第106話 思わぬ反応
「姫よ、どうなさいましたか?」
エリンが唐突に泣き出すという行動に困惑しているのはウカノ達一行だけでなく姫達の護衛達も同じだ。
王と姫の子が忌み子だという情報は身の回りの側仕えだけの間で留められ、それ以外の者たちは知らぬ事となっていた。それゆえ事情を知らぬ護衛たちは、人前でこんな感情剥き出しに泣く姫の姿に驚きどう対処すればいいのか困惑していた。
「いえ、嬉しいのですよ。もう2度と会う事が叶わぬと思っていた2人に会う事が出来て。」
目の前の女の反応に困惑していたが、ゾンとルアを見た時の反応といい今の言葉。
「やはりお前らがゾンとルアの産みの親か…」
「「え?」」
「はい。ゾン君とルアちゃんは私とホーンの子で間違いないでしょう。この年まで成長した2人を見る事が出来るなんて……それと、本当に…本当にごめんなさい。あなたたちを育てる事が出来なかった私で。」
どういう事だ?姫の…子供?エルフ族2人の子供は年が11歳だと言っていた。11年前というと……確かに姫が姿を見せなくなり始めた時期に合致する。
私とサハンが王と姫の護衛に抜擢されたのはここ数年の話だ。当時の姫と関わりがあった訳ではない。
ただ…確かにエルフ族の子供2人の髪はエルフ族には珍しい、王と姫しか見た事がない白と黒の髪色。更には顔のパーツも王と姫のお2人に似ているか…?
だが王と姫お2人の子だとして、育てる事が出来なかったとはどういう事だ?
事情を知らぬ護衛は2人は更なる困惑へと陥る。ゾンとルアも突然の告白に心の準備が出来ておらず固まってしまう。そんな中ウカノが切り出す。
「育てる事が出来なかったとはどういう事だ?お前らがゾンとルアを見捨てたのだろう?忌み子という下らない迷信のせいで。」
「ちがっ……」
「それは断じて違う!」
「ホーン…」
これまで黙り込んでいたホーンが口調を荒げて反論する。誰よりもエリンの苦しんできた姿を見続けてきて、そして自身も後悔に苛まれ続けてきた身としてはウカノのその文言は許せるものではなかった。
そして次に明かされるホーンの言葉にはウカノ自身驚かされることとなった。




