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杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜  作者: メロのん
第1章 安住の地を求めて
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第18話 未知の魔法

 森の生態系を壊さぬようここ2週間ほどは拠点から離れた場所で狩りや採集を行っている。


 今日も果物を採集しようと木の上に成る赤い果実に手を伸ばしたとき、本当に偶然視界の先にある存在に気づく。1つ先の木の上に居るソレは気配などほとんどなく、果実を採ろうとしなければ気づかなかっただろう。


 ソレは全長が20センチほどで、背中側は茶色くお腹側は白い体毛に覆われている。目はつぶらで前脚よりも後ろ脚の方が長く、前脚で器用に果実を押さえつつ食べている。食べる度に頬が膨らんでいるようだ。何より目を引くのは体と同じほどの長さを持つ尻尾だろう。自分の背中に密着するように伸びている。


 あの体の小ささから予測は出来たがやはり魔力を感じる。とはいえかすかにしか感じないため、他の生物に狙われた時は戦う為の魔法は扱えなさそうだがどんな魔法を扱うのだろうか。


 そのまま観察し続け果実を半分ほど食べ終えた時、不意に魔法の気配を感じたと同時に食べかけの果実が消えてしまった。


 なっ!?なにが起こった?


 「ピピ!」


 まずった。驚きすぎて一瞬気配が漏れてしまって気づかれた。


 そして最初にその魔物から感じた魔力からは考えられないほどの魔力を感じ、次の瞬間その魔物が消えていた。身体強化で目にも見えぬ速さで消えたのではない。明らかにそこにあった気配が一瞬で消えてしまった。


 「キュキュ!?」


 は…?夢でも見ていたのか?いや魔力の痕跡は残っているからそこに先ほどの魔物が居たのは間違いない。


 物を消失させる魔法なんて聞いたこともない。ましてや自分すら消失させるなんて。



 それからは常にあの魔物の事が頭から離れない。初めて見る魔法に心を躍らせている自分がいる事に驚く。今までは既存の定型化された魔法を覚えるだけだった。まさか魔物から新たな魔法の存在を知るとはな。


 ささいな気配を見逃さぬように周囲を探索するのだが、存在感がかなり薄い為全く見つからない。


 見つかったとしても、とても臆病なようで草木が揺れる音やちょっとした物音ですぐにあの魔法で逃げてしまう。


 それでも粘り強く探し観察し続けた結果今回新たな魔法を見る事ができた。


 自分の目の前に食べかけの果実を出現させたのだ。何度も観察する上で、物や自分をテレポートさせる系の魔法なのかと思ったがそんなに単純なものでもないのかもしれない。いや、テレポートする魔法なんてそれだけで大層すごいのだが。


 この魔法が扱えたら、今まで困っていた獲物の運搬方法が解決すると心を躍らせる。


 それからはなんとか自分でも使えるようにならないかと試行錯誤してそれでもなかなか進展が得られない。ヒントを得るためにあの魔物を探し観察して、また試行錯誤する日々を繰り返す。


 僕が試行錯誤している間、テンもあの火の玉をより自在に操る為の訓練をして、狩りでその成果を試している。


 最近ではほとんどテンだけで獲物を狩れるため、僕はもっぱら解体役だ。テンは日頃の訓練の成果を試せてずっとテンションが高い。


 僕の方はなかなか進展が得られていないのだけど、それでも試行錯誤する日々は楽しい。もしかしたらこういうのが僕は好きなのかもしれない。


 もしこの魔法が完成したら。もっと僕の知らない魔法を扱う魔物がこの森にはいる。そう思うと胸の高鳴りがどんどん激しさを増すように感じた。

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