新しいお嫁さんは「踊り子」でした
「では、夕飯の準備に入ろうか」
『神域』に向かう前は夕飯の準備をする直前だったな。
「ご飯っ⁉」
夕飯と聞き、カトレアが歓声を上げる。
「ふふふ、直ぐに準備をしますね。座って待っていて下さい」
マリーが準備のために台所へと向かう。
「俺も手伝おう。今日はカトレアの歓迎会を兼ねて沢山用意しようか」
カトレアも期待に満ちた目で俺達を見つめているからな。その期待にはしっかりと応えてやろうか。
「うわ~! お肉が沢山あるよ!」
今夜は奮発してダッシュバードの肉を使ったステーキを沢山焼いたからな。
「待ちきれない者もいる事だし、早速頂こうか」
俺がそう言うと、カトレアは刹那の間にステーキにかぶりついていた。
「あむあむ……ん~っ‼ とっても美味しいね!」
「それは良かった。遠慮せずに好きなだけ食べるといい」
「うんっ!」
カトレアの食事のスピードに皆が驚いていたな。ふふ、これはうかうかしていると全部カトレアに食べられてしまうな。
俺達が夕飯を食べ終わる頃には、カトレアは既に三人分の量を食べきっていた。だが、見ればまだ食べたそうな顔をしていた。
「俺達に遠慮する事はないよ。約束しただろう? 好きなだけ食べさせてあげると」
「……じゃあ、お代わり……いいかな?」
「ああ。テーブルにある物は全部食べて構わないさ」
これはカトレアの為に作ったのだからな。
「うん! ありがとう、ご主人君」
俺の言葉でカトレアは嬉しそうに食事を再開した。最終的には五人分を平らげたよ。
「ふふふ、これだけ美味しそうに食べている姿を見ると、作った私達も嬉しくなってしまいますね」
「そうですね」
料理の準備をしたマリーとアリスもカトレアの健啖ぶりに喜んでいるようでなによりだ。
夕飯の後は勿論、風呂の時間だ。
「うわ~っ! ウチお風呂って初めてだよ。お風呂ってこんなに広いのねっ!」
カトレアが初めて見る風呂に興奮して風呂の中を歩き回った。俺が直前に「風呂の中は走らないように」と注意していたのだが、しっかりと聞いていたようだ。
「風呂に入る前に体を洗うのがマナーだ。初めてだし、俺がカトレアを洗って見本をみせよう」
タオルに石鹸を擦りつけ、タオルを十分に泡立たせてカトレアの体を洗っていく。
「あはっ、体が泡だらけだ。すご~い!」
カトレアの体を泡だらけにした後、俺が自分の体を洗おうとしたら、
「今日はおねぇさんが洗ってあげるわぁ」
ソニアが泡だらけになった体を俺に擦りつけてきた。そうか、今日はソニアが担当日か。
「うわ~……すごい……」
ソニアの洗体の様子を見て、カトレアが興味津々といった表情で俺達を見ていた。
「ふふふ、その内、貴女の番が来るわよぉ?」
「そ、そうなんだ……うん! ウチ頑張るよっ!」
気合十分なようだな。その日が楽しみだよ。
その後、湯船で泳ぎそうになるカトレアを阻止したりと、何かと騒がしかった入浴を終え、俺達は初夜を迎える為寝室へと向かった。
「……」
寝室に足を踏み入れたカトレアだが、入り口で止まってしまった。流石に緊張しているか。ならば、
「よっ……と」
「わわっ?」
俺は入り口で立ち止まっているカトレアを伝家の宝刀「お姫様抱っこ」で抱え上げた。
「何も怖がることはない。安心して俺に任せてくれ」
「……うん。ウチ、初めてだから……優しくしてね?」
抱えたカトレアをゆっくりとベッドに横たえる。そして彼女の唇に優しく口付けし、ゆっくりと彼女に覆い被さった……。
「えへへ……凄かったね……」
俺に体を預け、幸せそうな笑顔を浮かべるカトレア。俺はその頭を優しく撫で、
「満足出来たようでなによりだ」
「うん。でもいいのかなぁ? こんなに幸せでさ?」
やれやれ、これが最高値だと思われては困るな。
「今日よりも明日。明日よりも明後日と、どんどん幸せは増えて行くぞ? 覚悟しておく事だ」
「……じゃあ……私達も……幸せにして……」
カトレアとのピロートークを楽しんでいると、リラがその爆乳を俺に押し付けて、次は自分だとアピールしてきた。その周りには全裸で他の妻達も待機しているのが目に入った。
「そうだな。家族全員で幸せになろう」
リラを抱き寄せて情熱的な口付けをする。今日も長い夜が始まるな……。
毎回の事なので、朝起きてからの出来事はそろそろ割愛してもいいだろう。それはそれとして今日の予定なのだが、
「まずは王都でカトレアの服を作りに行く。これは最優先事項だ」
俺がそう宣言すると妻達(カトレアを除く)が大きく頷き同意の意思を示した。
「えっ? ウチの服、ダメなの?」
そう言ってカトレアが自分の服(?)を指で突いている。
「いや、駄目という事ではないが、どうせなら皆でお揃いの服を着た方が良いだろうと思ってな」
それにプラスして、町中をその「踊り子の服」で歩き回るというのもな……トラブル防止の観点からも推奨は出来ないな。
その様な訳で朝の早い時間にユニスの店を訪れた。ちなみに今カトレアは以前アリスが見ていたフード付きコートを羽織っている。中に入り店長のユニスに要件を伝えると、
「ま、また凄いスタイルの女性が……か、畏まりました。では、こちらへどうぞ」
カトレアを見てなぜか遠い目をするユニス。だが直ぐに正気を取り戻しサイズを測る為、ユニスとカトレアが店の奥へ移動する。そしてその結果はというと、
・カトレア 身長:167㎝ バスト:117㎝ ウエスト:55㎝ ヒップ:93㎝
うむ。見事なスタイルだ。踊りで鍛えられているのか筋肉も程よく付いていて、ほっそりとして見えるな。おお、そういえばユニスに伝えなければならない事があったのだった。
「制服については同じデザインで構いませんが、水着はこの新しいデザインでお願いします」
そう言ってデザインのラフ画をユニスに見せる。
「……これは……なんというか『紐』みたいですね」
胸と股間部だけ僅かに面積が広くなっている紐状の水着――スリングショットと呼ばれる水着だ。これを新たに作ってもらおうと思っている。
その水着を選んだ理由だが、普段からビキニに似た服(?)を着ているカトレアだ、水着も似た様なデザインだと少し味気ないと思ってしまったのだ。そして何より俺が喜ぶ……ゲフンゲフン。目新しい物が無いかと考えた結果だ。
先日追加で購入してあった「マーフォークの皮」をユニスに渡し、制服と水着の製作を依頼して店を出る事にした。
「これからの予定だが、一度北の国に行ってみようと思うのだが、皆の意見を聞きたい」
これまでの情報を精査した結果だが、恐らく次の騒動が起こるであろう場所。詳しい情報を得る為に北の国へ直接向かおうというわけだな。
「宜しいと思いますわ。それにあの話が本当なら、北の国の方々が大変な目に遭ってしまいますものね」
いの一番にプリムラが賛成の声を上げた。他の妻達も少し遅れて賛成の意を示した。
「よし、これから我々は北の国「サンテキア」に向かう。今から移動すれば正午前に国境付近まで行ける筈だ」
王都で必要な物を買い足して、俺達はサンテキアへ向けて出発した。




