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カルディオス再生計画

 レオン視点

 森へ向かった妻達も帰宅し、全員で夕食を頂く。その席で今日の出来事を報告し合う。

「成程、それは面白い出来事だったな」

 森で依頼をこなしている最中に、新米の冒険者を助ける事になったそうだ。四人組の少年か。まあ、背伸びしたい年頃だろうしな、気持ちは大いに理解出来る。だが、勇気と無謀は全く違うものだ。くじける事無く、腕を磨き直して頑張って欲しいな。

 その後、風呂に入り就寝する為に寝室へと向かった。うむ、今夜も変わらず長い夜になったよ。

 翌日、俺はソニアとアリスを伴って王都へやって来た。ユニスに会う為にね。かねてよりの計画を実行には彼女の協力が必要不可欠だ。

 ああ、連れて来た二人以外の妻は家でのんびりと過ごすそうだ。プールで泳ぐと言っていたな。

「あっ、レオンさん。今日はどの様なご用件で?」

「ええ。今日はユニスさんに相談がありまして……」

 俺は以前から考えていた『カルディオス再生計画』の一つとして、町に「工場」を建てるつもりだ。ユニスに相談するのだから、その工場は勿論『縫製ほうせい工場』だ。

「そこで働く予定の従業員にミシンの使い方等の指導をお願いしたいと思いまして」

「ふむふむ……話は分かりました。ですが肝心の作業員は何処から連れて来るのですか? レオンさんの話では結構な人数が必要だと思いますが……」

 俺の話を聞いてそこまで考えられるとはな。やはり経営者としても優秀だ。

「それは……アリス。この町に「孤児院」はあるか?」

「はい、勿論あります。私も何度か訪問したことがありますよ」

「まさか……孤児たちを雇うのですか?」

 そのまさかだ。と言っても雇うのは成人に近い年長の者だけだ。これは将来的に犯罪の抑止にも繋がる。孤児院を卒業した者は、男なら冒険者の選択肢もあるが、殆どが犯罪者になってしまう。そして女なら体を売る商売しか道が無いのが現状だ。学もコネも無い者は真面まともな仕事に就く事が出来ない。そういう世界だ。

 なので、ここで彼等を雇えば未来の犯罪を防ぐことになる筈だ。無論、ただの慈善事業ではないがね。

「つまり、その孤児たちにミシンの使い方を教えればいいのですね?」

「はい。それで腕の良い者は、ユニスさんの店に異動してもかまいせん。将来的にですが」

 これはユニスにもメリットがある。将来の優秀な職人の確保――青田買あおたがいというやつだ。どれもこれも、全て上手くいけばの話だがな。

「後はカルディオスに居る主婦の皆さんに手伝ってもらおうと思っています。これで従業員の問題は解決出来るかと。ああ、それとミシンと建物は私がお金を出しますのでご安心を」

 言ってしまえば、これは俺の我儘だからな。俺が金を出すのが筋だ。

「いいえ、それはダメですよ! 私もお金を出しますっ」

 しかし、ユニスはそれを不服とし自分も金を出すと言い出した。

「……」

「……」

 しばし無言で見つめ合う。ふう……仕方ない。

「分かりました。宜しくお願いします」

「はいっ!」

 ここは俺が折れるしかないか。彼女は一切折れる気が無かっただろうしな。

「それでは、色々と決まり次第お知らせします」

「はい。お待ちしております」




 店から出て、アリスの案内で孤児院を運営している「教会」を目指す。この世界では孤児院と教会は併設されている事が多い。その方が何かと都合が良いからな。

「おや? アリス姫様。今日はどうなされたので?」

 教会に着くと、老齢のシスターが出迎えてくれた。

「こんにちは、シスター・ミーネ。今日はご相談がありまして……あ、こちらは私の婚約者とその奥様です」

「なんと? あの可愛らしい子供だった姫様が婚約ですか……。時の流れとは速いものですなぁ。私も年を取るわけです」

 人の良さそうな御老人だ。何はともあれ挨拶をしなければ。

「私はレオンと申します。冒険者をやっております。こちらは妻のソニアです」

 俺の紹介に合わせて、ソニアが頭を下げる。

「これはどうもご丁寧に。私はこの教会のシスターをしているミーネと申します。それと隣の孤児院の院長も兼任していますね」

「早速で申し訳ないのですが、シスターにご相談がありまして……」

 俺はシスターに孤児達を従業員として雇いたいという話をした。

「それは素晴らしい事です。今のままでは、あの子達は普通の仕事に就く事も出来ませんから……これもきっと神の御導きなのでしょう」

 そう言うと、シスターは床に膝を突き両手を合わせ祈り始めた。神の御導きか……あながち間違いではないな。

「貴方のお話ですと、カルディオスの町で働かせるという事ですが、その場合子供たちの暮らす家は?」

「町に新しく孤児院と教会を作り、そこで生活してもらおうと考えています。出来るだけ今までと同じ暮らしが出来るように」

「そうですか。出来る事なら私もお手伝いしたいのですが……この教会を離れるわけにもいきません。それにもう歳ですからね、遠く離れた場所で暮らすのは厳しいでしょう」

 成程ね。つまり新たなシスターの勧誘が先か……ここは「アレ」の出番か。

「分かりました。新しい孤児院の院長は私が手配しましょう。全ての準備が整い次第、またお伺いします」

 次は王城に向かい、ドワーフの職人ガントンに会いに来た。

「成程ねぇ……つまり俺達は「工場」「孤児院」「教会」の三つを作ればいいんだな?」

「はい。大変な作業だと思いますが、宜しくお願いします」

「なぁに、問題はねぇさ。丁度新しい職人を雇ったんだ。人数が増えた分早く仕上げてやるぜ」

 建築に関してはこれで良し。次はカルディオスのへ帰り、役所も兼ねているギルドへ向かった。

「ほほう……子供が増えるのはウチとしても大歓迎だよ。ギルドも全面協力を約束しよう。空いている土地は好きに使って構わないさ」

 支部長のライアンとの話も問題無く終わった。土地取得の問題はこれで完了だ。残りは一つ。これは夕飯前にしようか。色々な所に行って交渉をしていたので、思いのほか疲れてしまったよ。元の世界では年中やっていた事だったのだが……俺も立派な冒険者になったという事かな? 

 俺は癒しを求めてソニアとアリスを伴って、プールへと向かったのだった。


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