第54話 日常
「キュウ」
ん、ここは…いつもの家だな。そうだ、昨日は巨人族と夜遅くまで宴をして遅くに帰って来たんだった。ちょっと寝過ぎたな。外にいる気配でようやく起きた。
「おはようテン。」
「キュ!」
テンもちょうど今、気配に気づいて起きたのだろう。その眼はまだ開き切っていないが、僕の声に嬉しそうに声を鳴らし体を擦り付けてくる。
「やっぱり大蜘蛛か。」
「キュイ!」
「シャ!」
気配から感じていたが外にいたのはやはり大蜘蛛だった。
「どうかしたか?」
「シャーシャ シャシャ」
「ああ、昨日はずっと留守にしてたから心配してくれたか?」
「シャ」
「でも大丈夫だよ。巨人族…簡単に言うと僕をそのまま巨大にしたような種族が魔物に襲われて困っていてね、その魔物の討伐をしていて帰るのが遅くなったんだ。」
「シャー」
「大蜘蛛は最近どうだ?おまえが負けるような相手はまず居ないだろうが、生態系がおかしいとかはないか?」
「シャア…シャシャシャ シャアーシャシャ」
「うーん、大樹の裏側の方面に見たことない魔物が居るって所か?」
「シャ!」
どうやら正解らしい。この場所に拠点を決めてから、周りの警戒は大蜘蛛任せになっているのでよく大蜘蛛に周囲に異変が無いか聞いていた。そのためある程度は大蜘蛛とコミュニケーションがとれるようになって来た。
それにしても見たことない魔物か。この辺の探索は継続して行なっているのだが、大樹の裏側の方面はまだ探索出来ていないんだよな。大樹の周りが川とも呼べるほど大きな水の溝で囲まれており、それが大樹の裏側へと繋がっているのだ。そっち方面に何があるのか気になりつつもまだ手が及んでない状況だった。
「うーん、その魔物は特に敵となるような奴じゃないのか?」
「シャア」
「そうか、それならまあ放置でいいんじゃないか?そいつをどうするかはおまえの判断に任せるよ。」
「シャ!」
大蜘蛛に任せておけば問題は無いだろうが大蜘蛛が見た事ない魔物は気になる。僕たちも大樹の裏側方面を探索してみてもいいかもしれない。
「テンはどうだ?今まで探索した方面ではないが行ってみるか?」
「キュイ!」
ふふっ、テンは僕と一緒ならどこでも良さそうだ。




