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「災厄」に関しての報告

 部屋の中で少しの時間待っていると、ガルド王と賢者殿がやって来た。

「それで? 急に謁見したいだなんて、何かあったのか?」

 いつもと同じ口調で緊張感の欠片も無い雰囲気。まあ、電話やテレビが無いこの世界、情報の伝達速度は現代人から見たら驚くほど遅い……っと、話が逸れたな。本題に入ろうか。

「先程まで我々はサンテキア王国に居たのですが、そこで『大氾濫』が発生し、それに巻き込まれてしまいました」

「何だとっ⁉」

 驚きのあまり椅子から立ち上がって声を荒げるガルド王。

「その顔を見るに『大氾濫』は無事に解決したのであろう?」

 それに対し賢者殿はいたって冷静だな。眉一つすら動かさないとは。だが、この追加情報ではどうかな?

「王都サンテキアの北西から一つ、そして東からもう一つ。計二つの『大氾濫』が同時に発生したのです」

「……⁉」

「……成程のぅ……それは異常事態と言えるじゃろうて」

 流石の賢者殿もこれには僅かだが動揺したな。ちなみにガルド王は絶句して固まっているよ。

「……エフィルディス。過去に『同時発生』なんて事はあったのか?」

「少なくとも、ワシが生きている間に起こっておらんのは確かじゃ」

 つまり数百年間は無かったという事か。だが今回に限って言えば『例外』と言えるかもしれない。

「それなのですが、今回の『大氾濫』の原因と思われる魔物が着けていた物です」

 俺は例の「首輪」を二つ取り出してテーブルの上に置いた。一つは俺が、もう一つはプリムラが見つけた物だ。

「あぁん? 何だこれは?」

「ふむ、見た所変哲の無い首輪のようじゃが……」

 そう。一見しただけではわからないが、よく「目」を凝らして見てみるとだ、

「僅かではありますが、この「首輪」から微量の魔力を感知しました」

「つまりこれは『魔道具』って事か?」

「恐らくは……」

 この首輪が元凶の魔物に装着されていた意味。それは……。

「小僧。お主はこの首輪の効力は何だと考えておる?」

 首輪を手に持ち、じっくりと観察している賢者殿がそう尋ねてきた。

 これもゲームやアニメではお約束の展開だな。強力な魔物に埋め込まれた魔力を帯びた首輪状の物体。

「私個人の見解ではありますが、これは魔物を「操る」為に装着されたものかと」

「魔物を……操るだと?」

「うむ。ワシも同じ見解じゃな」

 再び呆然とするガルド王と、冷静に俺の意見に同意する賢者殿。何ともカオスな空間が出来上がってしまったな。

「これは先の帝国で暗躍していた「ミザーマ」なる魔族の仕業だと思うか? 小僧」

 ミザーマか。確かに彼奴のやっていた手口と似ているが、それでも「似ている」止まりなんだ。根本的な考えは同じ。だがそこまでの道のりが違うといった感じか。

「私は別の人物の仕業だと考えます。それと、以前私が倒した「キマイラ」という魔物を覚えていますか?」

「無論じゃ。ふむ、お主はそれも今回の件と何か関係していると?」

「はい。もっと言えば「サイクロプス」、「キマイラ」、「首輪をした魔物」、これら三つの出来事は裏で繋がっていると考えています」

 先程言った「根本的な考え」を推測した結果だな。

「その根拠は?」

「サイクロプスは体内に魔石を埋め込み、能力を無理矢理上昇させる。キマイラは強い魔物の長所を組み合わせて、新たに強力な魔物を生み出す。首輪は元々強大な力を持つ魔物を直接操り、自らの支配下に置く。そしてこれら三つに共通する事は……」

 それは正に「悪魔の所業」と言える事。

「それは……強大な力を持つ『兵器』を創り出す事だと考えます」

 これらは未だ実験段階なのだろう。実験を繰り返し完成したその時、恐ろしい『生物兵器』が誕生する。

「自身の限界を超える力を持つ最強の生物の創造。あらゆる生物の長所を掛け合わせた究極の生物の創造。そしてそれらの生物を支配下に置き、自在に命令する為の魔道具。これらが揃えば世界中の国が束になっても敵わないでしょう」

「つまり……なんだ? そいつ等の目的はその兵器を使って『世界征服』をするって事か?」

「もしくは、この世界「そのもの」の破壊か……ですね」

 部屋の中を沈黙が支配する。自分で言っておいてなんだが、何とも滅茶苦茶な話だな。『世界征服』と『世界の破壊』、どちらにせよ結果は同じか。

 とはいえ『神』の依頼を考えると『世界の破壊』の方が可能性としては高いか? だが俺が……いや『俺達』が必ず防いでみせるさ。

「はあ……こりゃ国のトップで話し合わないと駄目だな」

 ガルド王がため息交じりにそう呟いた。

「少なくともカルディオス、ハイデス、サンテキアの三国で話し合うのは必須でしょう。場合によっては周囲の国全てに広げるべきでしょう」

 十中八九、これからも被害が拡大するだろう。これで終わりと思うのは甘すぎるな。

「明日にはサンテキア国王に会う予定があるので、そこで提案してみます」

「うむ。ワシ等の方でも使者を送り、日程などの調整をするとしようかのう」

 色々と動き始めてきたな。俺達も力を蓄えてこれからの戦いに備えなければ。

 報告を終えて王宮を後にし、我が家へと帰還する事にした。

 全員疲労が色濃く顔に出ているな。流石に今回ばかりは俺も疲れたよ。

 それと初めてパーティを分けての戦闘も行ったな。即興で組み分けたにしては上手くいったと思うが……。今後の事を考えるともう少し人手が欲しいか。

 それはそれとして、疲労を回復させるには栄養のある食事と十分な睡眠をとる事が肝要だ。そういうわけで、今日の所は夕飯を食べ風呂に入りゆっくりと眠る――事は出来ませんでした。

「あははっ、ダメだよ? だーりん♪ 昨日お預けだったんだし、今日は二日分あーし達を愛してね?」

 という事らしいです。今日は妻達も疲れていると思うのだが……それとこれとは別問題だそうだ。そこまで期待されては断るというのは無粋だな。では頑張るとしますか。


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