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それぞれの想い・アリスとローリエの場合

     アリス視点

「うわ~ん! リラっち~、辛かったよね~」

 リラさんの話が終わると、重苦しい雰囲気に包まれましたが、キキョウさんが凄い勢いでリラさんに抱き着きました。

「……もごもご……苦しい……」

 二人の身長には差がありますので、リラさんの顔がキキョウさんの豊満な胸に埋もれてしまっていますね。この二人のやり取りを見て幾らかは場が明るくなりました。

「では、次は私の番ですね」

 場も和やかになりましたし、話し始めるには丁度良いでしょう。

「それならば、私も一緒に語りましょうか?」

 話を始めようとしたら、ローリエがそう声を上げました。確かにそれが良いかもしれませんね。私達は幼い頃から共に過ごしてきましたから。

「それでは、お聞きください。私とローリエの物語を」




 とは言いましたが、何処から話すのが正解なのでしょう? 貴女はどう思いますか? ローリエ。

 そうですね……皆さん幼少期頃から話されていますし、それにならうのがよろしいかと。

 分かりました。では改めまして。私はこの国の第一王女として生を受けました。

 私は王国伯爵の娘として生まれました。兄弟姉妹はいませんでしたが、同い年のアリスがいたので寂しくはありませんでしたね。

 うふふ、そうね。私達は本当の姉妹の様に仲良く成長していきました。とても幸せな日々……、ですがそれは突然終わりを告げました。

 十年前に起きた『大氾濫』。それが私達の命運を大きく変えてしまったのです。『大氾濫』が起きたとの報告を受けて、父上達「精鋭部隊」を派遣する事になりました。

 そして、戻って来たおじ様達の報告を聞いて……何も言葉が出てきませんでした。

 戻って来た精鋭部隊は、ほぼ壊滅。父上も再起不能の怪我を負っていました。そしてカルディオスの町も壊滅状態。あの時の父上と陛下の顔は、一生忘れる事はないでしょう。

 あの時、先生は所用で国内にいらっしゃらなかったのです。先生が帰って来た時には全てが終わっていました。あの時の先生の表情……私は一生忘れません。

 私はこの時より、騎士として生きる事を誓いました。父の後を継いで王国騎士団の立て直しに専念する事に。

 私は国の……いいえ、民の為にこの命を奉げる事を誓いました。これで二人の夢だった「同じ殿方に嫁ぐ」という夢は、叶わないと諦めました。

 そうですね。私は婚姻すらも諦めていました。騎士団の立て直しで手一杯でしたからね。

 その後、帝国から私を嫁に寄越よこすのなら多額の支援を約束するとの知らせが届きました。送り主は例の皇太子殿下です……ああ、エリカ姉様の所為ではありませんから、その様なお顔をなさらないでください。

 私は……それが国の為になるのであればと、帝国に嫁ぐ事を了承しようとしたのですが……。

 陛下が「娘を売るまで落ちぶれちゃいねぇ! なめんじゃねぇぞ!」と、帝国の使者相手に啖呵たんかを切りましたからね。見事にご破算となりました。

 娘としてはとても嬉しかったのですけれどね。しかしそうなってしまうと、王女として国の為に何が出来るかと思い悩んでしまいました。わずかでも役に立つかと、先生にお願いして「治癒魔法」を学ぶことにしました。

 そして、運命の日……二度目の『大氾濫』が起こってしまいました。私は騎士団長として、現場に急行する事になったのですが……怪我で戦えない父上も一緒に行くと言い出して王宮が大騒ぎになりました。

 おじ様の気持ちは理解出来ますが、お父様を筆頭に全力でお止めしました。

 あの時は大変でしたね……。そして救援に駆けつけた現場で見た物は、魔物の大群を押し止めている冒険者の姿、これがレオン殿との初めての出会いでした。我が国にも、まだこの様な勇敢な冒険者が居た事に感動を覚えましたね。

 私は無事に戻って来たローリエを見て、思わず涙を流してしまいました。本当は危険な任務には行かないで欲しいと思っていましたが、騎士団長の立場ではそういう訳にはいきません。おじ様の事もありましたし、無事な姿を見て本当に安堵しました。

 そして私がこの度の『大氾濫』を、町の住民の被害無し、建物の損害無しで退けたと報告すると、王宮内はとんでもない騒ぎになりました。

 その立役者となったレオン様の話が出た時に、私はその方に何としてもお会いしなければならないと、私の直感が告げていました。そこで、多少の無理を言ってカルディオスの町に「慰問」という形で出向く事を提案しました。彼の地で出会ったレオン様は、私の予感通りの素敵な殿方でした。その後、王宮へ向かう道中でのやり取りで私の直感は正しかったのだと確信いたしました。国民の為、そして私達の夢が叶うと。そう思ったら居ても立っても居られず、直ぐにローリエに相談しました。共にレオン様の妻になりましょうと。

 突然その様な事を言われ私も驚きましたが、ふと良く考えてみれば、確かにレオン殿は私達の理想にピッタリな殿方です。了承の返事をした所までは良かったのですが……まさか裸で風呂場に突撃するとは思いませんでしたよ……。

 私共の覚悟を見せるには、それくらいの事をしないといけないと思いましたからね。ですがその甲斐あってか、無事に二人共妻にして頂けましたし、良かったではありませんか。

 うう……私は死ぬほど恥ずかしかったですよ。

 そうしてレオン様の妻となり共に過ごして今に至ります。妻になって未だ日は浅いですが、これだけは自信を持って言えます。

 ですね。私も同じ気持ちです。

「「私達は、とても幸せです」」


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