第104話 交錯する思い
自分で自分の目を疑った。だって目の前には11年間、1日たりとも忘れることのなかった2人がいるのだ。私の中での2人の成長は5歳で止まっている。
それでも私と同じ白髪の男の子にホーンと同じ黒髪の女の子、顔のパーツも私とホーンの顔のパーツをとって組み合わせたような顔。
5歳の時で成長が止まっていた2人の姿だったが、もし11年間生きていたのならこのような姿になったのであろうという存在が目の前に。
ずっと…ずっと夢見ていた私たちの愛しい子……
☆
「動くなっ!」
「はっ!?」
「キュ!?」
目の前の女がゾンとルアを見て固まり、亡霊のように2人へと手を伸ばしたので思わず声を張り上げてしまった。
普段声を荒げる事のないウカノにテン、そしてゾンとルアもそんなウカノに驚き固まる。
もし森の中へ捨て死んだと思った存在が生きており、目の前に現れたとしたら?
赤子を厳しい冬の中森へ捨てるような奴らだ、何をしでかすか分からない。そんな考えがウカノにあった。ウカノ自身でも気付かぬほどに神経質になっている。
「不埒者が!お前こそ変な行動を取るなよ!」
線の細い見た目とは裏腹に威圧感を放つヒト族の男に一瞬気圧されたものの瞬時に立て直し、王と姫の前に立つ護衛。
さすがは最も近くで王と姫を守る存在ということか。それに目の前に立った護衛の男はかなりガタイが良い。
エルフ族は魔法に長けた種族で戦闘も魔法に偏っている分、筋力はつかないと勝手に思っていたが。
いや、ここにくるまでに見たエルフ族はみな華奢な見た目をしていたしもう1人の女の護衛も細い。目の前の護衛が特殊と見るべきか。
それによく見ると後ろに身体の3分の1ほどの弓を担いでいる。なるほど、あの弓を引くためにはこのガタイになるのも納得だ。
あの弓を用いて射出された矢はかなりの威力を誇るだろう。とはいえここは屋内、自慢の弓なのだろうが十全には活かせないだろう。
まずは様子見、相手が何か仕掛けてきたら対応出来るようにしておく。
空気が張り詰める一室。護衛の男とウカノ、どちらかが仕掛けたらすぐに戦場となりそうなほどピリピリとした空気の中それを破ったのは王の一声であった。
「下がれサハン。」
「ですが王よ!」
「私は下がれと言った、争うために客人を呼んだのでは無い。」
「…はっ!承知しました。」
王に下がれと言われ渋々下がる。だが最後にウカノへ視線を飛ばし、もし何か変な行動を起こしたら承知しないと釘を刺す。
「失礼した客人よ。お互いに色々言いたい事はあるだろうがまずは腰を下ろしてはくれぬか?我々とて貴殿と争いたい訳ではないのだ。」




