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危険で魅惑的な対戦相手

「それじゃあ始めましょう。楽しい楽しい殺し合いをねっ!」

 ヴェロニカが真正面から突っ込んで来た! そのままの勢いで戦戟を振り下ろす! 早い!

「くっ⁉」

 何とか相棒で受け止め鍔迫り合いに持ち込むが、徐々に押され気味になる。力はあちらが上か!

 接近戦は不利と悟り、少し距離を取って突きの連打を御見舞いする!

「うふふ、良い突きだけど、その程度では妾には届かないわ」

 俺の放った突きを、戦戟を起用に操り全て防がれてしまった。凄まじい技量だな。これでも彼女の力を高く見積もっていたが、それでも足りないか。

「突きはこう放つのよ?」

 お手本とばかりに突きを繰り出すヴェロニカ。

「……っ!」

 辛うじて直撃は免れたが、腕を少し切られてしまった。

 分かっていたつもりだったよ、世界は広い……と。だが彼女のお陰でそれを再認識出来た事は収穫だ。

 出来る事ならヴェロニカを真正面から打ち破りたかったが……難しいか。それが無理と分かった今、ここからはあらゆる手段を使って勝たせてもらう!

 魔力を高め、その魔力を相棒へ注いでいく。

「……次は何を見せてくれるのかしら?」

 少し離れた位置で、俺の魔力の高まりを察知したヴェロニカが、戦戟を構え攻撃に備えているが……そこは射程内だぞ?

「『散雷弾ショットガン・ライトニング』!」

 雷の散弾がヴェロニカを強襲する!

「うっ……あぁっ⁉」

 散弾に撃ち抜かれたヴェロニカは、体のあちこちに焦げ目を作った。ダメージは与えられたが思った程ではないか。

「何なの?……今の魔法は?」

 流石のヴェロニカも今の魔法を見て警戒を強めた。その為、足が止まり今までの勢いが削がれる。

 だがそれこそ俺の狙いだ。一気に決めさせてもらう!

 過去最大級に魔力を高め、ヴェロニカへ必殺の一撃を放つ!

「『重力圧壊グラビトンプレス』!」

「……がっ⁉」

 超重力をその身に受け、押しつぶされる様に両膝と両腕を舞台に押し付ける。

「な……なん……なの? 体が……重い……?」

 ヴェロニカが何とか立ち上がろうと必死に手足を動かそうとするが、俺がそんな事を許すわけがないだろう?

「おぉぉっ!」

 更に魔力を込めヴェロニカへの荷重を増やす。すると石造りの舞台に亀裂が入り、壊れる音が辺りに響き渡る。

 これで終わりだろう……そう思っていたのだが、

「ま……だよ……こんな……楽しい……殺し合い……終わらせ……ないわ……」

 しかし何という執念だろうか。これだけ体に負荷を掛けているというのに、彼女はフラフラになりながらも立ち上がる事に成功した。

「さあ……殺し合いの……続きを……しましょう?」

 辛うじて立っている状態だが、しっかりと俺の顔を凝視している。俺を見つめる彼女の瞳からは、燃え滾る情熱を感じ取れた。彼女は純粋にこの試合を楽しんでいるのだろう。

 これ以上彼女に負荷を掛けると、彼女の命に関わってしまう。それに俺は他者をいたぶり喜ぶ性癖は持ち合わせていない。次の一撃で終わらせようか。

「はあっ!」

 武器も持たず、ただ立ち尽くしているだけのヴェロニカに急接近し、無防備な鳩尾へ全力の石突きを繰り出す!

「……ぐっ……あっ⁉」

 石突きの一撃が直撃し、ヴェロニカは舞台上を勢い良く転がり、舞台の淵付近まで吹き飛び、そこで止まった。

 それを見て審判が慌ててヴェロニカの元へ駆け寄る。

「……ヴェロニカ選手の戦闘不能を確認。よって闘技大会優勝は……レオン選手ですっ!」

 審判が俺の優勝を宣言すると、今日一番の歓声が沸き起こった。比喩では無くコロシアム全体が揺れる程の声量だ。

 歓声に応えて槍を持ったまま右手を振り上げる。何気なくコロシアムを見渡すと、妻達が拍手で祝福してくれているのが見えたよ。皆が同じ服を着ているのでとても目立つな。何処にいるか直ぐに分かったぞ。

 気絶しているヴェロニカは担架で医務室へと運ばれていった。手加減する余裕なんて無かったからな、骨の数本は砕けているだろう。とはいえ、大会運営も負傷者の為に、回復薬を潤沢に用意してあるとの事なので大事には至らないだろうさ。

「それでは、これより表彰式を執り行います。優勝者には国王から記念のメダルが授与されます」

「うむ。見事な戦いぶりだったぞ」

 いつの間にか舞台上に現れたモーガン王。もしや転移魔法の使い手か?

「優勝者に与えられるこのメダルだが、所持者は我が国において、様々な優遇を受ける事が出来る便利な物になっておる」

 モーガン王より手渡されたメダルは、獅子の顔を模した物だ。

「サンテキア王国の初代国王が獅子の獣人だったのでな、その顔を模して造られたのだ」

 成程ね。まあ持っていて損になる事はなさそうだな。

「これにて今年の『闘技大会』は終了となる。来年も楽しみにしているぞ」

 モーガン王のこの言葉で、闘技大会の幕は下ろされた。その後簡単な治療を受け妻達と合流する為に、受付へと移動した。

 治療に関して、本来は自分の魔法で治せば事足りるのだが、後学の為にと運営から支給された回復薬を使用してみた。瓶に入った液状の薬だったのだが……これが想像以上に不味かった。苦味と渋味の二重奏で、舌がおかしくなりそうだったよ。非常時以外では絶対に飲まないと心に誓った瞬間だった……。


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