第109話 選別
「その心優しい魔物とは?」
「雪フクロウだよー!」
「「雪フクロウ…?」」
「便宜上僕たちがそう呼んでいるだけだ。真っ白な毛並みのフクロウで、冬に出逢ったことも相まってそう呼んでいる。」
「雪があるとどこにいるか分からなくなるほど真っ白なの!」
「あらあらそうなのね、ふふ。」
「真っ白なフクロウ……」
「どうしたのかしらホーン?」
「確か、2人を森へと連れて行っている時に2匹のフクロウの魔物に遭遇したと報告があったはずだ。だがその時は襲われはしなかったものの威嚇されて追い返されたと。そうか…やはり我々はこの森に住むことを歓迎されていないのか……」
「1人で勝手に納得してるところ悪いが違うと思うぞ。」
「なに?」
「さっきからあんたらの言い方的に魔物を恐れてるんだろ?魔物は相手の感情を敏感に読み取るからな。恐れや敵意を持った相手には容赦しないぞ。あくまで僕たちは魔物と対等な関係だ。生きる為に必要な事以外で危害は加えないからな、向こうも必要以上に相手を襲う事はしない。」
「そう…なのか……」
「あんたは恐ろしくないのか?俺は魔物を一目見ただけで格の違いを感じた…向こうの気まぐれで簡単に俺の命は吹き飛ぶんだと見た瞬間に分かった。そんな存在相手に恐怖心無く関われるのか?」
「最初はどうだったろうな?確かに恐怖心はあったかもしれないが生きるのに必死だったからな。それに僕は1人じゃなく、頼れる相棒がいたからな。」
「キュイー!」
「キュ キュル?」
「な、魔物!」
頼れる相棒というウカノの言葉に嬉しくなって反射的にテンが顔を出し、樹鼠も大丈夫?といった様子で顔を出す。
「王と姫よお下がりを。」
「怖がらなくて大丈夫だよー!」
「白いもふもふがテン、小さい子が樹鼠。どっちも大人しくて可愛いよ。」
「あら、確かに可愛いわね。」
「姫よ、注意を。」
「大丈夫よ、この子たちは今までもずっと大人しくしてたでしょう?」
「キュイー」
「ちょ、ちょっと!?」
自分へと近づいてきたテンを優しい手つきで撫でるエリン。それにテンも気持ちよさそうな表情だ。
「ほら、大丈夫でしょ?」
「た、確かに…」
本来は王と姫を守る立場のマーシャも可愛いものが好きな為隙あらば自分もどうにか撫でられないだろうかと思案する。
「可愛いもんだろ?魔物だって人間と同じで愛情を知っているし欲しがるんだ。」
「こんな見た目でも秘めている力はやはり相当なものなのか?」
「うん!テンはねーすごい強いのー!」
「やはりそうなのか。」
(この場で会った当初から不思議な男ではあった。エルフ族2人の子供を連れているヒト族の男。王と姫に対する不敬な態度は許せるものではなかったが、王が何も言わないので黙っていたが不遜な態度だった。だが話を聞くと見知らぬ異種族の子供を助ける心優しき青年なのだと人物像が固まってきた。そこにきて、魔物を恐れるどころか魔物を連れていると。もう俺には目の前の男がいったいなんなのか分からなくなってしまった。)




