それぞれの想い・エリカの場合
エリカ視点
アリスちゃんとローリエちゃんのお話はとっても面白かったわ。次は私の番かしら? 上手に話せるか不安だわ。
「次は~私の番ね~。退屈にならない様に気を付けるから~しっかり聞いてね~」
そうは言ったものの、これといった面白い話は無いと思うけどね。私はハイデス帝国の第一皇女として生まれたわ。私には兄がいたからか割りと自由に過ごせたわ。その結果が大鎌を振り回す野蛮な皇女の誕生というわけ。これには流石のお父様も頭を抱えていたわね。
そして、隣国の王女とそのお付きの娘……アリスちゃんとローリエちゃんね。二人と仲良くなれたわ。ふふふ、妹が出来たみたいで嬉しかった。
そして王国で『大氾濫』が起こったと連絡があって、とても驚いたわ。お父様は直ちに支援を決定したの。その責任者に兄上を指名した……それが間違いだったのね、あんなことになってゴメンね? アリスちゃん。
兄上の無礼な振る舞いで王国との仲が悪くなってしまった。でも、兄上も昔から「ああ」だったわけじゃないの。むしろ昔は大人しい……というより気弱な性格だったわ。よくお父様に「そんな性格では安心して国を任せられん」と言われていたの。
でも、何時頃からか兄上の様子が変わったのは。それと同時期にお父様の体調が悪くなっていったわ。今にして思えば、全てはミザーマの所為だったのよね。やがてお父様は意識不明の状態となって、代わりに兄上が政務を代行することになったわ。
兄上が政務を取り仕切ってから、帝国はボロボロになっていくの。兄上がやった事は色々あるけれど、治安は悪化、他国の商人も寄り付かなくなり経済も悪くなっていったわね。冒険者はこういった事には敏感で、あっという間に国から逃げていったの。おかげで魔物は増えるし野盗も増えるし大変だったわ。でも、大鎌を振り回していたのがこんな所で役に立つなんてね。人生何が役に立つかわからないものね。
それにお父様も意識不明になる前に、腹心の部下達に「有事に備えよ」という命令を下していたみたい。流石ね。それで有力な貴族は城から離れ、自分の領地に戻り備えたの……兄上と対峙する為にね。
帝国が内戦状態になるのも時間の問題……そう思っていた時、アリスちゃん達に出会ったのよ。それから問題が解決するまで、あっという間だったわね。お父様が私をレオンちゃんに嫁がせると言った時は、嬉しさで飛び跳ねそうになったわ。道中一緒にいる内に、レオンちゃんの事が気になっていたし、アリスちゃんと一緒に暮らせるしね。
それからというもの、魔大陸を訪れたり闘技大会を見学したり、楽しい事が沢山あったわね。これからもどんどん新鮮な体験が出来ると思うとワクワクするわ。
マリー視点
エリカの話が終わりました。この次はヴェロニカの番が始まる……その時、家の近くで何者かの気配がしました。恐らく旦那様がお帰りになったのでしょう。
「旦那様がお帰りになったようです。今回はここまでとしましょうか」
私がそう言って立ち上がると、皆さんがとても驚いた表情をしています……どうしたのでしょう? ああ、それより旦那様をお迎えに向かいませんと。
桔梗視点
そう言ってマリーっちが玄関に向かうのを呆然と眺めるあーし達。
えっ? ウソでしょ? そういう訓練を沢山したあーしでも気配を察知できない距離だよ?
メイドさんって……すごいんだね~。




