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杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜  作者: メロのん
第1章 安住の地を求めて
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第58話 飛べない鳥は…

 ヨタドリがこの拠点に来てからどこに住むのかが問題となった。僕らが住んでる家に入ったら当たり前のように全員入ろうとしてきて羊が驚く様子には思わず笑ってしまった。ただ広めに作ってるといえどヨタドリ30頭は入らない。


 家は改良しやすいようにシンプルに作っているから広げるだけなら簡単にできる。ただヨタドリがどんな環境が適しているのか分からないためにただ広げるだけでいいのか迷っている。例えば暖かくなければいけないかなど。一応体は羽毛のような物に包まれているから寒さには強そうではあるが暑さはどうだろうか。


 色々と考えていると雪フクロウとヨタドリたちが邂逅した。


「ホー?」


「クァ?」


「ホホホ」


「ククァ!」


「ホホーホホ」


「クアクア」


 会話?らしきものをすると同時に雪フクロウがヨタドリの周りを飛び始めた。ヨタドリたちは雪フクロウの飛ぶ姿に興奮し、自分たちも飛ぼうとしてるのかヒレのような腕をバタバタと羽ばたかせるが飛べる気配は無い。ヨタドリたちは落ち込んでしまうが雪フクロウが励ましている。


「クァクァァ」


 ただ気を取り直したのか1声鳴いて大樹の周りの川にヨタヨタと走りに行く。なんだ?と思ったらそのまま水に飛び込んでしまった。おいおい、落ち込みすぎて自暴自棄になったのか…?と思ったら次々と浮き上がってきた。


「クァ!」


 まるで見ててね!とこちらに向かって1声鳴いてからなんと華麗に川を泳ぎ始めた。


「「ホー!」」


「すごーい!泳ぐの上手いー!」


「魔物が泳いでる姿初めて見た。」


「ああ…僕も初めてだ。まさか泳げる魔物がいるとは思いもしなかった。」


 ただ泳げるとしたら納得いく部分も多い。歩き、そして走りの速度はかなり遅く獲物を捕まえたり逃げたり難しいだろう。また胴から頭にいくにつれて細くなるあのフォルムは泳ぐために水中での抵抗が少なくなるようになっているのだろう。水中でのあの速度は僕が地上で走るよりも速い。大抵の魔物は水中では行動出来ないだろうし、水中で行動出来る魔物でもあの速度を捉えるのは困難なのではないだろうか。


 出会ってからアホらしい姿しか見てなかったが実は凄い魔物なのかもしれない。認識を改めなければな。そう思っていると1頭仰向けで川の流れに沿って流されていくヨタドリの姿が目に映る…やっぱりアホかもしれない。


 ヨタドリの家については川の近くにとりあえず簡単な建物を作って、そこと僕たちの家を渡り廊下のようなもので繋げるようにすればいいか。


 ☆


 ルアにも手伝ってもらい、簡易なものだがなんとか日が暮れ始めた頃に完成出来た。


「とりあえずお前らの棲み家を作ったんだがどうだ?」


「「「クァァァァァァァ!」」」


 完成した家を見せたらヒレをパタパタさせながら喜んでくれて一安心だ。これからヨタドリと暮らす事になるが惑わされないようにしないとな。

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