第21話 拠点整備と大蜘蛛の力
今日は洞窟の拡張をする事にする。前回の拠点はそこまで長居する気は無かったから整備は何もせずそのまま利用した。今回はしばらくこの場所に腰を落ち着けようと思っているためしっかり整備する。
土魔法で中をくり抜いていく。前の拠点の時は食料はこまめに採りに行っており、保管は少ししかしていなかった。今回は冬を越す事も考えて保管場所も広く作っておく。更にテンが中で動き回れるように高さも幅も十分な広さにしておく。
「テンこんなものでいいかい?何か要望ぎあれば言っていいよ?」
「キュイイイ!」
テンが拠点を駆け回る。どうやらお気に召したようだ。
とりあえずはこんなものか。と気分転換に外に出る。そこで魔法が発動される時のような魔力の動きを感じるがどこか魔法と違う違和感を感じる。
周囲を探ると樹の上を大蜘蛛が渡りながら何かをしている。魔力の正体もそこからなようだ。
「シャア?」
「いやなに、一体何をしているかと思ってな。」
「シャ」
そう大蜘蛛が1言鳴くと樹の上、枝が伸び始める所から地面と水平に蜘蛛の糸が姿を現した。
「おお!それがお前の魔法なのか。」
大蜘蛛が糸を見えるようにするまで全くそこに糸がある事に気づかなかった。おそらく糸に魔力を付随させて更なる効果をもたらせているのだろうが、周囲の魔力に完全に溶け込んでおり魔力の感知ですら気づけない。
凄いなと驚くと同時に、そういえばこいつも魔物だったなと思い当たる。今まで蜘蛛を出さなかったのは、もしかしたらお腹に子供がいたため糸の生成が出来なかったのかもしれない。出会った時は弱っていたし、正に出産は命懸けなのだな。
大蜘蛛は張り切っており魔物を3頭狩ってきてくれた。2頭は拠点内に保管して1頭を解体し食事の準備にかかる。
「シャシャ」
今日もみんなで食事を取った後、大蜘蛛からまとまった糸をプレゼントされた。広げてみると直径10センチメートルの糸が布のようにくっ付いている。
「ああ寝床ようにか。まさか僕の寝床を考えてくれてるとは。ありがとうな」
「シャア!」
それにしても粘性は無く、しなやかで手で押すと糸が沈む。手触りがよくなんとも上品だ。まさか森に来てから実家の布団よりも質の良いもので寝れるとは。
「テンも糸の上で寝たらどうだ?」
「キュキュ!」
テンはこんな質のいい糸の上より僕のお腹の上がお好みのようだ。なんだか嬉しくなって口元が緩みながらテンを撫でる。そうして襲ってくる睡魔に抗うことなくやがて眠りへと落ちる。




