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杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜  作者: メロのん
第1章 安住の地を求めて
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第79話 別れの挨拶

「キュイキュイ! キュイ!  キュキュイ!」


「ごめんてテン。」


 ゾンとルアに森の外へ行くと決めてから、ヒトの国へと魔物であるテンを連れていくのは要らぬトラブルを生むと思い拠点で待っていてくれないかと言った途端に怒り始めてしまった。


 いつもなら撫でようと手を伸ばすと自分から頭を擦り付けてくるのに、今はソッポを向いて別のところへ行ってしまう。ゾンとルアを常に気に掛けたり、周りの生き物に配慮していたため大人になったと思っていたんだが。まだまだ子供な部分もあったということか。


 テンが生まれてから僕たちが離れた時は片時もない。僕だってテンと離れるのは考えたくもなかったし心苦しい。テンにとってもそれはおなじなのだろう。


 とはいえやはりヒトの国に魔物を連れていくのはなあ。僕の住んでいた国では魔物は恐怖の対象とされていた。この森がすぐ近くにあるというのがより恐怖を増しているのだろうが、じゃあ他の国では大丈夫と考えるのは甘い考えだろう。


「テン、機嫌を直してくれないか?僕だってテンと離れたくはないよ。でも何もいい考えがないんだ。もしテンが見つかったら問題になってしまうんだ。」


「キュ?  キュー キュキュイ!」


「ちょ、ちょっと、くすぐったいってテン!」


「キュ?」


 急にテンが僕の服の中に入り込んできて、胸の隙間から顔を出して、「これならいいでしょ?」という感じで見てきた。


「た、確かにこれならいいのか…?周りにヒトがいる時は顔を出さずに大人しく出来るか?」


「キュイ!」


「なんだかこれでいいのかという不安も残るが、まあてんと離れるよりは幾分よりもマシか。」


「キュキュイ!」


 ☆


「雪フクロウも羊もしばらく会えないけど寂しくしないでね。」


「森の中を移動する時は基本野宿するって言ってたけど、1週間に1回位は帰ってこれるらしいからそれまで我慢してね。」


「「ホー!」」


「メー!」


「今日はいっぱい撫でてあげるからねー!」


「1週間会えない分今日は一緒に過ごそうね。」

 

 ゾンとルアにとって親は誰かと問われれば、真っ先にウカノの名前が挙がる。だがその次には雪フクロウと羊も名前を挙げる位には面倒を見てもらい、愛情を注がれてきた。


 言葉も種族も違うがそこにはたしかに強固な繋がりがあるのだ。雪フクロウにしたって羊にしたって離れるのは辛い部分がある。


 だがテンと違って雪フクロウたちには孤独に生きてきた経験がある。2人のためには必要な事だと、それにこれが今生の別れというわけでも無いのだと理解している。


 だからこそ今という時間を惜しみなく過ごす。次に会った時の2人の成長を楽しみにしながら。

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