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杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜  作者: メロのん
第1章 安住の地を求めて
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第38話 ここに来た理由

 ははっ……ははははっ……


「キュー……」


 言葉が出てこない……ここは本当に同じ世界なのだろうか


 霧が晴れた先に広がっている景色はまさに非現実的な光景だった。色とりどりの花、円状の溝にはどこまでも透き通った水、その中心には天を突き破る大樹。高すぎてその頂上を見ることができない。


 そしてその大樹で最も目を惹くのは、その大樹に集う光だ。周りから光が根に集まり、幹を通って大樹の中を登っていく。そして太い枝に果実を実らせるかのように光が灯る。大きさ、色、様々なその光が灯る大樹はなんとも幻想的な雰囲気を醸し出している。


 そう、この光は普段僕が見ている命の光。そして、僕がこの森に来た、森の奥へと進んだ理由だ。母様が亡くなったあの時、母様の体から命の光が抜け、この森の方向へと飛んでいった。


 この森の奥には何があるのか。その答えを求めて進んできた。そして今それを知った。どこか異なる世界に迷い込んだかと錯覚するような現実離れした風景が目の前に広がっている。


 どうしてどこまでいっても濃かった霧がいきなり晴れたのか、ここに咲いている植物は、そしてこの大樹はなんなのか。不思議なものしかないのに今はこの景色を見つめる事しかできない。


 どれぐらい見つめていただろうか。やがて意識を取り戻して大樹の根元へと近づく。川幅が10メートル以上あるので普通に超えるとなると難しいが僕には空間魔法で転移出来る。


 大樹の根元へと来て母様から譲り受けたペンダントを握りしめる。母様が亡くなってから6年間、1日たりとも母様のことを忘れたことは無かった。いったい何を思いながら最後を迎えたのか、生涯に悔いは無かったのか、何度も考えた。それでも答えが見つかることはなかった。


 でも、ここに来て、この大樹の枝に成る命の光を見て分かった。後悔など何もなかったのだと。ここに成っている命の光はどれも鮮やかに輝いている。ただ、母様の最後に見た命の光は、これらのどれよりも力強く輝きを放っていた。


 それなのに後悔があるわけないだろう。だから僕も胸を張って生き抜いたと言えるようにこれからを生きねばならない。だから母様、見ていて下さい。今の僕には頼りになる相棒や家族が出来たのです。

これにて第1章 安住の他を求めて 完結です。

少しの緩和を挟んでから第2章へと入らせていただきます。

今後も毎日更新していく予定ですので是非お楽しみ下さい。

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