第37話 その先にあるものは…
不可視の存在がこちらはに敵意が無いことが分かったため、ようやく奥に進むことが出来る……出来るのだが、不可視の存在がずっと付いてきているためどうしても気が散る。本当になんなんだこいつらは。
とりあえずいないものとして進んでいくことにする。ここら辺の魔力は目に視える程濃いので、この辺の魔物はかなりの力を宿しているだろうと警戒してるのだが、どうも今まで出会ってきた魔物とは様子が違う。
ここら辺の魔物は双頭の大蛇、羽の生えた馬、幾つもの生物の特徴を持ち合わせた魔物など、見た目から異様な魔物ばかりだ。だが異様なのは見た目だけではなかった。相手からこちらに近づいてきてこちらの姿をしばらく観察するや、また来た方向に戻っていった。それはまるで、僕が初見の魔物を観察する時と同じような目だった。僕があいつらに敵意を持っているかを見極めに来たのだろうか。少なくとも今までそんな行動をしてきた魔物はいなかった。一体何が違うのだろうか。
それからも同じように色んな魔物から観察されながらも奥へと進んでいく。しかし途中からなぜか霧が濃くなっており進むのにも時間がかかってしまった。霧の中では視界が悪くなるのはもちろん、方向感覚も狂わされるため始めの数日は拠点で霧が晴れるのを待機していた。
それでも一向に霧が晴れる気配は無かったため仕方なくそのまま進まざるを得なかった。テンが方向感覚が鋭かったので良かったが、テンがいなければ間違いなく方向を見失っていただろう。不可視の存在たちも僕たちのことを見失ってくれてもよかったんだがしっかりと付いてくる。それどころか最初に気配を感じた場所ではなく、進んだところにワープしているのに毎回僕たちを待ち構えている。もしかして僕たちが拠点に帰ってから戻ってくるまでずっと待っていたのか?そう思うとなんだか可愛いな。いまだに姿は見えないけど。
いったいどれだけこの霧の領域を進んだのだろうかという所、ふと足を止めてしまった。それはほぼ無意識的だった。だが、一歩ずつ歩みを進めていくことでその理由が分かった。きっとこの先にある存在感に気圧されたのだと。
今までには感じたことの無い圧。恐怖からくる圧ではない。なんとも形容しがたいが、言葉にするならそれはきっと『神聖さ』なのかもしれない。進もうという意思はあるのに体は進むのを拒んでいる。僕がこの先に進んでいいのだろうか、きっとそこは僕が住む世界ではない。なぜだかそう思わされる。
「キュ! キュイキュイ!」
そうだな、僕たちは進みに来たんだよな。いったいこの先には何があるのか。その答えを今……




