第108話 救いのミルク?
「ウカノ様、あいつの乳とはいったい…?」
今まで探し続け、それでも見つからなかった忌み子を救う手がかり。もしかしたら今その手がかりが見つかるかもとエリンの鼓動が高鳴る。これで2度と私たちと同じような悲しみを味わう者たちがいなくなるのではと。
「いやー、家で飼ってる…というか棲みついてる羊がいるんだがそいつの乳をゾンとルアが乳児の時に与えていたんだ。正直普通の子育てと何が違うって言われたらそれくらいしか思い当たらないな。」
「羊の乳……」
(確かに羊の乳を飲ませるなど聞いたことが無いけれど本当にそれだけで?)
「ちなみにその羊はどういった種類の羊なのですか?」
「種類…?そういえば僕はそいつしか羊を知らないな。分かることといえば魔物という事くらいか。」
「「「「魔物!?」」」」
「あ、ああ魔物だがそんなに驚くことでもないだろ?あんたらもこの森に住んでるんだから。」
「いや、我らが住んでいるのは魔物が出ない森の浅層だけだ。それと正確には住まわせていただいているだけで、何かこの森の逆鱗に触れるようなら我々はいつでも追い出される。」
(なるほどな、これがエルフ族。森に生きる種族と言われるだけある。)
「先ほどウカノ様がおっしゃった『あんたらもこの森に住んでる』というのはどういう意味なのでしょうか?ウカノ様は南の国から来たとおっしゃっていましたが。いや、そもそもどういう風に2人と出逢ったのですか?」
「どうするのウカノ?」
「まあ隠しても仕方ないか。本来はヒトの国へ行くための理由づけだったしな。そちらが察しているように僕らもこの森に住んでいる。僕らはこの森の奥深くに住んでるな。今日もそこから来た。」
「は…?まさか森の奥深くとは魔物が棲まう場所か?」
「そうだよー!」
「そ、そんな危険な場所に住んでて大丈夫なの?」
「大丈夫だよー!危険な魔物もいるけど心優しい魔物も多いのー!」
(魔物が心優しいだと?俺がまだ王と姫の護衛に就く前、魔物の姿を一目見たことがあったがあれは恐ろしいなんて言葉で片付けられるほど生ぬるい存在じゃなかった。魔物を心優しいというなんていったいどんな生き方をしてきたのだ…?)
「心優しい魔物なんているのですか?魔物は恐怖の象徴とされているのですが。」
「うん、いっぱいいる。」
「そもそもゾンとルアが僕と出逢ったのも心優しい魔物がいたからだしな。」




