第32話 大変な、されど幸せな日常
「「おぎゃー!」」
「さあさあおしめかなー?」
☆
「「おぎゃー!」」
「次はご飯かなー?」
☆
「「おぎゃー!」」
「んー?次はなにかなー?」
「「おぎゃー!」」
「あれれ、なにが気に入らないのかなー?」
「「おぎゃー!」」
「お!抱っこの仕方が気に入らなかったのか!」
☆
子育てに夢中な日々を過ごす間に、どうやら雪解けの季節になったようだ。森の生物が活動しはじめた気配がそこかしこからする。
冬には白一色に染まっていた森が、春になると緑一色になるこの景色の移りようは荘厳のひと言だ。
「キュイキュイー!」
テンも新しい力を試したいのと今まで眠り続けていたためか、早く動き回りたそうだ。
食料を狩りに行くにも双子がいるため注意が必要だが、空間魔法を扱えるようになったため、細かに双子の様子を見に戻ることでなんとかなるだろう。それどころか移動も獲物の運搬も簡単に行えるため今まで以上に楽になりそうだ。
「「おぎゃー! おぎゃー!」」
「おやおや、今回はどうしたのかな?」
先ほど寝ついたばかりというのに泣き出してしまった。最近はゾンとルアが泣き出した原因、そしてそのあやし方をマスターしてきたと思っていたが、それが今回は通用しないとは。やはり子育てとは一筋縄ではいかないようだ。
何が原因かと2人を観察していると、普段は見えない魔力溜まりみたいなものがお腹付近に見えた。
なるほど、こいつが原因か。ゾンとルアを虐める悪い奴は僕が退治してやる!
☆
コネコネ……
コネコネ……コネコネ
「ここかなー? 気持ちいいかー?」
「「あぅー…… あー……」」
おお、2人とも僕のマッサージにうっとりした表情で気持ち良さそうだ。赤子はまだ魔法を発動できないし、自分で動くことも難しいからこういう風にマッサージをしてあげないといけなかったのか。また1つあやし方を覚えてしまったな。これからは毎日やってあげるからね。ふっふっふ、僕の前で泣き続けられる赤子などいないのだよ。
「キュイー……」
「ん、どうした?テンもやって欲しいのか?」
「キュイ!」
「ほーれ、ここか?それともここか?」
「キュキュキュキュキュキュ!」
ゾンとルアの子育てはやはり大変だけど、それでもどうすれば泣き止むのか、どうすれば喜んでくれるのか色々試すのは楽しい。それに天使のような笑顔は、見る者全てを虜にするだろうというほど可愛くて幸せだ。少しの苦労も疲労も、この笑顔を見たら吹っ飛んでしまう。2人には今後も笑ってくれる時間が多くなるように育てたいな。




