第67話 森の死神
巨人族全員が驚き固まってしまったな。とはいえ驚くなという方が無理だろうな。僕でさえこの森に来てから驚いてばかりだった。そして驚くことにある程度耐性がついた自分でさえ初めて見た時はしばらく声が出なかったのだ。巨人族たちはこの森にずっと住んでいたのにまさかこんな場所があるとは思わなかっただろうから驚きも僕よりもかなりのものだろう。
僕よりもはるかに大きな巨人たちがさらに上を見上げ固まっている様はなんだか面白いな。
「あー!巨人族の人たちだー!」
「あ、久しぶり!」
「っ失礼しました。お久しぶりですお2人方。お見苦しい所をお見せしまし……っ!?」
「「「「うわあああああ!」」」」
「「「「な、なんでこんな所に死神が!?」」」」
ありゃ?ゾンとルアが大蜘蛛に乗って現れたら巨人族たちが恐慌状態になってしまった。まあ確かに初めて大蜘蛛を見たら怖がっても仕方ないよな…ってん?なんか死神とか不穏な単語が聞こえてきたぞ。
「死神ってなに?大蜘蛛ちゃんのこと?大蜘蛛ちゃんそんな名前が付いてたの?」
「シャ?」
大蜘蛛の上にのり撫でながらそうなの?というように大蜘蛛に問うルア。だが大蜘蛛もなんのこっちゃ?と言わんばかりに首を傾げている。その姿は愛嬌すら感じさせ、死神なんて異名は不釣りあいだ。
そして巨人族の1番の戦士だというタスクが恐る恐る前へと出てくる。
「そ、その、、、ルア様がいう大蜘蛛様は恐ろしい存在ではないのですか?」
「大蜘蛛ちゃんは怖くないよ?ウカノがいない時は一緒に遊んでくれるし。」
「ルアの言う通り大蜘蛛は僕らの仲間だから心配する必要はない。」
「そうでしたか、それなら良かったです。」
「シャ!」
「それと死神って単語が聞こえたんだがどういう事だ?」
「そのう、我らの一族に伝わるこの森の死の象徴とされている魔物です。大きな蜘蛛の魔物を見たら逃げろ、絶対に相手しようと思ってはいけない、と伝わっています。かつて我らをの祖先を傭兵として勧誘した国が、森の資源を狙ってこの森に立ち入ったそうですが甚大な被害を被ったそうです。そしてその時に国の騎士たちに被害を与えたのが大蜘蛛様。それから見た者を死へと迎え入れるため森の死神と言われるようになったとか。」
「へー、それならまあ納得だな。」
「納得…ですか?」
「ああ。大蜘蛛、というよりこの森に住む生き物は全て殺意や意志に敏感だからな。そしてこの森の生き物を殺そうという意志やこの森の資源を奪おうという強欲な意志を持つ者たちがどうなるかは想像に難くない。実際に僕たちの国もこの森にに探索して全て失敗に終わっている。今となってはそれがどうして失敗に終わったか分かるよ。」
「なるほど。それを聞くと死神というより森を守る守護者に思えてきますね。」
「確かに言い得て妙だな。」
そうか、大蜘蛛は誰にも知られず、誰にも褒められる事もないのに孤独にこの森を守ってきたんだな。今も働いてくれているがもう少しお前の子供たちも大きくなるからな。そうしたら思う存分休んでくれな。




