第46話 大蛇の導き
「シュー シューシュシュ」
太陽が真上に位置し始めた頃、拠点でゆっくりとした僕たちの前にいつもと違う様子の大蛇が現れた。今日はどこか僕たちに何か語りかけている感じだ。テン、大蜘蛛、雪フクロウ、羊の言いたい事はほとんど分かるようになったのだが、それはあくまでその子達との関係性があっての事で魔物との会話を可能にしたというものでは無い。
「うーんどうしたのかなー?」
「撫でて欲しい訳じゃないね。」
「キュ?キュキュイ キューキュ。」
「シュー シューシュシュシュー」
テンが大蛇と会話(?)を始めたようだ。テンは大蛇の言葉が分かるのだろうか?でもなんとなく分かってそうな感じだな。魔物同士は意思の疎通がしやすいとかあるのかな。でも大蛇とテンなんて容姿も明らかに違うし、体の作りも違うしそれでも通ずるものがあるのかな?
「キュイー! キュキュ!」
「ん?付いてこいって?」
「キュイ!」
なるほど。どうやら大蛇は僕たちに付いてきて欲しいらしい。こんなこと今までに無かったのでどうしたのか分からないが行けば分かるだろう。
「「んしょ んしょ」」
「シュ!」
ゾンとルアも大蛇に乗り込みいつもの定位置へと座る。特に準備するものがある訳でもないのでさっそく大蛇の後ろを付いて行くとする。付いていくのは僕とテン、大蛇の背中にゾンとルア、そして大蛇の頭に乗っている雪フクロウ2匹だ。
この拠点からどこかへ行くには霧の領域を越える必要がある。ここは視界が悪いだけでなく方向感覚も狂わされるのだが大蛇には関係ないのかスルスルと進んでいく。恐らくゾンとルアが背中に乗ってるというのと僕たちが後ろを付いていってるためこれが全速という訳ではないだろう。もし大蛇が全速だったら付いていけなかっただろうな。
やがて霧の領域を抜け視界が広がる。霧の領域を抜けた後も大蛇は軽快に進んでいく。生き物の姿も見かけるが、みな大蛇を見かけると道を譲るかのように道を開ける。その生き物の中には普段好戦的な魔物も含まれていた。そんな魔物までもが大蛇に道を譲るのは、きっと大蛇に対する畏れを抱いているのだろうと感じる。
「なんか変な匂いがするー。」
「これは……血の臭い?」
「ああ、これは血の臭いだね。」
どこからか血の臭いが漂って来た。だが大蛇は特に気にした様子はなくそのまま進んでいく。進んでいくにつれて血の臭いもより一段と濃くなっていく。
「シュー」
そして目的地へと着いたのだろう、大蛇が止まる。遠目にも確認出来ていたが見間違いかと思っていた。それはここにはある訳がないと思っていたから。だがこの距離では見間違うはずもない。そこには確かに家らしきものがあった。それも、僕らが住むものより何回りも大きいものが。




