第23話 冬支度
肌寒くなってきた。まだ夏が過ぎてからそんなに経っていないのにここまで寒くなるとは。冬は氷点下になってもおかしくないな。それと来る時は荷物を極力減らしてきた。そのため冬用の服がない。
なんとか錬金術の応用でどうにか出来ないか、そう試行錯誤しながら魔物の皮や住み着いた羊の抜けた毛をいじくり回していたが結果は芳しくない。
「シャ シャシャア!」
なんとか冬までにはそれらしい物を、と思っていたら大蜘蛛が隣に来て声をかけられた。なんだ?と思ったら僕がそれまでいじくり回していた素材をいじくり回し始めた。
なんとあっという間に素材を継ぎはじめ僕用の服が完成してしまった。
「ありがとう。まさかお前がこんな事をできるとは驚いたよ。」
「シャシャ!」
こうして服問題は片付いた。
食料に関してもちょっとずつ貯め始めている。冬にどれほど魔物が活動しているか分からないから出来る限り集めておきたい。
初めてみる。これが雪か。息を吐くたびに白く染まり、足を踏み出すと「シャリッ」子気味いい音が響く。
「キュキュ! キュキュキュキュ!」
テンも初めての雪だからな。楽しくなって走り回っている。テンが走り回った可愛らしい痕跡がそこかしこに付いている。
足跡が小さいな。いや、普段は勇敢に魔物を狩っているが体も小さいんだ。最初は真略を持っておらず戦う術など無いと思っていた。思えばそれでも最初から僕を助けるために危険を冒したり、敵の注意を惹きつけてくれたり自分にできる事をやってくれていた。
「僕がこの子を守らないとこの子は生きていけないんだ」そう思っていたが最初から強い子だった。今では守る立場から守られる立場に変化してしまった。それくらいテンは強くなった。
でもこうしてテンの小さな足跡を見てみると、何かの掛け違いで死んでしまうような脆さを感じる。僕にテンほどの戦闘能力は無い。それでもテンをサポートしたり、相手を観察して少しでも掛け違いを減らす事は出来る。
僕はきっと思い違いをしていた。いや、今だってしている。テンは最初から守られる存在ではなかった。そして今、僕は守られる存在だと感じていたがそれも違う。僕らは最初から隣り合って共に生きていく存在なのだ。
「キュ?」
「いやなに、少し考え事をしていたのさ。テンと僕は最高の最高のパートナーなんだってな。」
「キュキュー! キュキュキュキュ!」




