部屋へお越し下さい」

 ソニア、アリス、ローリエの三人は店員に連れられ、奥の部屋へ向かって行った。

「それで、今回はどういったデザインで仕立てましょうか?」

「はい、今回も俺が考えたデザインでお願いします」

 俺は予め用意しておいたデザイン画を提出する。

「こ、これは……何という……」

 ユニスさんは俺の書いた絵を食い入るように見る。相変わらず拙い画力で申し訳ないが、頑張って再現して欲しい。

「ふむ……ふむ……これならば私共にも作れますね。期待していて下さい」

「これは心強い、楽しみにしていますよ」

 俺とユニスさんはがっちりと固い握手を交わす。ふふふ、ユニスさんとは良き友となれそうだな。

 その後、採寸が終わった三人を伴い、店を辞する事にした。

「ではまた後日、お伺いします」

「はい! 我々も全力で仕立てさせてもらいます。数日で……いや一晩で仕上げて見せますよ!」

 ユニスさんの挨拶を背に、店を退出する。俺とユニスさんが協議している間に、マリー達が店内の服を幾つか見繕っていたので、ついでにそれも購入しておいた。皆嬉しそうな笑顔をしているな。冒険者をしているとはいえ、オシャレ位は楽しみたい年頃だろうしな。

「それで、ダンジョンにはどうやって向かうんだ?」

 それから今日の本題のダンジョンについて、リラに尋ねる。

「ダンジョン行きの……馬車が出てる……けど……」

 そう言ってリラはチラリとアリスを見た。ああ、成程ね。

「今回は馬車を使わず、走って向かうとしようか。アリスとローリエの訓練も兼ねてな」

 本音はアリスと一緒に馬車に乗り、他の利用者に騒がれるのを避ける為だな。まあ、訓練になるというのも確かだから嘘は言ってないぞ。

 そこでアリスとローリエに『身体強化』の魔法は使えるかと尋ねた所、問題無く使えるとの事だった。何でも賢者殿に習ったそうだ。戦闘の基本だと言って厳しく仕込まれたのだとか。本当に能力《《だけ》》は一級品なんだよなぁ……。

 ダンジョンへ向かう道を疾走する。流石、王都周辺だけあって、道がしっかりと整備されている。道幅も広く、石畳も敷かれていて、とても走りやすい。是非、カルディオス周辺も整備して欲しいものだな。

 走り続けること一時間程かな? 俺達は目的地である「中級ダンジョン」にたどり着いた。

「これは……村……いや町の規模はあるか?」

 そこで俺が目にしたのは、町と言っても差し支えない規模の集落だ。

「どこの国でも、ダンジョンの周りにはこの様な集落が作られます。ダンジョンは国の重要な『資源』ですので、保護の意味合いも兼ねていますね」

「ふむ、理に適っているな」

 アリスの説明で成程と感心してしまった。人が集まれば必然と町が形成される。しかし、何もしなければ無法地帯となりスラム街になってしまう。国としても当然それは困るわけで、加えて他国に資源を奪われる可能性もあるのだ。それならば国が管理・運営してしまえという事だろう。

「ここで……色々と準備して……ダンジョンに入る」

「準備?」

「そう……入る前に……ギルド主張所に……届け出を出す決まり」

「ふむ、それは中で何かあった時の為だな?」

「うん……非常時に……救援が来てくれる事に……なってる」

 何日もダンジョンから出てこなかったら、何か異常が発生したと考えるべきだしな。最悪魔物にやられて死亡している可能性が高いか。

「では早速、その出張所とやらに行こうか」

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