闘技大会に優勝したら、何故か新しい「嫁」が増えた件について
「優勝おめでとうございます。旦那様」
妻達と合流すると、それぞれが祝福の言葉を送ってくれた。
「それにしても、相手の方は凄まじい恰好でしたわね」
プリムラがヴェロニカの事をそう評した。まあ、うん……俺からは何も言うまい。
「格好はさておき、実力は相当なもんだ。是非、手合わせをお願いしたいねえ」
そうだな。セフィラとヴェロニカが戦えば良い勝負を繰り広げるだろう。見てみたいな。
「あら? 妾の話をしているのかしら? なら、妾も混ぜて欲しいわね」
噂をすれば何とやら。話題の人物であるヴェロニカが俺達の方に向かって歩いて来た。
「もう動いても大丈夫なのですか?」
「ええ、良い回復薬を用意していたのでしょうね。御覧の通り、もう何ともないわ」
それは良かった。仕方なかったとは言え少々やり過ぎたかなと思っていたからな。
「それで、貴様達はこの後どうするの?」
「そうですね……家に帰ってゆっくり休もうかと思っています」
この後サンテキア王都で三国会議が行われるのだが、俺は出席しない事になっている。あくまでも三国の国王同士での話し合いがしたいのだそうだ。会議の結果は教えてもらえる手筈にはなっている。
「そう……では行きましょう?」
そう言ってヴェロニカが俺の腕に自分の腕を絡ませた。俺の腕が彼女の素晴らしい爆乳の谷間に埋もれる。何と柔らかい感触だ……いや、それよりも、
「……私達と一緒に来るおつもりですか?」
「あら、つれないのね? 妾達はあれだけ激しく愛し合った(殺し合った)仲じゃない」
何となくだが、彼女がそう言いだすと思っていた自分がいる……それはそれとして、今の『愛し合う』のルビがおかしくなかったか?
俺としてもヴェロニカは非常に気になる女性だ。好ましい……とは違うのだが、無意識に彼女の姿を追ってしまう。
「私は、共に過ごす者に「家族」となってもらうと決めているのですが……」
「あら? それだけでいいのかしら? 妾はてっきり「性奴隷」になれとか言われるのかと思っていたのに」
俺に対する評価が心外過ぎる。
「……一体私の事を何だと思っているのですか?」
「そうねえ……『世界一の女好き』、『ハーレム王』、『性欲魔人』……どれがお好みかしら?」
どれもこれも不本意ではあるが……何も言い返せないのが悲しいな……。
「そもそもの話、妾は初めから貴様の妻になるつもりだったし、何の問題も無いわ」
どうやら彼女の中では俺の妻になるのは決定事項だったようだ。ならば後は、
「私は家族全員で末永く幸せに暮らす事を目標にしています。妻同士も仲良くしてもらいたいのですよ」
「つまり、そこに居る皆さんの許可を得れば良いのね?」
そう言ってヴェロニカは妻達の前に移動し、
「どうか私を、貴女達の輪に加えてもらえないでしょうか? 貴女達と共に、彼を支える妻になりたいのです」
ヴェロニカが真剣な表情で妻達に訴えかける。その言葉を受け、妻達がヴェロニカを厳しい視線で見つめる。
どれくらいの時間が過ぎたのだろうか。数秒だったのだろうか……いや、数分だったかもしれない。妻達とヴェロニカの視線が交わっていた時間は。
やがて妻達がお互いの顔を見合わせ、大きく頷いた。
「ようこそヴェロニカ。私達は貴女を歓迎しますよ」
代表としてマリーが一歩前に進み、ヴェロニカに答えを告げた。
俺はこの時のやり取りが気になって、後日マリーに尋ねてみた。するとマリーは、
「瞳を見れば、その女性の内面が大体分かるのですよ。ヴェロニカの瞳には旦那様を愛する思いと、何があっても共に歩みたいと思う気持ちが色濃く出ていました。ですから妻になる事に特別反対しなかったのですよ」
だそうだ。俺だけの判断では間違う可能性がある。妻達の判断も加われば非常に心強いさ。
正直な事を言えば女性の心の機微については、良く分からん……というのが俺の本音だ。
「では、今日から俺達は夫婦だ。共に協力しあい幸せになろう」
「はい。末永く愛し合いましょうね、『あ・な・た』♪」
その様な経緯で、新たにヴェロニカを妻に迎えたのだった。そして俺には直ぐに取り掛からなければならない問題がある。
それはヴェロニカの「服装」をどうにかするという重要な問題だ。流石にこの裸同然の姿で、町中を歩き回らせるのは外聞が悪い。家に帰る前にユニスの店に寄るとしようか。ああ、今ヴェロニカには例のフード付きコートを着せている。何気に出番が多くて驚いているよ。
「またですか……。いえ、もう何も言いません。それで今日は、そちらの方の採寸と服の作成ですね? ではこちらへどうぞ」
店に着くと、ユニスがヴェロニカを見て何か言いたそうにしていたが、溜息を一つ吐いた後に、何時もの工程に移行した。あ、はい。察して頂き助かります。
そしてしばらくの後、サイズを測り終えたヴェロニカとユニスが戻って来た。
・ヴェロニカ 身長:169㎝ バスト:123㎝ ウエスト:62㎝ ヒップ:95㎝
という結果だった。まさかソニアを超えるスタイルだったとは。世界は広いな。
それでいざ服を作るという話になった際にヴェロニカが注文を付けてきたのだった。
「今着ている「服」は、妾の為に一流の職人に作らせた世界で一着しかない服なの。妾のお気に入りで、出来ればこの服を着ていたいのだけれど……」
と言うので、彼女にブラジャーとショーツを着せ、その上にこのスケスケベビードールを着せる代替案を採用する事にした。これなら何とか……本当に、辛うじてだが許容出来る。ああ、制服はちゃんと作ってもらうぞ。普段は制服を着てもらうつもりだ。ちなみに水着はマイクロビキニを選んだ。体を拘束される感じが苦手だとか。
これで取り敢えず喫緊の問題は解決出来たか。では、家に帰るとしよう。
ああ、言い忘れていたが、闘技大会に出場すると息巻いていたラキウス王子だが、準決勝でヴェロニカと対戦し、完膚なきまでに敗北したそうだ。
「くっそ~っ! 鍛錬が足りないのか? 今直ぐ特訓を開始しなければっ!」
と言って大会終了後に間髪入れず特訓を始めたそうだ。まだ若いし伸びしろに期待しておこう。




