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闘技大会、開催

 今日の天気も快晴。空に雲一つ見当たらなく絶好の行楽日和だな。

 今日は待ちに待った『闘技大会』の開催日だ。この一か月、ダンジョンに潜ったり、妻達と鍛錬したりと大会に向けて入念な準備をしてきた。コンディションも問題無し、いざ大会のあるサンテキア王都へ出発しよう。

 サンテキア王都に着いたが物凄い人出でにぎわっている。闘技大会を観戦しようと集まった人達だろう。

 人々の波を掻き分け、俺達はコロシアムへとやって来た。

「随分と立派なコロシアムだねぇ。アタイの国にあった物よりもでかいんじゃないかい?」

 というセフィラの声を受け俺達はコロシアムを見上げた。確かに大きい建築物だな。一体どれだけの人と金が掛ったんだろうか? 等とどうでも良い事を考えてしまったよ。まあこれは職業病みたいなものさ。

 大会に出場する為にコロシアムの受付に向かう。

「レオン様ですね……はい、受付が完了しました。それでは左手にある選手の控室に移動して下さい。観戦を希望の方は右手に進み観覧席への移動をお願いします。

「私達は観覧席で旦那様を応援しますね」

「頑張って下さいましね」

「……レオンなら……大丈夫……」

「おねぇさん達にカッコイイ所を見せてねぇ」

「怪我にはお気をつけ下さいね」

「レオン殿の雄姿、確と目に焼き付けます!」

「油断だけはするんじゃないよ」

「ダーリン、がんば♪」

「目指すは優勝よ~」

「ウチも踊って応援するね」

 妻達の激励を背中に受け、控室へと足を進めた。ふふふ、力がみなぎって来るようだよ。

 ちなみに、妻達は大会に参加しないのか? と気になった者もいるだろう。俺も妻達(特にセフィラ)に大会に出るよう進めたのだが、

「夫の晴れ姿を邪魔してはいけない」

 と言って、全員固辞したのだった。その辺は気にしなくても良かったのだがね。

 俺は意気揚々と控室の中に入った。中はとても広く、既に十数名の出場者が待機している。

「……」

 選手達の視線が俺に集中する。品定めでもしているかの様な不快な視線だが、こういった場では仕方のない事だろう。

 俺も周りの連中を見習って観察するとしますかね。

 ふむ……全体的に男が多いが、女性もそれなりの数が居るな。それに戦士や魔法使いらしき者もいて職業も装備もバラバラだ。更に人族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族と種族も多種多様だ……流石に魔族は居ないようだがね。

 観察を終え、しばしの間目を閉じて集中力を高めていると、控室の中がざわめき出した。どうやら新しい出場者がやって来たようだが?

「あらあら……熱烈な歓迎ね。体中に刺さる無数の視線……その熱気を受けて、妾の体も火照ってしまうわ」

 噂をすれば何とやら。新たに現れたのは女性――それも魔族だ。側頭部から生えた角が最大の特徴で、髪は少しくすんだ桃色――ダスティピンクと言うのかな? それを腰まで伸ばしている。だが肌の色は比較的人族に近い色をしているな。若干、普通の人族より青白く見える程度だ。

 それにしても……何という恰好をしているんだ? 彼女は。

 ベビードールの様な下着姿。それも布生地が全てシースルー仕様になっていて全身が透けて見えている。無論、乳首も秘部も丸見えだ。まるで娼婦だな。

 そしてその蠱惑的な衣装は、彼女の抜群のプロポーションをこれでもかと際立たせている。ひょっとしたらソニアよりも上か? そして手に持っている彼女の得物、あれは槍……いや『戦戟』か? もしくは『斧槍』か。身の丈以上の武器を軽々と片手で持っている。

 それにしても、妻達で見慣れていると思っていたが、それでも無意識に見惚れてしまうな。これだけの美女を目の前にしては。

 と、俺がそんな事を思っていると、彼女が俺の目の前までやって来て、

「この中で一番妾を楽しませてくれそうなのは……貴様ね」

 不遜な態度でそう言ってきた。ふむ、体を見ながら……というのはマナー違反だな。そう思いしっかりと彼女の顔を見ながら答える。

「どうでしょうね? 貴女のご期待に沿えられればいいのですが」

「謙遜しても無駄よ? 貴様の体から溢れる魔力を見れば、一目で分かるわ」

「それは……とても良い『眼』をお持ちですね」

「それは貴様も同じでしょう?」

 この女……俺が『眼』に魔力を込めて見ていたのに気付いただと? それに『眼』で見た彼女の魔力の高さ、佇まいから察するにかなりの実力者だ。ひょっとしたらセフィラに匹敵するかもな。

「おいおい、ここは娼婦の来るところじゃねぇぜ? まあどうしてもって言うんなら俺が相手してやってもいいぜ?」

 俺と彼女が話していると、そこに割り込んでくる男が現れた。そして勇敢――いや、無謀にもそんな事を宣った。筋肉ムキムキの大男だ。どうやらこの男には彼女の力が理解出来ないらしい。

「あら? ごめんなさいね。貴様如き雑魚は眼中に無いの。消えて頂戴」

 うむ、清々しい程の辛辣な態度だ。

「はっはっは。その強気な態度、気に入ったぜ。今の言葉は良く覚えておけよ?」

 男は大声でそう言うと、俺達から離れていった。やれやれ、騒がしい男だったな。

「……あの男は駄目ね。ちっとも興奮しないわ。けれど貴様を見ていると興奮で濡れてきちゃう。ああ……早く貴様と殺し合いがしたいわ~」

 どうやら彼女は極度のバトルジャンキーみたいだな。物騒な言葉がポンポンと飛び出す。

「……ところで、妾と何処かで会った事があるかしら?」

「いいえ。今日初めてお会いしますね」

 口ではそう答えたが、実は俺も全く同じ事を考えていた。俺も彼女と何処かで出会っている様な……それにどこか懐かしさを覚えるのはどうしてだろう? そして胸が締め付けられるこの感覚は何だろう?

「お待たせしました。これより『サンテキア闘技大会』を始めます」

 思考の海に沈んでいた俺の意識は、このスタッフの宣言で呼び戻された。

「それじゃあ、続きは舞台の上でしましょうか」

「ああ、その時を楽しみにしておくよ」

 俺がそう返事すると、彼女は満面の笑みを浮かべ、何処かへ行ってしまった。何とも不思議な感じの女性だったな。

「こちらがトーナメント表になります。左上の方から順番にお呼びします」

 そう言って控室の壁に大きな紙が張り出された。

 俺の名前は一番左上――つまり一回戦だな。一番手か、控室でじっと待っているよりマシか? そういえば、先程の女性の名前を聞き忘れてしまったな……。


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