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レオンとマリーの「お料理教室」withカトレア

「それではそろそろ帰るとするかのう。次に来た時も風呂に入らせてもらうぞ」

 一方的にそう宣言して賢者殿が帰って行った。やれやれ、台風みたいな御仁だな、本当に。

 ふう……賢者殿さえ帰れば、後は普段通りの日常を送るだけだな。

 帰宅してきたシオンと共に夕飯を食べ、その後二度目の風呂に入る事にした。シオン一人だけ入るというのも寂しいだろうと思っての決定だ。一日に一度しか風呂に入ってはいけない、という訳でもない。それに先程の入浴は疲労を取るどころか疲労が蓄積してしまったしな。何故だろうな、本当に……。

「気持ちいい…です?」

 シオンがその豊満な胸を一生懸命擦りつけてくる。むにゅ、むにゅという音がする柔らかい胸の感触が心地よい。先程は部外者も一緒だった事もあり、妻に体を洗ってもらうのは自重していた。だがしかし、一日一回はこの感触を感じなければ、落ち着かない体になってしまったよ。

「ああ、気持ちいいよ。ところで、子供達の様子はどうだ?」

「はい、皆いい子…です。ユニスさんも覚えが良いと褒めていました…です」

 丁度良い機会だと、子供達の様子を聞いたのだが、上手くやっているようで安心した。

「それじゃあ……レオンちゃんは横になって楽にしていてね~」

 風呂の後は、寝室に移動して夫婦の時間を過ごす。早速エリカが俺に跨り艶っぽい瞳で見下ろしてくる。今日の一番手は彼女か。

「お手柔らかに頼むよ」

「あら~? それは無理な相談ね~。貴方が愛おしすぎて~腰が自然と激しくなるのよね~」

 そう言われてしまっては俺も本気で愛さねばなるまい。そしてエリカは宣言通りに腰を激しく動かし始めた……。




 数日後。時間は正午過ぎ。場所はキッチン。今俺はそこに居る。何の為に? それは、

「出来上がりだ。さあ、試食を頼む」

「うん。幾らでも食べるよ♪」

 その日、俺はマリーと共に料理を試作していた。ジャックに頼んでおいた品々が届いたので、それを使って料理を作る事にしたのだ。今回手に入ったのはトマトに良く似た野菜と乾麺。と来れば作るのは当然「トマトスパゲッティ」である。

 しかし、残念ながら俺はプロの料理人ではない。俺が大雑把な感じで料理を作り、それをカトレアが試食し、マリーがカトレアの意見を参考にして料理の完成度を高めていく。完璧な作戦だ。

 完成までには幾度も作り直す必要があり、出来上がる試作品の数も膨大になってしまう。このままでは食材を無駄にしてしまう。どうすれば……そうだ、我が家には無尽蔵の胃袋を持つ頼りになる妻が居るのだ。

 という訳で、カトレアに事情を話し試食係を頼んだ。彼女は二つ返事で了承してくれたよ。

「う~ん……味が薄いかなぁ?」

 次。

「あむあむ……うん、今度は少し……しょっぱいかな?」

 次。

「うん! とっても美味しいよ」

 こうして幾度となく試作品が生み出され、その度にカトレアの胃袋に消えていく。だがその甲斐あって俺もマリーも納得のいく物が出来上がった。

 満を持して、その日の夕食にトマトスパゲッティを出したところ、妻達から絶賛の声が溢れた。

 別の日。トマト関連でもう一つ作ってみたい物がある。それは「ケチャップ」だ。これがあれば料理の幅がぐんと広がるだろう。

 作り始めようとしたその時、ケチャップ作りに欠かせないモノが二つ足りていない事に気が付く。「スパイス」と「玉ねぎ」だ。

 玉ねぎは似ている野菜で代用し何とかしたが、問題はスパイスの方だった。一口にスパイスと言っても種類は無数に存在する。どのスパイスがケチャップ作りに必要か分からなかったので、手当たり次第に購入して試してみる。

 その後、トライアンドエラーを繰り返し、膨大な数の失敗作を経て、遂に納得のいく味に仕上がった。失敗作は勿論、カトレアが色々な食べ物に付けて美味しく頂きました。

「まだまだ食べられるよ? えっ……もう終わり? ざ~んねん」

 本当に頼もしいな。




 更に数日後、ジャックからの朗報が舞い込んだ。この世界に来て俺が最も欲した物の一つ『食用油』を入手したとの事。

 ここでこの世界の食事事情を説明しておこう。この世界の調理方法は主に二つ。「焼く」「煮る」だ。その為、料理のバリエーションが少なすぎる。

 その……なんだ、元の世界の料理に慣れ親しんだ身としては、非常に物足りなく感じてしまうのだよ。なので、元の世界の味を再現出来るならばやってしまおうと思い立った。その計画に必須だった物……それが『食用油』だ。これで新たな調理方法『揚げる』が可能となったのだ。

 という訳で早速、揚げ物に挑戦だ。

「使用するのは、毎度お馴染み「ダッシュバード」の肉だ。これを卵黄に浸し、パン粉を塗したら油を張った鍋に投入。そのまま暫く待ち……頃合いを見て取り出す。これで『揚げ物』の完成だ」

 今回のこれは、一応「チキンカツ」と言って良いのかな? 鶏肉ではないが、鳥肉だし問題無しという事で。

「では、試食してみようか」

 揚げ物試作第一号を、この場に居る俺とマリーとカトレアで食する。

『サクッ』

 という子気味良い音が、三者の口から聞こえてきた。

「これは……初めての食感ですね」

「うん! それにお肉から汁がいっぱい出て来て、とっても美味しいね」

 うむ、我ながら上手に出来たな。濃厚な肉の旨味と、溢れんばかりの肉汁。味付けは塩・胡椒のみだが、十分だな。

 これ等の物とレシピをジャックへと売りつける。彼は嬉々として大金で買い取ってくれた。更に月々の売り上げの数パーセントも頂けるとの事。これで益々我が家の家計が潤うな。

「いや~、あの「マヨネーズ」が飛ぶように売れていましてね。もうレオン殿に足を向けて眠れませんよ。はっはっは」

 ジャックの話では、レストランや屋台を経営している者は勿論の事、貴族まで買いに来るそうだ。うむ、狙い通りだ。




 余談だが。食用油を手に入れる際に「人体に悪影響の無い油」という条件で探してもらったのだ。その為、食用油とは別の油も俺の元に届いた。それは「スティッキースライム」と言う魔物の体液だ。ぬめぬめとしていて無味無臭の液体だ。

 流石にこれを食すのは躊躇われた。だが無駄にアイテムボックスの肥やしにするには惜しい。何か使い道はないかと知恵を絞った結果『ボディオイル』にする事を考えついた。

 このスライムの体液に、良い香りの花から抽出したエキスを混ぜ合わせる。では早速使い心地を確かめなければ……。

「んっ……ぬるぬるして、不思議な感じですね」

 俺が居るのは寝室。時間は夜。新作のボディオイルを試すとなれば、ここ以外あり得ないさ。俺自ら、妻達にボディオイルを塗りこんでいく。

「あら? 良い香りがしますわね」

 プリムラがそう言いながら鼻をひくつかせる。寝室に花の香りが漂ってきたな。

 たっぷりと時間をかけて、懇切丁寧にオイルを塗り込み、妻達の全身をオイル塗れにした。

 不覚にも、そこからの事はよく覚えていない。妻達の『暴力的』とも言える裸体がヌルヌルのテカテカになったのを見て、僅かに残っていた理性の糸が切れたようだ。気が付いた時には朝日が昇っており、ベッドの上には全身色々な液体でドロドロになった、気絶している全裸の嫁達。その様子は正に「死屍累々」と言うに相応しかった。

 そんな事があってからというもの、

「その……あなた様? 今夜はあのボディオイルは使用しますでしょうか?」

 とプリムラ。

「今日はあの液体を塗ってヤルのかい? あの時の夫君は凄かったからね」

 とセフィラ。

「あの妾の全てを蹂躙される快感。もっともっと味わいたいわ。ねえ、今夜にでもどう? ア・ナ・タ?」

 とヴェロニカ。

 というように、妻達からは好評でしてね……次はいつ使うのかと連日質問されているよ。

「こういう物はたまに使うから良いんだ。普段使いする物では無い」

 俺の賢明な説得により、妻達は渋々だが納得してくれた。ああ、それとこれは余談だが、このボディオイルをジャックの店で販売したところ、瞬く間に噂が広まり爆発的ヒットを記録した。そしてその年の出生率が大幅に増えたとか……これも社会貢献と言っていいのかな?

 その様な感じで、充実した穏やかな日々を過ごしていた俺達だが……あの様な『事件』が起きるとはね。油断していたのは事実だ。だがこんなにも早く「向こう」から行動を起こすとは思わなかったさ。


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