チーム・レオン その捌
後に残された物は、初めて見る大きさの「魔石」と、これまた巨大な「宝箱」が一つずつであった。
「ふむふむ……大丈夫だね。罠はないよ♪」
早速、桔梗が宝箱を調べてくれたな。今迄のパターンなら、罠は無いと思っていたが……まあ、念の為だ。
「それにしてもさ、良くあんな方法思い付いたよね?」「そうですね。どうしてですか? 旦那さん」
そんな事を聞いてきたのはリアスとリリスの姉妹だ。どうして、と問われたのならばお教えしよう。
「奴の行動パターンを見ていて気付いた事があってな。奴は自身の脅威となり得る攻撃に対しては、防御したり回避したりしていた。だが、それ以外の攻撃は無視して喰らっていたのだよ」
この情報が、攻略の足掛かりになったな。
「ならば、奴に直接的なダメージを与えず動きを封じる方法は無いか、と考えてな。何かないか……そこで思いついたのが「冷気」の魔法を使う事だったのだ。奴がゴーレムの様な「無機物」ではなかった事も理由の一つになったな。どんな生物でも、冷気による体温の低下で動きが鈍ると思ったのだ」
象の姿をしていたので、もしやと考えたが……正解だったようだ。
まあ当然だが、これが駄目だった時のプランも用意いていた。今回は出番が無かったが、その内披露する事になるだろうさ。
「凄い大きな魔石だね。ボクも初めて見るよ」
巨象からドロップした魔石を拾ったユッカが、そんな事を呟いた。
「ああ。ひょっとしたら「特級」の魔石かもしれんな」
魔石の鑑定も楽しみだが、俺としては「宝箱」の中身の方が気になっている。上級ダンジョンの深層に存在したボスモンスターの宝箱だ。否が応でも期待が膨らむよ。
「ふむ。リアス、君が開けてみてくれ」
「えっ? いいの? やったー。リリスも一緒に開けようよ」「わ、わたしも一緒でいいの?」
嬉しそうに宝箱を開ける双子の姉妹を見ると、心が温かくなってくるな。
「え~っと、これは……」「斧……ですか?」
宝箱から出てきたのは、長柄の斧――ポールアックスだな。先端に槍の穂先があり、側面にある斧頭の反対側にハンマーが付いているので、まず間違いないだろう。
うん? このポールアックス……持ってみると、何か不思議な感覚になるな。これは、もしかして大当たりかもしれんぞ? これまた鑑定が楽しみだ。
少しの休憩を挟み、次のフロアへ向かおうとした時だった。
「ねえねえだーりん。何か魔法陣が変じゃない?」
魔法陣に近付いた桔梗が、唐突にそんな事を言い出したのだった。
「どれどれ……ふむ、確かに今までの魔法陣よりも複雑な模様になっているな。それに大きさも違うか。何より台座が見当たらんな」
ここに来て謎の転移魔法陣か。あの台座が無いとダンジョンから脱出出来ないと思うのだが……。
しかし、俺達にはコイツを使う以外の選択肢は無いのだ。
「何があっても、皆で力を合わせれば乗り越えられるさ。さあ、覚悟を決めて進もうか」
意を決して魔法陣の上に乗る。全員が乗った所で、魔法陣が光り輝き転移が開始された。さて、何処に転移させられるのやら……。
光が収まり、周りの景色がハッキリと視認出来るようになる。その目で見た景色とは、
「……ここは、ダンジョンの入り口かい?」
あらゆる状況に備え、戦追を構えていたセフィラが、気の抜けた声でそう言ったのだった。
そうだ。ここは「上級ダンジョン」の入り口だ。道理で見覚えのある景色だと思ったよ。
ダンジョンの先へ進もうと乗り込んだ転移魔法陣によって、俺達はダンジョンの入口へと戻された。と、いう事はだ、
「これは、ダンジョンを踏破したという事だろうか?」
「そうだと思うよ? やったね! レオン君」
歓喜の声を上げながら、ユッカが俺に抱きついてきた。彼女のスキンシップは情熱的な物が多いな。
「そうか。まあ、取り敢えずギルド支部へ向かおうか。魔石の換金と、手に入れたアイテムの鑑定をしてもらおう」
ギルドへ向かう道中も、ダンジョン内であった出来事を振り返りながらだった。
皆、向上心が高い……いや、それもあるだろうが、ダンジョンを踏破した事で興奮状態だったというのが正解か。かく言う俺もその一人だがね。




