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『メイド服』

 カルディオスの我が家に戻った俺達。午前中は椿をともない町中を案内。ついでに椿のギルド登録も済ませた。そして午後からは王都へ。これは何時もの流れだな。

「いらっしゃいませ、レオンさん。それではお連れの方はこちらへどうぞ」

 ユニスの店に着くなり、ユニスは椿を連れて店の奥へと向かっていった。話が早くて助かるなぁ……。

 測定結果の方は、

 ・椿   身長:168センチ バスト:120センチ ウエスト:60センチ ヒップ:92センチ

 和服で判別しづらかったが、見事なスタイルの持ち主だったな。ちなみに彼女が身に着けていた下着は「さらし」と「ふんどし」だったよ。無論、彼女に似合う可愛らしくセクシーな下着を注文したよ。即決でね。

「あっそうだ。注文されていた服が仕上がりましたよ。はい、こちらです」

「ありがとうございます。おお、素晴らしいですね。ユニスさんに頼んで正解でした」

 相変わらずの仕事ぶりだ。早速これをプレゼントしなければな。俺はユニスに別れを告げ自宅へとんぼ返りを果たした。

「マリー、君にプレゼントだ。是非とも受け取って欲しい」

「これは……服ですか? 少し露出が多いみたいですが」

「まあまあ、取り敢えず着て見せてくれないか? そうだ、桔梗の分もあるぞ」

 そう言って俺は桔梗にも服を渡す。まあ、元はと言えば彼女の要望だしな。

「おっ、完成したんだね♪ ほらマリーっち、あっちでお着替えしようね?」

「はあ……わかりました」

 桔梗がマリーの手を握り強引に空き部屋へと誘導した。

『あの……キキョウ? この服って……』

『いいからいいから♪ 早く着替えてだーりんに見せてあげよう♪』

 待つ事数分。最初に部屋から元気よく飛び出してきたのは桔梗だ。その後ろから、おずおずと歩いて来たのはマリー。

「じゃ~ん! どお? だーりん♪ あーしらカワイイっしょ?」

 桔梗がその場でくるりと一回転する。服の至る所にあしらったフリルがヒラヒラと舞う。

 黒を基調としたその服は、紛うことなく『メイド服』である。

 だがそれはマリーが普段着ているメイド服とは訳が違う。某電気街の喫茶店や、夏に大勢の人が集まるイベントでよく見るタイプ――はっきり言えばコスプレ用のメイド服だ。

 肩を剥き出しにし、胸元も大きく開きスカートの丈も極めて短い。更にはガーターストッキングも完備。絶対領域が眩しいな。

 まあ、一つ言える事は、だ。こんな服で給仕の仕事が出来るわけない、という事だ。完全に鑑賞目的だよな。だが、それが良い。この実用性ゼロのメイド服を、本物のメイドに着せる……俺の夢が一つ叶ったよ。

「良く似合っているよ、マリーも桔梗も。実に素晴らしい」

「旦那様のその言葉は嬉しいのですが……この服はいったい何ですか?」

「何と言われてもな。メイド服だ、と答えるしかないぞ?」

 どうやらマリーはこの服が『メイド服』であると認識していない様子。何故だ?

「こ、この服をメイドが着るのですか? この様な恰好で仕事をしていたら……その……色々と見えてしまうのではないですか?」

「その辺はしっかりと考慮してある。余程激しく動かない限り下着が見える事はないさ」

 ユニスの技術の賜物だな。

「そ、それにメイド如き下女に、この様な煌びやかな服は必要ありません」

「俺の世界では、メイドは皆その恰好で仕事をしているぞ? 何も問題無いさ」

「そ、そんな……」

 うん。嘘は言っていない。決してね。

「あーしの国でもこの格好で働いてる子、いっぱいいたしね~」

 桔梗からのフォローも入った事もあり、不承不承だが納得したようだな。

「前のメイド服も良かったのだが、こちらの方が華やかで見ていて嬉しくなるしね。そう思ってプレゼントしたのだよ」

「そうでしたか。旦那様からの贈り物ですし、ありがたく使わせていただきます」

 うむ。これで良し。

「ところで旦那様。どうしてキキョウも同じ服を着ているのですか?」

「ああ。元はと言えば桔梗が「カワイイ服が着たい♪」と言うのでな、丁度良い機会だと思いメイド服を作る事にしたのだ」

 メイドと言えばマリーだ。そう思ってついでにマリーの分も作り着せてしまおうと画策した次第だ。極自然な流れでマリーにこのメイド服を着せる事に成功したな。我ながら見事な智謀だと自画自賛してしまうよ。

 マリーが普段着ている「メイド服」は、いわゆるクラシックタイプで大人しい雰囲気のメイド服だ。そしてメイド服=作業着と言わんばかりの地味な見た目だ。これが良いという者もいるだろうが、俺はやはりコスプレメイド服の方が良いと思うのだよ。

 奥さんの一人が本職のメイドさん。しかも普段着に着ていても何も問題の無い世界……これで着せない理由があるだろうか? いや、ない。

 桔梗が可愛らしいメイド服を着れる、マリーも新しいメイド服を着れる。それを見て笑顔になる俺。うん、皆が幸せになれた良い企画だったな。

 午後はのんびりと過ごす事にした。椿を加えた新たなパーティでの戦闘は後日に行うとしよう。

 そして夕飯の時間になった。

「おおっ、何と美味い肉でござるか。美味い酒に美味い食事、この世界に来て正解でござったな」

 椿の歓迎を祝して少々豪勢な夕飯にしたのだが、思った以上に喜んでくれた様で何よりだ。メインディッシュは恒例の「ダッシュバード」の肉だ。それにしても随分沢山の酒を飲むな。俺達も当然、夕飯時にワインを飲んでいるが。これが「うわばみ」というやつか。次々とワインの空瓶が増えていくぞ。王都で買い足しておいて大正解だったな。

「何と広い風呂でござるか! この様な風呂は城の殿様でも持ってないでござるよ!」

 続いて入った風呂を見て大はしゃぎの椿。流石に湯船で泳ぐことはしなかったがね。

 そしていよいよ、椿との初夜の時間がやって来る。

「ふつつか者ですが、末永く宜しくお願いします」

 ベッドの上で三つ指をついて俺を出迎えた。

「こちらこそ、至らない所も多いと思う。是非、君の力を貸して欲しい」

 椿の手を握り、ゆっくりと顔を近付けて優しく口付けを交わす。そのまま椿の衣服を脱がせてベッドに横たえる……。




「はあ……はあ……はあ……夜伽とは、これ程までに体力を使うのでござるか……」

 荒い息を吐き額に玉の汗を浮かべる椿。だが顔は充実した笑顔をしている。

「回数をこなして行けば慣れていくさ。これから何万回としていくのだから」

「それは……楽しみでござるな」

 ああ。本当に楽しみだよ。さて……そんな未来の話より、俺は直近に迫っている難題をクリアしなければ。

 頃合いを見て俺の傍までにじり寄って来る妻達。本当の戦いはここからだ……。

「はっはっは。頑張るでござるよ、殿」

「期待に沿えるよう全力を尽くすさ」

 さあ、夜はまだ始まったばかりだ。


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