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杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜  作者: メロのん
第1章 安住の地を求めて
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第84話 嫌悪

「キュイ?」


「うん、これは食べてもいいよ。」


 昨日はテンの食い意地のせいで大変な目にあったというのに今日も移動ついでにつまみ食いするのはやめないようだ。とはいえ食べても大丈夫な物かいちいち僕に確認しに来るのはテンなりに学んだ証拠か。


 本当にその小さい体のどこにそんなに入るのだろうか。体が大きくなる訳でも、体重が増える訳でも無く、なんという消費の良い体なんだ。


 いや?逆に言うと燃費が悪いとも言えるか?


「キュイー!」


 まあでも幸せそうに頬張るテンの姿をみていると、食べられるだけ食べると良いと思ってしまう。昨日みたいな事態を防ぐためにも、本当はつまみ食いは止めた方が良いのだろうが許してしまうあたり僕も親バカなのだろうな。


 ☆


「キュ!  キュキュ」


 いつものように順調に進んでいると思ったら、僕のお腹の中で眠っていたテンが急に起きて鳴き出した。


「ゾン、ルア」


「「うん。」」


 僕たちには何の変化も感じないが間違いなくテンには何かを感じ取っている。こういう何か雰囲気を感じ取るのはテンが1番優れており、そのテンが神経を研ぎ澄ませて周りを窺う。


 テンの張り詰める様子からしてあまり良さそうな物では無いな。ゾンとルアを僕のすぐ後ろに置いて、いつでも逃げられるように準備をしておく。


「テン、生き物か?」


「キュウ……キュキュ」


 分からない、か。明らかに何かを感じ取っているのにそれが何なのかまでは掴めないとはな。


 生き物だとして、テンに何かを感じさせるのに生き物かどうか判別させないとなると相当厄介だな。


 生き物じゃないとしても、この一見平和な領域に突如何かを感じる場所など少なくともいい場所ではないだろう。


 見て見ぬふりをするという選択肢もあるがさすがにそんな事出来るわけがない。


 ここは僕たちが住まわせて貰っている森の一部であり、もしこの選択肢によって多くの生物の命が奪われたり、森を汚されたりする事は許容できない。


 僕たちなら何か異変が起こっていても解決できるという慢心で、実際は僕たちの手に負える物ではないかもしれない。だがそれでも何も知らないことには手の立て用もないのだ。結局は行動しないことには何も起こらないのだから。


「テン、方角は分かったかい?」


「キュイ!」


 あちらか。いったい何が潜んでいるのやら。

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