チーム・リラ その陸
オリーブ視点
「天都」の大通りから一本外れた細い路地。そこは大通りの華やかさとは正反対の場所でした。
薄暗く、空気も淀んでいる。それに……何か変な臭いがします……。
「……くさい……」
その臭いに、思わず鼻を摘まんでしまったのはリラでした。私も顔を顰めていまいましたよ。
良く見ると、周りの皆さんも私と同じ顔をしていますね。
「はぁい、これで少しは臭いを防げるわよぉ」
この状況を見かねてか、ソニアが空気の壁を創り出しました。すると嫌な臭いが消えましたね。これは凄い魔法です。
これで臭いを気にせずに歩けますね。
よく見ると、いたる所にゴミが散乱していますね。これが臭いの原因でしょう。
この様な場所でも人は住んでいて、お店もあります。ここに居る人達に話を聞いて回りますが、目新しい情報はありませんでしたね。
当てが外れてしまいましたね……さて、どうしましょうか?
「‼ 皆様、戦闘準備を!」
「……囲まれて……る……」
最初に気がついたのは、マリーとリラでした。二人が武器を構えるのを見て、他の皆さんも続いて武器を構えます。
「おめぇらか? 天都を嗅ぎ回ってる余所者連中ってのはよぉ。まったく……よそ者はよそ者らしく、大人しくしてればいいんだよ」
囲んでいる人数は……二十人ですか。その内の一人が、そんな台詞を言いながらナイフを取り出しました。この男がこの集団のリーダーなのでしょう。
囲んでいる者達は……冒険者崩れの「ならず者」ですかね。それにしては上等な装備をしているような?
「はんっ! そいつはつまり「探られると困る」って、自白してる様なもんだぞ?」
そう言って挑発的な笑みを浮かべるアルメリア。
「さぁてね、俺たちには関係ねぇ話だよ。俺たちはただ、こそこそ嗅ぎ回るネズミを始末するのが仕事なんでね」
「仕事……ってー事はだ、誰かに頼まれたって話だろ? 一体誰に頼まれたんだろうなぁ?」
「……知らねぇな」
「恐らく、この町を牛耳ってるっていう、十人いる商人の内の誰か……ってところだろうさ」
「……」
アルメリアの巧みな話術に追い詰められ、リーダーの男が黙ってしまいましたね。
そういえば、以前にレオンさんが仰ってましたね。「問題を指摘されて沈黙した時は、それが正解を示しているという事だ」と。
つまり、この男たちは町の有力商人に雇われている……という事になりますね。
「ちっ、喋り過ぎたか……まあいい。おい! おめぇら、やっちまえっ!」
リーダーの男が、周囲の味方に向けて号令を発しました。残念ですね、もう少し情報が欲しかったのですが。
「はあっ!」
私に向かってきた男に拳を突き出します! 男は大きく吹き飛び仰向けに倒れました。
「……う……うぅ……」
おや? 呻き声が聞こえますね。それなりの力を込めて殴ったつもりでしたが……生き残ったようです。これは良い装備をしていたお陰でしょう。
周りの皆さんも、容赦なく襲撃者たちを薙ぎ倒していますね。あちらもそれなりの生き残りがいます。
次々と倒される見方を見ても、襲撃者たちは逃げる素振りすらありませんね。
普通はこれだけの力の差を見せつけられたら、恐怖で逃げ出すものです。これだけでも、この男たちが普通のならず者ではない証拠になります。
それから程なくして、襲撃者は全員地面に倒れ伏し大人しくなりました。リーダーの男も無事(?)に生き残りましたね。
「さぁてと、お前には色々と聞きたい事があるんだ。正直に答えてくれると、アタシも嬉しいんだけどね」
倒れているリーダーの男に、そう話しかけるのはアルメリアです。元・海賊らしい凄みのある顔ですね。
「……ふん、何も言うつもりは無い……」
と、リーダーの男もアルメリアを睨み返します。中々に根性のある男ですね。
ですが、このままではこの男からは、何も情報が得られません。どうしましょうか?
「ワタシに任せて。こういう事は得意」
問題解決に名乗りを上げたのは鳳華でした。
「どうするのですか?」
得意……と言われ、思わず鳳華に聞いてしまいました。
「アリスに協力してもらう。それだけ」
「私……ですか?」
突如、指名されたアリスは、良く理解していないみたいで首を傾げています。
「それじゃあ、頑張って「耐えて」みせてね」
……その後に行われた尋問の様子は、とても書き記す事に出来る内容ではありませんでした。
ですが、敢えて書き記すとすれば、鳳華が男を痛めつけ、その傷をアリスが治療する。それを何度も繰り返す……それだけです。
その「尋問」の後には、リーダーの男も、
「何でも喋る! 喋るから……助けてくれっ‼」
と、涙を流しながら助けを懇願していました。その様子を見ていたアルメリアが、
「流石のアタイでも、ここまでの事はしねぇぜ?」
と、顔を引きつらせていたのが印象的でしたね……。




